魔法特化と物理特化
あれから方向を変えずに歩くこと数分。遂に異世界の魔物共と遭遇した。
「ご主人、あれは……」
「恐らくゴブリンってやつでしょう。見るからに弱そうですが……」
500m程先を徘徊するそれらは緑色で痩せ細った人間の様な見た目をした魔物であり、3体が固まって行動していた。
「「ゲギャッ!」」
「あ、怒った。言葉が分かるのかな?」
「人間と見て襲い掛かってるだけじゃないですかね?」
「「ギャァッ!」」
「そうみたいだね。」
ゴブリン達は少女と猫を獲物と見定めたようで、こちらに向かって手に持っていた棍棒を振り上げる。
しかしご主人様はすぐにでも魔法を使いたいようで、気にも止めずに呪文の詠唱を始める。
「“第三の法則─無条件での魔法の使用可能”、そして“炎の槍よ、悪夢を貫き焼き払え”……これ、強いんですかね?」
「さあ?……あっ。」
僕達が話していると、こちらに走り寄って来ていた一匹のゴブリンの心臓へ炎の槍が直撃し、そのまま全身が焼き払われる。
「ゲ……!?」
「強いみたいですね。貴方も戦ってみますか?」
「戦えるの?」
「一応強化はされている筈ですが。」
戦えと言われた(意訳)ので取り敢えず全速力で地面を踏み込む……と、想定より数倍速くゴブリンの元へたどり着く。
「ギャーッ!!」
「うわあ」
そのままの勢いで一匹に飛び蹴りを入れると、一撃で首の骨を折られたゴブリンはこれまた想定より高く5mほど上空へ吹き飛ばされる。
「強くないですか?貴方のステータスって一体どれほどになっているのでしょうか。」
「僕が知りたいよそんなの」
しかしゴブリンは3体で行動していた為、まだ1体残っている。残されたゴブリンは恐れを知らないかのように近くの僕に襲い掛かり……
「せい」
そのまま地面に叩き付けられる。
「あ、終わりましたね。取り敢えず、帰ってきてくださーい。」
「このゴブリンの死骸2つと焼け跡1つどうするの?」
「焼け跡3つにします」
「あ、うん」
焼き捨てる所存を表明したご主人様は、そのまま詠唱に入る。
「“紅く光る刃よ、希望を切り裂き灰と成せ”“灼熱の波動よ、楔吹き飛ばし火で染めろ”このくらいですかね?」
「上手に焼けましたー……灰になったけど」
「では、貴方のステータスを確認しましょうか。」
「はーい、どうやって?」
「多分ここから、こうして……っと、これですね。」
出された僕のステータスはというと。
────────────────────
タイマー[ベテラン従者]Lv.15
◇体力:30(+♡×9)
◇魔力:150
◇攻撃力:600
◇防御力:15
◇知性:150
◇俊敏性:450+60
◇器用さ:300
◇運:75
☆skill
狩猟Lv.40─バウンティハント
蹴擊Lv.30─インパルスキック
疾走Lv.30─スーパースピード
爪擊Lv.30─シャープクロー
襲撃Lv.20
牙擊Lv.10
☆extra skill
投下攻鑑Lv.1
猫の手Lv.5
壊速烈車Lv.1
猫に九生有りLv.1
────────────────────
「強いね。それになんか追加ライフみたいなの無い?」
「所謂残機とかいうやつでしょうか?」
「うーん、取り敢えず効果も見せて?」
「はーい」
────────────────────
passive
狩猟/蹴擊/爪擊/襲撃/牙擊:それぞれ格下への攻撃/蹴りによる攻撃/爪による攻撃/防御されていない攻撃/牙による攻撃を強化する。
疾走:俊敏性が上昇する。
active
バウンティハント:10秒間、狙っている敵一体の防御力/俊敏性を狩猟レベルに応じた割合分低下させる。
CT/90秒 習得条件/狩猟レベル25
インパルスキック:発動後、次の蹴りによる攻撃に蹴擊レベルに応じたスタン効果が付与される。
CT/60秒 習得条件/蹴擊レベル25
スーパースピード:発動してから30秒間、俊敏が大幅に上昇する。
CT/1800秒 習得条件/疾走レベル25
シャープクロー:発動後、次の爪による攻撃は威力が上昇する。
CT/20秒 習得条件/爪擊レベル25
extra
投下攻鑑:攻撃時任意量の体力を消費し、消費した体力1につき1%攻撃の威力が上昇する。
猫の手:自身の持つリソースを他人に貸し出せる。貸し出せる量はレベルに依存する。
壊速烈車:自身の攻撃力と俊敏性に依存した攻撃を瞬時に放つ。CT/9秒
猫に九生有り:死亡時残機を消費して復活できる。残機は1時間に1つ生成され、九つまで保持できる。
────────────────────
「ちゃんと私より強そうですね。」
「そうかも、どうして?」
「貴方より私の方が強かったら、その分私が働かないといけないじゃないですか。」
と、ナチュラルに仕事を押し付ける気満々のご主人様。
「まあ、強い分には良いのかな……」
「ええ、二人揃って耐久力が紙って事を除けば何も問題は無いですから。」
「大問題じゃない?」
「どうせ残機があるので誤差ですよ誤差。」
「そうかなあ……ってもしかして僕が攻撃を受ける前提?」
「だって貴方って私より前に出ますよね?アタッカーですし。」
「確かにそうなんだけどさあ……」
「まあ、貴方なら大半の攻撃を避けられますって。」
「そうとも限らないと思うけど」
「ステータスの平均値は概ねLv×10なので50レベルくらいの敵が出てこない限り速度では勝ってるんですから。」
「それより速かったら……」
「その時はスキルをフル活用でもワープでもなんでもして逃げましょうね。死んでしまうので。」
随分と適当な事を言いながら、遥か先を眺める様に背伸びをするご主人様。
「どうやら、壁に囲まれた都市が10km先に有るみたいですよ。」
なるほど、あれが都市なのか。いまいちよく見えないけど。
「あと、二時間って所ですかね?」
「この世界の時間が僕の知る通りの法則なら、今は影の位置からして14時くらいだね。なら日が沈む前に着きそうかな。」
「そうだと良いんですけど。」