霞との約束
「おはよう龍司、体調はどう?」
朝百合が起こしに来て目が覚めた、昨日は一度夕飯に起こされて食べた後に、百合と共に風呂に入って上がってからすぐに眠りについていた
『ん〜、結構寝れたから昨日よりは全然いいかな』
昨日に比べれば体調は結構良い感じだと思う、よく寝れたしお腹の具合も良くなっていた
「朝食はどうしようか」
『ん〜普通に作ってもらっていいかも』
起きた時の調子だと普通に食べれそうだった
「わかった、用意するからゆっくり起きて来なさい」
『ありがとう』
百合が部屋から出た後に部屋を出て顔を洗いに行く、顔色は昨日よりは良くなっていた
(これなら、明日には良くなっていそうだな)
昨日と同じ様に過ごせば、明日は大丈夫そうだ
(あ、そういえば…)
明日の木曜日に霞と約束していた事を思い出す、霞を哀しませないためにもしっかり体調を良くしようと思えた
『ご馳走様でした』
リビングに行き百合が用意してくれた朝食を食べた、目玉焼きや味噌汁にヨーグルトなど、前日は食べなかったものが胃に入るだけで嬉しかった
「調子はどう?」
『うん、大丈夫だと思う』
食事の後に少しソファーで座っていたが、お腹の調子なども問題なく朝食を食べたおかげで体調も良く感じた
『やっぱりちゃんとした食事を取れるっていいよな』
「それはそうよ」
学校に行くのも問題は無さそうなので、制服に着替えて家を出た
昨日と同じく一葉と双葉が俺の横についてくれて一緒に登校をした、昨日ほど身体が重くはなかったが二人が傍にいてくれるのは温かい気持ちになれた
「龍司君、ちょっといい?」
百合が作ってくれた弁当を食べた後に霞が声をかけてきた、周りに聞かれたくはないのか耳元で話かけてくるので、息が当たって少しむず痒い感じがした
『もしかして約束の事?』
「うん、大丈夫かな?」
霞は心配そうにこちらを見ていた、俺の身体の事もそうだろうが約束の事もあるのだろう
『体調もよくなってきてるし、明日なら大丈夫だと思うよ』
「ごめんなさい、明日だけはどうしても一緒にいたい」
霞の声は泣いてしまうのではないかというくらい弱々しかった、俺は霞の頭を撫でてあげた
『心配しなくても大丈夫だよ、明日はどうすればいい?』
「学校終わったら家に来て欲しい、お願いします」
『霞の家か、いいよ行こう』
何か理由があるのだろう、明日は天気も悪くないので前みたいに帰れなくてお泊りにもならないはずだ
「明日楽しみにしてるから」
『ああ、明日のためにしっかり体調整えるからな』
霞が心配しないように笑って見せた、実際お昼の弁当を食べたら昨日よりは調子が良い
(ただ油断してぶり返す感じにならないように、今日も大人しく家に帰るかな)
明日の事を考えれば尚更だった、皆の行為に甘えて学校が終わったら帰って休ませてもらおうと思う
俺と話が終わって自分の席に戻った霞を見ると、何か元気が無いように感じた
(そういえば、日曜日はどうだったのだろうか)
霞の親が帰って来るから作ってあげたいと、土曜日に料理の練習をした
(その件も月曜日に聞けなかったしな)
思い出してみると、月曜日の夕方に皆と俺の部屋に来てからも元気がなかったように見えた
(もしかして、そういうことなのか?)
霞の様子から俺はなんとなく理解してしまった、もしそうならそういう時にこそ支えるのが俺の役目じゃないかと思えた
(明日は霞のために一緒にいて、して欲しい事があるならしてあげよう)
霞を見ながら俺は誓うのだった
「じゃあ今日も真っ直ぐ帰ろうね」
「龍司君、体調は大丈夫?」
『ありがとう、良くなってきてるよ』
帰りも柊姉妹に挟まれて帰っている、百合達と歩く霞を見るとやはり元気がなかった
(何か俺に出来る事はないかな、霞が喜ぶ事か)
お昼に霞の事が気になり出してからずっと霞の事を考えている、でも今の俺に出来る事は少しでも明日のために体調を整えるしかない
(少しだけ待っててくれな、明日は絶対に俺が笑顔にするから)
俺を送ってくれる二人を蔑ろにしたくないので、二人と話をしながら帰宅をした
「龍司君また明日ね」
『皆今日もありがとう、気をつけてね』
昨日と同じく、皆を見送った後に家に入り部屋に行く
(百合が帰宅したら、明日の事を相談するか)
相談というよりも自分が決めた事への報告になるだろう、眠気は昨日ほどではないが、百合が帰って来るまで少し眠る事にした
『百合、話があるんだ』
夕飯が出来たと起こされて二人で食事をした後に、百合へ報告をした
「改まって何?悪い事でもしたの?」
『いやそうじゃないんだが、明日学校が終わったら霞の家に行くんだけど、帰り遅くてもいいかな?』
今日一日考えていた事を、色々と思い出しながら百合へと話をする
「遅くなりたいって事は、そういう事って思えばいいのかしら?」
百合の言いたい事はわかる、俺も可能性の一つとして意識はしている
『それに関してはわからない、ただ土曜日からの流れで霞の傍にいてあげたいんだ』
百合に霞へ料理を教えた話と、親が帰宅する予定で霞が料理を作ってあげる予定だった話をする。百合はそれを聞いて少し考えている様子だった
「そういう事ね、だから最近元気なかったのか」
『それで明日なんだけど、前から霞に空けといて欲しいと言われていて、お昼に明日家に来て欲しいと話をされたんだ』
「明日か、七月七日だから七夕ね」
『いや別に一緒に短冊を飾ろうって事ではないだろうけど』
「いやそれもそうなんだけど、何かあるのかな?ってね」
たまたま木曜日で、霞と登下校する日だったからって可能性もある、各曜日毎にその相手を優先するようにしてるからだ
『話は戻すけど、明日は霞の家で過ごす予定だからなるべく長く一緒にいてあげたい。それでどうにかなるわけではないと思うけど、百合にも心配させたくないからさ』
百合は家族だからこそ他の子とは別に話せる間柄でもある、将来的には一緒になる存在なら隠し事もする必要もないだろう
「龍司がそうまで言うなら私は構わないけどね〜、ただその次の日は学校だから、前回みたいな例外は認めないからね」
『わかってる、何時までがリミット?』
「高校生だから十時までに帰宅しなさい」
霞の家からここまでは三十分はかからない、後で霞に確認をしつつなるべくギリギリまでは傍にいてあげようと思った
「約束が守れるなら私は何も言わないわ、お母さんにも言っておくから帰ったらちゃんと話をするのよ」
『わかった、ありがとう』
明日帰宅する予定の時間には母はもう家にいるだろう、帰宅して顔を合わせたら隠さずに話をしようと思った
「とりあえず、そういう事なら男としてしっかり真白ちゃんを幸せにして来るのよ、龍司にしか出来ない事なんだから」
先程まで眉間にシワを寄せながら考えていた顔は、今は笑顔になり俺に声をかけてくれる
『ありがとう百合、ちゃんと百合にも報告するから』
「わかったから、明日に備えて早く寝るのよ」
『了解』
百合と話が終わりリビングから出て風呂に入った、出てすぐに眠気が出て来たのですぐに部屋に戻ってベッドに入る
(明日は霞のために一日を過ごそう)
意識がなくなる直前まで、霞の顔が頭に浮かんでいた




