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猫とまたたびと未来視の少女  作者: カートス
第一章/未来、襲来

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16/21

広範囲攻撃が強い事は自明の理である

 鹿を狩る。謎生物を狩る。蜥蜴も狩る。


「"壊速烈車(かいそくれっしゃ)"。」


 やっぱりこのスキルはかなり強力みたいで、触れた物全てに強烈な衝撃を与えられる。しかしちょっと疲れたのでご主人様に水を貰う。


「ねえ、あの四角が2個か3個繋がったみたいな生き物って何?」

「確か……クブという魔物だったと思います。ギルドで依頼書を見かけました。」


 この謎生物は引っ掻いても動かなくなるだけだから、生きてるかが分かりにくくて仕留め損ねる危険がある。


「成長するにつれ体を構成する四角の個数が増えて、四角を10個繋げたくらいまで成長すると魔法も使って来て手強いらしいですよ。」

「ここに来ないといいけど。」

「まあ、来ないでしょう。貴方の読んだ資料にも有った通り、そんな物が居るほどこの森は危険ではないので。」


「そこ、のんびりフラグ立ててないでちゃんと戦ってくれない?あれやたら火の通りが悪いんだけど。」


 そう言われ戦場に注意を戻すと、他の動物は一瞬で息絶える火の玉を受けても、クブは余裕で耐えている。


「随分しぶといみたいですね。」


「んー、しぶといと言うよりかは……」


 僕が引っ掻いたり突進に巻き込んだりすると一瞬で動かなくなる事からも、あれは。


「熱に強いのかな?」


「だろうね。」


「ふむ……もう一度、あれをやってみようかな。」


 るみちゃんが一度軽めに深呼吸をした直後。突然、辺りの雰囲気に違和感を感じた。


「"妖界"、でしたっけ。」


 半日前、ステータスを見ていた時の記憶が蘇る。


「確か、辺りの妖術を強化するんだっけ。」

「ええ。本人はこれを意識して使ってる訳でも無いと思いますが。」


 一帯が薄い靄で覆われる。炎は勢いを増して、更にハイペースで辺りの生命を焼き払っていく……


「流石ですね。この火力で草木に一切熱を伝えないとは。」


 言われてみれば、木などを掠めるように火が飛んでいるにも関わらず、辺りに火が付いたり植物を変色させた形跡は無い。当然、僕の毛先もチリチリにならずに済んでいる。


「火力に割く分の集中力が代償なんだけどね。次に戦う時は焼いて良い場所か荒野でお願いしたいよ。」


「荒野だとしても僕らは巻き込まないでね?」


「分かってるよ。」


 そろそろ、屍を足場として戦わなければならなくなってきた。ご主人様が回収に走り回っているが、戦場を掻い潜りながらの為か追い付いていない。


「……これ、魔法を使った方が良いですね。"我が手の元へ、風と共に出でよ。"。仕舞うには……"伸ばし、杓子、尺度誤り、理外、意外、入れ子構造"。こうで良いでしょう。」

「不思議な呪文だね。」


 当然、無差別に引き寄せた以上全周囲から狩猟対象は押し寄せている。屍の転がる円形の戦線から、台風の目である中心地点に引いたご主人様が二度目の呪文を唱えた直後に風が吹き荒れ、周辺に転がっている死体がご主人様の方へ引き寄せられる。


「うわっ。なにこれ。」


「これがご主人様の使った魔法の効果なの?」

「ええ。」


 有益そうな物は全て分別され、ご主人様の抱えていた袋へと吸われていく。


「明らかに容量以上に物が入ってるね。」

「便利でしょう。一時的な拡張で、私から離れたり魔法が解けたり袋が破けたりなどすれば戻ってしまうんですが。」


「ねえ、色々詰め込んでて重そうだけどそれ誰が運ぶの?」


「タイマーちゃ……魔法で飛ばしますかね。まあ魔力はまた切れたので回復を再び挟むんですが……」


 嫌な予感がしたので拒否の念を全力で送付する。幸いにも通じたようだ。ここから街は間違いなく重い袋を引っ張って走れる距離じゃない。


「そもそもそんな大量の素材類を何に使うの?」

「料理とかでしょうか。」


「確かにリスとか鹿とかは食べられるって話よく聞くけども。その四角いのも食べるんじゃないよね?」


「いえ、納品依頼が出ていましたので……持って帰っておけば、ついでに納品出来るかなと。」

「誰が欲しがるんだろうねあれ。」


 四角くて頑丈だから、レンガにはなりそうかな?……いや、あんな綺麗な正六面体をレンガとして積むのは難しいか。


 考え事をしてたからって訳じゃないけど、間違いなくるみちゃんの方が寄ってくる生き物を仕留めている。火力の上がった火の玉は、一瞬で鹿の首を炭化させて通り過ぎてを繰り返している。


「良いね、調子は上々。」


「そもそも貴方調子が悪い時とかあるんですか?」


「それどういう意味?」


 森を照らし寄ってくる生命を狩り続ける紫の炎の操り手は、命を奪っている割には随分と楽しそうだった。

 鞄を開けたご主人様が、取り出した大量の結晶から魔力を吸収して回復に宛てている光景を尻目に、僕は全速力で戦場を駆ける。せめてるみちゃんの3割くらいは敵を倒したいし……と、思っていたらご主人様の魔力を補給する手が止まる。辺りを眺めて何かを考えているみたい?


「周辺環境を見る限り、これは……そろそろ後続が尽きてきましたかね。魔法の有効範囲の敵は間もなく全員到着するんじゃないでしょうか?」


 えっ。もう増援はおしまいなの?

 ペースを上げて仕留めないと。るみちゃんが残らず殲滅してしまう前に。

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