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霞と 1

『今日は少し遅くまでいられるからな』


「わかった、嬉しい」


朝、霞と二人で歩きながら放課後について話をしていた、俺は霞のためになるべく長く一緒にいるつもりだと伝えた


『そういえばさ、日曜日ってもしかしてさ…』


「駄目だった」


日曜日に親に料理を作る予定だったが、都合が悪くて帰って来なかったらしい


『そうか、残念だったよな』


「仕方ない、仕事だから」


納得してるように言葉を出すが、その顔は下を向いて曇っていた


(いつもこうやって自分に言い聞かせてたのかな)


親にはもっと我儘を言ってもいいと思うが、家の事情もあるのかもしれない


(霞の事をもっと知らないといけないよな)


まだ知り合って数ヶ月の仲だし、これからもっと霞だけではなく、他の皆の事も知っていかないといけないなと思う


『今日は他の皆には、放課後すぐ帰ると伝えればいいのかな?』


「皆には昨日のうちに、グループメッセージで伝えておいた」


俺が参加していない女の子達だけのグループメッセージではやりとりがあったらしい、それなら伝わっているのだろうと安心した








今日一日は、学校に着いて教室に入ってから霞がずっと俺の傍にいた。休み時間も俺の膝に乗ったり後ろから抱きついてきたりと、いつもよりスキンシップが多かった


(なんだろう、寂しいのかな?)


俺は今日は何も言わずに好きにさせてあげようと、霞が来るたびに相手をした


『それじゃあ行くか』


「うん」


双葉と桜に一言伝えて、霞と二人で教室から出た






『そういえば霞の家に行くのに、何か持っていくか?』


「大丈夫、来てくれるだけでいい」


学校から出て二人で霞の家へ向かって歩いている


(なんだろう)


霞の顔を見ると、緊張しているのか真顔で少し考え事をしているかのようにしながら歩いていた


(家に行くと何かあるのかな?)


少し前から今日は空けといて欲しいと言われていたが、詳しい理由は聞かされてなかった


(行けばわかるのだろうけど、悪い事でないといいな)


霞の家まではあまり会話が弾まず、近くまで来るとパールの鳴く声が聴こえてきた


「着いたら少しパールと遊んでて」


『了解、外で少し待ってるな』


霞の家の敷地内に入ると、俺の鞄を持って霞は家の中に入って行った


『パール久しぶりだな、元気にしてたか?』


パールの頭を撫でると、喜んで手を舐めてくる


『元気そうで何よりだな、そういえばその首輪つけてもらったのか』


俺の誕生日に、霞が最初に見せてきたプレゼントの首輪をパールがつけていた


『今度また散歩行こうな』


今日はその時間は取れないので、パールに約束をしておいた


『そうか、お前も嬉しいか』


俺の言葉が伝わっているかわからないが、パールは尻尾を左右に激しく降りながら大人しく頭を撫でられている


「龍司君、いいよ」


『了解、パールまたな』


パールに挨拶をした後、霞に呼ばれて家の中に入った








『この前の首輪つけたんだな』


「うん、今度散歩行こうね」


『勿論だよ、楽しみだな』


霞に案内されてリビングへ移動し椅子に座った、そのまま待つように言われたので少し待った


(なんだろうな、料理をしているのかな?)


隣のキッチンからは何かを炒める音が聞こえる、匂いはこの前作ったものに似ていたのでなんとなくわかった


(あ〜もしかして)


「お待たせ」


霞が持ってきた皿にはこの前練習したオムライスが乗っていた、ケチャップで大好きと描いてある


「あれから少し練習した、今日は食べて欲しい」


『わかった、いただきます』


「飲み物とか他にもおつまみ出すから食べてて」


『俺も手伝うぞ』


「大丈夫」


そう言って霞はまたキッチンへ戻って行く、俺は出されたオムライスを食べ始めた


「どうかな?」


霞は飲み物と他にステーキや鰻など、なかなか豪華なおつまみを持ってくる


『美味しいよこの前よりもっとよくなってる、そしてこれはまた随分と贅沢な』


「体力つけて元気になって」


霞に言われてそちらにも手をつけると、かなりいい素材なのだろうやはり美味しかった


「いっぱい食べてね」


霞も自分の準備が出来たので、俺の前に座り食べ始める


『久しぶりにこんなに美味しいものを食べるよ』


オムライスも勿論美味いが、最近胃の中に入らなかったものが入るとどんどん食べたくなって来る


「早く元気になって欲しいから」


俺の事を考えてくれたのだろう、こんな物を食べたら元気にならないはずがないと思った


『オムライスも美味しいよ、何回か作ったのかな?』


「何度か練習して、形も綺麗になるように頑張った」


初めて一葉と作った時に比べて完璧だった、俺よりも正直上手く出来てるかもしれない


『また今度、料理もしような』


「お嫁さんの修行する」


その時は一葉達も呼んで、皆で料理会するのも楽しいだろうなと思った






『ご馳走様、お腹いっぱいだよ』


出された物を食べ終えると、久しぶりのガッツリした食事に胃が悲鳴をあげていた


「お腹いっぱい?」


『ああ、体調は大丈夫そうだけどな』


「そう、暫くは駄目か」


『ん?』


霞は何か考えているようだった、そして席を立ち俺に近付くと手を取って立つように言った


「お風呂入れてあるから入って、身体にも良い入浴剤を入れたから」


『え、風呂か…』


過去の事を思い出すと、霞の家の風呂に入る場合だいたい普通には終わらない


(だけど今日は、霞の願いは叶えたいしなぁ)


『わかった、行きます』


「うん、場所はわかるよね?」


『わかるよ』


「私は片付けをするから、先にゆっくりしてて」


(これは霞も入る事は確定だな)


予想通りだったが、今日は今日でそっち方面についても覚悟は決めていた


『先に入ってます』


「ごゆっくり」


リビングから出て、霞の家の脱衣所へ向かい風呂に入った


(あ、なんかまた違う)


檜の素材独自の匂いとは別に、柚子のような香りが鼻に入って来る


(それでは入らせていただきますか)


身体をしっかり洗ってから湯船に入る、いい香りと身体が徐々に温まる感じが心地良かった






「お待たせ」


暫くすると霞も風呂場に入ってきた、タオルなどで隠さず生まれたままの姿である


『霞は相変わらず、隠さないのか』


「見られても構わないから」


『俺は構うけど』


「この先もっと見てもらうから」


霞の宣言に俺は恥ずかしくなったが、霞が気にしないなら仕方がない


「お風呂どう?」


『身体が温まるし、なんか疲れが取れる気がする』


霞は言わないけどきっと高い入浴剤を入れてるのだろう、家で使うのとは匂いや効能が違う気がする


「それは良かった」


霞は髪と身体を洗ってから湯船に入って来る、俺の隣に座り気持ち良さそうにしていた


『もう三回目くらいだっけ?』


霞や他の皆と入った事もあった、我ながら贅沢な事をしているのかもしれない


「これからもっと、いっぱい入る機会があるよ」


先程もそうだが、霞にとって俺との未来は揺るがないらしい


『ま、まぁ、嬉しいよ』


言われることが恥ずかしくて、横にいる霞の事を見ることが出来なかった


「お風呂から出たら話があるから」


『わかった』


霞が先程より落ち着いた声で話しかけてくる、俺は大事な話なのかもしれないとすぐに返事を返した


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