桜と
「龍〜司君っ!」
『おわっ!?』
目が覚めると横に一葉がいた、俺は昨日は柊家に泊まった事を思い出す
『あ、一葉おはよう』
「おはよう龍司君、そろそろ起きないと遅刻しちゃうぞ?」
『えっ』
時計は八時よりは少し前、九時に桜が来るので余裕を持って帰宅したかった
「双葉が簡単なもの作るねって用意してるから、食べてから帰ってね」
『了解です、双葉が作ってくれてるのか』
「私が動いたら龍司君が起きちゃうかもってね」
俺が起きないように二人で気を使ってくれてたらしい、二人に感謝しつつ帰宅するために服を着替えた
「あ、龍司君おはよう」
『双葉おはよう、ありがとうな』
一葉と共に部屋を出てリビングへ移動した、リビングに入るとすぐにテーブルへ案内される
「もしかしたら桜さんが何か用意してるかもしれないし、朝ご飯は軽めにしておくね」
『色々と気を使ってくれてありがとうな』
双葉が出してくれた皿には目玉焼きとウインナー、そしてレタスときゅうりのサラダが乗っていた
「後はおにぎりね、梅干しとツナの二種類あるから食べたいだけ食べてね」
後から出てきた皿には、三角に握られたおにぎりに海苔が巻いてあるのが並べてあった
「私達も食べようか」
「そうね、お腹空いちゃった」
一葉が俺の対面に座り、俺の横に双葉が座った
『うん、美味しいよ』
「良かった〜食べれるだけでいいからね」
双葉が作ってくれた朝ご飯を食べながら少し話をした、二人も今日は霞の家に遊びに行くそうだ
「ふふふ、これで私も龍司君達の家族ですね〜」
「そうだね〜お姉ちゃんも増えるし、誕生日的には真白さんもお姉ちゃんになるのかな?」
『双葉の誕生日は来月だっけ?』
「うん、八月にあるよ」
『了解、どうしようかな』
夏休み中なので皆で集まれる機会を作ろうと思った、そういうのも考えて予定を組まないとと思う
「さて、そろそろ時間かな」
『あ、そうですねご馳走です』
「あ、片付けはいいよ〜見送るね」
『色々とすいません、ありがとうございました』
「ん〜ん、龍司君ありがとうね」
「また泊まりに来て下さいね」
二人に見送られて家を出た、真っ直ぐ帰れば九時少し前につけそうだ
(桜はもう家に来てるかな)
家に向かって歩いていると、家の少し手前で桜に会った
「あら、龍司君おはよう」
『あ、桜おはよう』
桜はどこかにデートでも行くのかというくらいオシャレをしていた、もしかしたら俺以外の誰かとデートなのかもしれないと思った
「タイミング良かったわね、さぁ行きましょう」
『あ、うん、桜はどこかへ出かけるのか?』
「いいえ、今日は龍司君以外の用事はないわよ」
(俺の家に来るだけで、こんなにオシャレをしてるのか?)
桜の姿に違和感を感じたが、俺の勘違いなのかもしれない
『どうぞ』
「お邪魔します」
先程桜に会った場所のすぐ横の自宅へ着くと、鍵を開けて家に入った
『もう百合は家を出たのか』
「そうね、今日はあの犬と皆で遊ぶと、グループメッセージで盛り上がってたわ」
桜の言い方が多少きついが、パールに吠えられてばかりなので気持ちもわからなくなかった
『とりあえず部屋でいいの?』
「ええ、いいわよ」
桜は緊張してるのか淡々と話をしている気がする、部屋に着いたらゆっくり話そうと思った
「じゃあしましょうか」
桜は部屋に入るとすぐに服を脱ぎ始めた、俺は驚いて止めようとした
『お、おい桜どうしたんだ』
「いやするのだから服を脱いでるんだけど」
『そんないきなり、せっかくオシャレをしてきたのに…』
「これは、少しでも龍司君に良く思って欲しかったの!」
桜は顔を赤くしながら目を潤ませて俺を見てくる、桜に対して俺の覚悟が足りなかったのかと思わされた
『そうか、気持ちは嬉しいけどいいのか?』
「ずっとしたかったんだもん、いいからしようよ」
中途半端に服を脱いだ状態で抱きついてくる、桜の気持ちを知ってなければ何かの罠かと思ってしまうくらいの状況だった
『わかった、桜待たせたな』
「そうだよ、馬鹿…」
抱きついている桜を離し服を脱がせた、そのままベッドに連れて行き桜と初めての関係となった
「あ〜あ、結局私が最後かぁ」
『うぅ、すまん』
「いいのよ、今のグループ内では私が最後に加わったわけだし、龍司君の傍にいられるのだから贅沢は言えないわ」
桜はベッドに寝ている俺の胸に頭を乗せて被さっている、顔は横に向けて何かを考えているようだった
「龍司君って中学の時のアルバムはある?」
『あ〜どうだろうか、俺はほぼ写ってないらしいしな』
「そっか、あまり思い出したくないよね」
『まぁ今更見てもなぁ、あまり覚えてもないし』
中学の時の記憶は曖昧で無理に思い出す事はないと思っている、過去は所詮過去だからだ
「私はずっと後悔が消えないんだ、だからさ」
桜がこちらを向いて泣きそうになっている、俺は桜の頭を撫でた
「私の事好きにしていいから」
そう言いながら桜が泣き出す、俺はずっと桜の頭を撫で続けた
『そんな事言うなよ、前も言ったけどもう気にしなくていいんだからさ』
「だってぇ」
『傍にいてくれればそれだけでいいよ、贅沢言うなら皆と仲良くしてくれたら嬉しい』
「…うん、頑張る」
百合や霞とはまだまだぎこちないとこはあるが、桜なりに努力はしようとしているのはわかっている
『俺もそうだけど、皆まだ知り合ってそんな長くもないしまだまだこれからだよ』
「うん」
俺も色々あったが桜だって苦労した事があったはずだ、他の子達はそれをわかってくれると思っている
『俺も桜にして欲しい事があればいうからさ、桜も俺にして欲しい事があれば言ってくれな』
「いっぱい一緒にいたい」
『わかってるよ、まずは今日一緒にいような』
百合の帰宅は夕方と聞いている、それまでは桜と二人でゆっくり過ごそうと思った
「朝ご飯は食べたのよね?」
ベッドから起きて服を着た桜が、持ってきた荷物からお弁当箱を取り出した
『ああ起きて八時頃に、双葉が作ってくれたおにぎりを食べたかな』
「おにぎりか、私はサンドイッチだから被ってないわね」
桜は持ってきた弁当箱をしまうと、時計を見て時間を確認していた
「ねぇ、お昼ご飯食べる前にお風呂に入らない?」
『あ〜汗かいたし、入ろうか』
一度風呂場に行き、湯船に湯を張るセットをした
『お弁当は大丈夫?今日は暑いけど』
「保冷材の入ったバッグだから大丈夫よ」
『了解、じゃあ行こうか』
「うん」
考えてみると、いつの間にか女の子と風呂に入る事に抵抗がなくなっている事を感じた
(やばい、慣れって怖いな)
自分のしている事に多少違和感を持つも、結局はしてしまっているので仕方がない
(これから先の事を考えると、慣れるしかないか)
桜を見ると多少恥ずかしがっているので、まだ慣れてない様子が嬉しかった
その後は風呂から出て桜の作ったサンドイッチをお昼に戴いた、午後は桜の希望で部屋でくっつきながら漫画を読んだり話をして過ごした
「じゃあ帰るわね、その…龍司君」
『ん?』
「またしようね」
『ああ、ありがとうな』
顔を赤くしながら家を出ていく桜を見送った、これで全員と関係を持ってしまったのだなと実感をする事になった
(男して責任を取って行かないとなぁ)
今のままではまだまだだと自分に感じつつ、今日の事を思い出すのであった
そして俺は大変な勘違いをしていた事を、次の日の朝に知ることになった




