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猫とまたたびと未来視の少女  作者: カートス
第一章/未来、襲来

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17/21

日を待ち、月を知る

 ダメだったね。ちまちま殴って大量殲滅に追いつける訳も無く、そのまま9割方をるみちゃんが仕留めてった。


「これが……最後かな。」


 数多の命を喰らって尚輝きを損なわない紫の炎は、役目を終えた末に宙に打ち上げられ、未だ明けそうにない夜空を照らしている。


「わー、綺麗。」

「何をしてるんです?」


「いや、火を消すのってどうやれば良いか分かんないからさ……」


 えっ。じゃああれ燃料が切れるまで燃え続けるの?


「いつもは打ち上げて細かく分解したらすぐに消えるんだけど。」


「貴方、炎を吸収出来た筈では?」


「……言われてみれば、確かにそんなスキルがあった気がする。」


 そう言ったるみちゃんの元へ炎が集まって、吸い込まれるように消えてった。


「これ、妖力が回復したというか……」


「どうかしましたか?」


「戦い始める前より多くなってる気がするんだよね。」


 不思議そうな表情で自身の身体を見回しているるみちゃん。そういえば、炎を生み出す事自体に妖力は使わなくて良いんだっけ。


「成程、いくら森を焼かないように抑えてるとは言え、どうにもレベルの割には殲滅力が高くないなと思っていたんですよ。私達の何倍ものステータスや戦力を持っている訳ですからね。」


 るみちゃんは、瞬間火力より継戦能力の方に長けているのかな?


「ま、ちまちま炎を浴びせてる方がボクの性に合うからね。適性としてはそっちだと思うよ。」


「燃えろー!とか寝言で言ってた割に慎重だね。」

「妖力を消費したらもっと火力が上がったりしそうですけどね。」


「命は1つしか無い訳だからね。」


「それもそっか。」


 僕は9つあるけどね。


────────────────────


「で、有用そうな物を軽く拾い集めて帰路に着いた訳だけど……」


 るみちゃんが再び狸に戻り、ご主人様は荷物に魔法を掛け、浮遊する袋を従えながら飛行している。


「きゅーっ……」


 二度あることは三度あるとは言うけれど、一度目があっただけだと二度目が来るかは分からない。しかし、今回はどうやら来る方だったらしく。

 つまりは、またしてもご主人様の飛んだ方角が間違っていたらしい。


「こっちだったと思うんですけどねえ。」

「あんな湖なんて見たことないでしょ。」

「初めて見ますね。」


 次からはコンパスを持ち歩いて欲しい。


「折角なので、魚でも釣っていきますか?」

「釣り竿がないでしょ。」

「それもそうですね。では釣りはまた今度という事で……」

「門が開くまでに帰れるか怪しいなあ……」


────────────────────


「ただいま、なんとかの街。」


 太陽が顔を出した頃、少し先にそこそこ見慣れた街の形が見える。無事に帰ってこれたけど、そういえば僕はこの街の名前を知らない。


「そろそろ戻った方が良いと思うんですが、どうでしょう?」


 ご主人様は地に足をつけて、鞄の中でぐっすり眠っているるみちゃんを起こそうとする。


「すー、すー……」


 しかし、何度鞄を揺すっても起きないみたい。


「どうしましょうか。」

「門が開くまで時間があるだろうし、開くまでは待ってもいいんじゃない?」

「まあ、そうですかね。」


 ご主人様はそこら辺の岩に座って、ぐっすりと眠る狸を撫でている。


「せめて人間の姿に変身してくれれば最悪抱えて街に入っても良いんですがねー。」


 ご主人様が呟くと、突然ぽふりともう聞き慣れた音を立ててるみちゃんが人型に変身する。


「えっ?」

「あれ、実は起きてます?」


 しかし変身しただけで全く反応が無い。無意識の内にも化けられるのだろうか?


「どうなってるんでしょうね……ともあれ、無事に依頼を達成出来そうで良かったですね。」

「1日で帰ってこれたなら期日にも間に合うだろうし……そういえば、この世界の日付ってどうなってるの?」


 るみちゃんを引き続き撫でているご主人様を眺めながら、少し不思議な表記だった気がする事を思い出した。


「この世界は1年が12ヶ月で365日という点は向こうと代わりません。しかし曜日の概念は形骸化し、1ヶ月が一律で30日、かつ1の節、2の節、3の節で10日づつに分割されています。」

「それじゃ、2の節の1の日は本来の11日って事?」

「そうなりますね。」


 七で区切るよりは少し分かりやすそうな表記な気がする。


「でも、1ヶ月が30日だとすると、1年で360日にならない?」

「それを調整する為に、2月、4月、6月、8月、10月が終わった後には"狭間の日"というものが挟まれます。それぞれ、2の月の狭間の日、4の月の狭間の日などと正式名称が定められていて、一応は呼び名の通りの月に属するという扱いみたいです。」

「なるほど、実質的にその5つの月は31日あるって事か。」


 明らかに地球の日付より分かり易いし綺麗だ。


「1年の長さが同じって事は、うるう年みたいなものもあったりする?」

「ええ。4年に一度のペース……というか歴史上の大占星術師によって指定された年の暮れ、12の月3の節10の日の次の日が大狭間の日として扱われ、その年は1年の終わりが1日猶予されています。狭間の日や大狭間の日はお祭りなどが開かれるそうです。」

「うーん、かなり地球に似通ったシステムだね。」

「この世界の惑星の位置関係が、地球とほぼほぼ変わらないですからね。」


 偶然の一致ってことは無いだろうし、どちらかがもう片方を真似して作られたのかな?やっぱり、この世界は分からない事だらけだ。


「むにゃ……寝待ち月……」


 考え込んでいたらるみちゃんが関係あるんだか無いんだか分からないような事を寝言で呟いた。るみちゃんにとっては、どんな月も寝待ち月なんじゃないかな。

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