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9話 お祓いへ

お祓いの結末と先生の運命はいかに

普通であればどこかの子供の仕業と思うが、朝のあれを見てからは関連してると思ってしまうのは人の悪い癖だ。


恐る恐る家の中へは行っていく。


「ただいま」


「おかえりなさい、麗仁(りひと)さん」


妻の咲来(さくな)だ。


「外の玄関ドアのあれなんだけど」


「私が買い物から帰ってきた時には着いていたの 」


それを聞いてますます朝見たものが頭を過る。


「態々家の柵を開けてまで家に子供が侵入してくるなんて可笑しいですね」


「確かにそうだ」


`黒い手形´何処かで似たものを見た気がした。


「前に名古屋の方で黒い手形の付いた変死体が見付かったってニュースやってたっけ」


「止めてよ、貴方。そういうこと言うの」


「ゴメン、けど油断は出来ないんじゃないかな。偶然なんてことはあり得ないから」


恐ろしい事件のニュースで怯える咲来にアドバイスした。


それから何もなかったように夕飯を済ませ、お風呂に入って歯磨きをして寝床ろに就く。


翌朝朝食を済ませスーツに身を包んだ。

仕事用の鞄を肩に掛け車に乗り込み学校へと向かう。


職員室でのこと。


「栗花落先生、おはようございます。お疲れのようだな」


隣のデスクの飯塚が声を掛けて…


「おはようございます。飯塚先生。実は昨日寝れなくて」


「そんなに仕事が溜まってたのかね」


「そうではないんですけど。実は···」


言おうとして思い止まる。

信じて貰えるのだろうか。

学年主任に言うのを辞めて誤魔化す。


「暑くて中々寝られなくて」


「確かに暑かったですからね。まあ、気を付けて下さい」


納得したように頷いた学年主任は心配してくれた。


続々と職員室に教員が出勤してきて、少ししてキーンコーンカーンコーンとホームルーム前のチャイムがなった。


「では、本日も頑張っていきましょう」


と学年主任が言うと其々のクラスの担任は教室へ向かう。


教室のドアがガラガラと音を立て開けた。


「おはようございます。栗花先生」


「桑山さん、おはよう」


偶々入口付近にいた美化委員の桑山が、入ってきた先生に気付いて挨拶してきた。


「ねえねえ、見たこれ」


「ああ、黒い手形って不気味な事件をまとめたサイトでしょ」


クラスの女子が何やら気になることを話している。


「黒い手形にまつわる事件のサイトって!?」


「わぁ、栗花落先生」


急に現れた先生に驚く女子生徒。


「これです」


といってアイホンごと先生に渡す。


そのサイトの見出しには『黒い手形の呪い』と。

読んでいくと不可思議な死を遂げた人達の写真が貼ってあった。

三件目までは外傷がなく、四件目も首をへし折られているだけで後は特に問題がない。

強いて言うなら四人とも黒い手形が付いている。


他にも色々書かれていて、ホームページの一番下には『黒い手形から逃げることは出来ない。何処にいようと』そう諭すようではないか。


アイホンを女子生徒に返すと、その女子生徒の背後に青いリボンのセーラー服を着た少女が立っていた。


引き摺った顔になった栗花落は、逃げるように教卓へ向かう。

教卓の所に着いて振り替えるも、既に青いリボンのセーラー服の少女はいなく。


ホッと安堵してホームルームを始めた。

その後も少女が現れることなく帰りのホームルームまで終わって、顧問を勤めるボードゲーム部へ向かう。


部室に入ると。


「栗花落先生だ。お疲れさま~。あれ~? おつかれ?? 」


「美郷さんか」


顔に疲れの出ていた先生を気遣う美郷。


「他の皆は?」


彩友(さゆ)ちゃんは家の用事だってさ~。涼風先輩と小鳩先輩も図書館で勉強だったさ~。真面目だね~テストまだまだなのに。恐神先輩も用事だってさ~。理由なんとなく分かるな~」


栗花落に丁寧に美郷が説明してくれた。


「二人きりなんて光栄だな~。な~にする?好きにして 」


「それは···」


「なんて、冗談だってば~。で、何があったの~?」


誘惑する振りをした美郷が本題に入っていく。


「参ったな。実は僕の家の玄関ドアに黒い手形が付いて。その手形がここ数ヵ月で起きてる不可思議な事件と似た手形で·…」


「なるほど、なるほど~。続けて~」


「昨日の一限目位に青いリボン着けたセーラー服の少女が出てきちゃいましてね。もしかするとその少女に憑かれたかもしれない」


説明を終えるとフムフムと頷いてから。


「やっぱり信じて貰えないよね」


「よかったね~。相談する相手が私で」


こういうのに慣れているのか、相談相手は間違えていなかったらしい。


「お父さんの知り合いに凄腕のお坊さんがいてさ~。良かったらお祓い頼んでおこうか~? その方が栗花落先生も安心できるし~」


「凄腕と言うことなら安心して任せようかな」


「よ~し。これで決まりだ~。早速頼んでおくね~」


これであの少女からは解放されると思い。


お払いして貰えることになり、お祓い当日。

美郷から神社迄の道を教えてもらい、カーナビをセットし、車を走らせる。


車を走らせること一時間ちょいで目的の神社に到着。

神社の中に入って行くと。

手水をし申込しご案内を選ぶ。


「あなたが美郷さんがお祓いをお願いした栗花落先生ですね」


「あ、はい。そうです」


神社の神主である沢海が出迎えてくれ…


「あなたからおぞまし瘴気が漂っていらっしゃる」


姿を見せないそれをオーラだけで感じ取った。


「では、こちらへ」


社殿内の拝殿の方へ案内された。

席に着くと、号鼓をしご祈祷が始まった。


最初に栗花落をお祓いする修祓を行う。

神職が祓詞(はらいことば)を読み、大房(おおぬさ)で祓う。

神職が栗花落の代わりに大和言葉で明神様に祈願内容を伝えようとしていると。


「···」


バタンとその場に倒れ込んだ。


倒れ込んだ神主の方を見て唇を震わせた。


何と黒い手形が神主の至る所に着いていて首にも黒い手形があり、只事ではない。


そこにあの少女が、こちらへと一歩ずつ近付く。

ご祈祷の最中とは言えここにいては行けない。

何より神主が既にこの世に居ない。

立ち上がり社殿の中から、重い足を無理矢理動かして逃げ出す。


「はぁはぁ。ここまで来たら大丈夫ですよね」


息を切らせながらも少し安心した様子だ。


「どうかなさいましたか」


異変に気が付いた巫女さんがこちらへ駆けてきた。


「あなたは確か先程ご祈祷なされていたかたでは」


「それがのお祓いの最中に霊に」


「あなた様に何もなかったことは幸いです。一先ずは警察に連絡を」


起こったことを話すと慌てた様子で連絡した。

巫女さんがお守りを渡す。


警察が到着し色々と聞かれるも、事件性がないと判断されたようだ。


「あ、栗花落先生だ。どうたった?」


「それが怒りを買った所為で神主が···」


「駄目だったんだ~先生が無事なだけでも良かった。それ貰ったんだ、効果あるといいね~」


止めた車の方わ歩いてると、偶々美郷と出会う。

起こったことを話す栗花落に、無事だったことを安堵する美郷。


「じゃあ、私は用事があるから~」


「それじゃあ、また月曜日」


さよならを言って二人は別れ栗花落は車に乗り込んだ。

シートベルトをし車を走らせた。


軈て家に辿り着き、車を停めて柵を開けて家の中に入る。


玄関のドアを見てみると、黒い手形が消えていた。

安心して家の中へ入っていく。


リビングで寛いでいた咲来に社殿での事を話す。


「麗仁さんになにもなくて良かった」


話を聞いた咲来は安堵した様子で胸を撫で下ろした。

巫女さんから頂いたお守りはポケットに確りと仕舞っている。

それから時間が過ぎていく。

お風呂とご飯も済ませ、歯磨きをして漸くしてから寝室へと向かう。

その日の夜中のこと。


寝室の天井に黒い手形が浮かび上がった。


何かがお腹のところを擦るような感覚に陥った咲来。

しかし身動きが取れない。

金縛りになっているようだ。


触れた部分に黒い手形が付く。

付いた手形がお腹の中にいる胎児に浸食していった。

痛みを上げられぬまま、青いリボンの付いたセーラー服の少女は、咲来の首を黒い手で掴んだ。

掴んだ首に力が入りそのまま絞めていく。

金縛りの所為で抵抗できない。


異変に気付いた麗仁が止めようとお守りを握り締めるも、身動きが取れない。

少女が黒い手を離した頃には、全身黒い手形だらけになって息絶えていた。


――お守りが効かない


金縛りのままも麗仁の方に飛び付いた。

黒い少女の手が、上半身に這いつくばって来て首を絞める。

抵抗できぬまま意識が遠退いていく。


上半身と首に黒い手形を残して息絶えた。

次回主人公サイド、ボードゲーム部、警察がそれぞれ動き始めます

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