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猫とまたたびと未来視の少女  作者: カートス
第一章/未来、襲来

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20/21

ひよこと近似

 卵が孵る。

 黒い球体は裂け、その中から出てきた存在にそのまま取り込まれた。


「……」


 獣のような毛の生えた濃灰色の生命体、しかし形状は向こうの世界でも伝わる通りの西洋竜。それが、こちら……厳密には数歩の距離を前に出ていた妹猫をじっと見つめている。


『おはよー!あなたがリュウノタマゴさん?』


 違うと思う。


汝が(gg)……我の母か(zzzzz)?」


 それも違うと思う。そんな大きな生き物が刷り込みみたいな習性を持たないで欲しい。


『そう……なのかな?そうなのかも……?』


竜と猫、二匹の扱う言語は全く異なるのに、不思議な事に会話が成立している様に見える。しかし、意味まで通じているかは分からない。


母よ(dd)どうか(bbb)我に名を授けて欲しい(bbbbbbb)。」


『おなまえ、決めるの?わかった!……うーんと、えーっと……もふもふだから"フラフ"!』


 名前すらひよこみたいな名前にしてどうする。

 それでもフラフと名付けて満足そうな妹猫と、与えられた名前に満足そうなもふもふ竜のフラフさんの間に何かの繋がりを感じた時。


『はっ……、だ、誰か来る。隠れねえと……』


 さっきまで目の前の非常識な光景に固まっていた兄猫が扉の方向から来る足音に警戒し、隠れる場所を探し周囲に目線を送る。


母とその仲間達よ(gggggggddd)、我の足元へ隠れると良(ggggzzzzbb)い。」


『わーい!』

『た、助かる!おいシーラ、人が居る間は大人しく静かにしてるんだぞ。』

『もちろん!』


 こうして、三匹の猫が竜の足元へ隠れてから数秒後。ドタドタと足音を立てて仮面を被った白衣の人間達が部屋に押し寄せる。


「孵ってるぞ!」


「待て、抑圧魔法陣はどうした?」


「壊され……いや、起動に失敗した……?」


「と、兎に角奴に名を……」


 と慌ただしい限りであった。


「き、貴様の名はノワルだ!その胸にしかと刻む様に!そんでそのままそこで大人しくしてろ!」


「兎に角、再調査だ。何かがおかしい、情報片っ端から洗い直せ!あー!クソが……」


 一方的に名を申し付けて、部屋にあったいくつかの計器を持って人間達は去っていく。


『うーん。なんだったんだあの人達。』


『あの仮面の彼奴等。猫を攫って行こうとした奴と同じ様に、なんのニオイもしなかった。』

『フラフのなまえはフラフなのー!』


そうだな(ggg)我の名はフラフだ(bbbzzz)。」


 賑やかな会話が響く部屋で、この先について考える。現状、間違いなくここから逃げるべき状況だろう。

 しかし、あの狭いダクトを竜が通れない以上、建物内の彼らをどうにかするしかない。

 そもそも彼らの目的が分かっていない以上、下手に動くのは危険である可能性もある。


『ここからどうしようかなあ……』


『どうすっか……』


 猫二匹で悩んでいると、竜のお腹からくーっと音が聞こえる。


済まぬ(ddd)栄養が足りなくてな(zzbbzzzz)……」


『おなかすいたー』


 兎に角、今は食料の確保を優先した方が良いかもしれない。


『食料を探してくる。』


 今の状況はあまり良くないけど、お腹を満たせば少しは良くなるはずだし、時間経過で何かが変わるかもしれないと期待して。


『分かった。ついでにもう一匹の妹……アイシャもここに呼んどいてくれ。あいつは起きてりゃ俺より賢い。』


『はーい』


 相変わらず寒いダクトを通り抜ける。予想以上に時間が経過しており、既に午前10時である。

 屋根の上を見回す。未だ寝かし付けた位置で寝ている猫……アイシャを見つけ、起こしてから兄が呼んでいると伝えダクトに押し込む。詳細に説明するほど暇ではないので兄猫に丸投げだ。


『さむ……ねむ……』


『通り過ぎたら温かいから。』


『わ、かっ……た……』


 しかしどうにも眠そうだ。ダクトの反対側まで辿り着けるのだろうか?


『食料、食料は何処かに……』


 屋根の上から辺り一帯を眺める。果たして食べられそうな物は。


 すると、どうにも路地の隅に落ちている見覚えのある物が視線の隅に引っ掛かる。一見、何の変哲もない袋の様だが……


「あれ?」


 間違いない、あれは今朝までご主人様が使っていた袋だ。あれが今ここに置いてあるという事は。


 迷わず袋に駆け寄って、中を覗く。


「鹿肉と、魔力の結晶……」


 これは、ご主人様からの支援という事だろう。魔力の結晶が何の役に立つかは分からないが、兎に角力を振り絞ってでも持って行かなくてはならない。

 ただこの世界に来て身体が強くなったからか、猫の身には重い荷物も尻尾に持ち手を引っ掛けて引っ張るだけで簡単に運べた。


「尻尾がここまで強くなるなんてね。」


 便利な身体になったものだ。袋をダクトに放り込み、身体で奥まで押して行く。途中ダクトの真ん中で寝ている猫を巻き込んだが兎に角まるごと奥まで運ぼう。


『いてっ……あ、温かい……』


『なんで途中で止まってたのさ……』


『ねむ、くて……』


 袋を竜の元へ持って行く。


助かる(ggg)……魔力が籠もった石(ddbbggg)これがあれば(gggbb)我はしばし食い繋げる(dddddddd)。」


『おにくたべるー!』

『良いのか?こんな物を用意して貰っちまって。』


『良いよ、誰かが来る前に食べよう。』


『すや……』

『アイシャ、起きろ。今は寝てる場合じゃねえ。』

『そうなの……残念……』


 なんとか食事をしながらアイシャに現状を説明した。


 さて。ご主人様からの支援が有るということは……この件はほんの少し、大変な物になるだろうと予測できる。

 今まで手助けされた時も。毎回、僕だけの力では困難な事件が襲い掛かってきてたから。

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