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猫とまたたびと未来視の少女  作者: カートス
第一章/未来、襲来

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クエスト:黒曜蜥蜴の尻尾を納品せよ

「では、第一回作戦会議を行いたいと思います。議題は危険を察知して逃げ出した蜥蜴からどうやって尻尾を奪い取るかです。」


 そう言って僕を拾い上げたご主人様は倒れた丸太に腰掛けた。


「こんな夜半の森で?」

「どっかの馬鹿が森の生きとし生けるもの皆を追い払ってしまったので、うっかり毒草を拾い食いしなければ現在この森には危険要素が一切ありません。」


「やったね……待って、猫を武器として構えるのは違うと思う。」


 僕もそう思う。


「真面目に考えてください。このまま森をひたすらに彷徨うのは嫌ですよ。」


「うーん……辺り一帯を焼く?」


「やっぱ何もせずそこに立っててください、焼け野原を永遠に彷徨う亡霊にはなりたくないので。」


「真面目に言ってるんだけど。黒曜蜥蜴って言うくらいだから多少熱には耐性がある筈だからさ。」


 確かにそう考えるといい作戦だね、森を焼け野原に変えたら大問題になるという点を除けば。


「ボク、焼く以外の事はあんまり得意じゃないんだよね。」


「山火事に気を遣う気とか無いんですか……?」


「流石にそこまで制御が甘い訳ないじゃん。これでも永き時を生きてるんだよ?」


「でもつい半日前に訓練場を使用不可にしたのるみちゃんだよね」

「そうでしょうね」


「な、なんでそれを……あれは監督した人が本気でやれって言うから……」


 自白までが早すぎる。


「本気でやれと言われたからって本気を出していい能力じゃないんですよ貴方は。」


「そうなんだ。周りに比較する相手が居なくてさ……」


 そう言われると責め辛いからやめて欲しい。


「で、こうしていても解決はしないんですが。どうしましょうか。」


「なんか無いのかい?蜥蜴を誘き寄せる魔法とか。」


「そんなピンポイントに解決策は有りませんよ。似たような事なら出来ると思いますが。」

「出来るの?」


「私の魔の法則は……なんと言ったら良いんでしょう、無理矢理存在しない魔法を存在させる事が出来ると言いましょうか……」


 つまりはどういう事?


「第三の法則は詠唱と魔力消費さえ行えばどんな魔法でも……たとえ今この場で思いついた存在しない魔法でも使えますので。」

「随分と強い能力だね。」


「じゃあ蜥蜴を誘き寄せる魔法とかも簡単に使えるんじゃないのかい?」


「それは無理ですね。私に蜥蜴を誘き寄せるというイメージやアイデアが無いので……蜥蜴を誘き寄せる魔法がどんな魔法かが分からない以上は不可能でしょう。」


 まあ、蜥蜴が何食べるかとかよく知らないから呼べる気がしないって事かな。


「じゃあ……どうするんだい?」


「えーっと、こうします。"第三の法則─無条件での魔法の使用可能"。"明かりを灯せ、手のひらへ。遍く生命を、我が元に導く聖なる灯火を。"」

「どんな魔法なの?」

「辺りの生命体を全体的に誘い出す魔法ですね。」


 随分と大雑把な魔法だね。大丈夫なの?


「まあ、何体来ようと烏合の衆というやつですよ。暴走させるとかの効果は含んでいませんので、ただ近くに寄ってくるだけですし。」


「じゃあ、今から……ボクらの元へ寄ってくるのかな?」


「まあ。多分。」


 多分って。でも、確かに蜥蜴やらリスやら変なのやらがわずかに不安な足取りで押し寄せて来ている。


「誘導効果が切れた途端回れ右して帰る可能性もありますね。」


「素早く倒せば良いんだね。」


「頑張ってください。私は魔力が切れたので一分間くらい回復に時間を割きます。」

「えっ」


 もう目の前に来たけど?


「任せて。燃えろーっ!」


 僕が動き出す前にるみちゃんが紫の火を放つ。意思を持つかのように動き回る火は分裂を繰り返して増殖し、リス、蜥蜴、そしてたまに混じるカクカクした不思議生命を綺麗に焼き払っていく。

 眺めていれば終わりそうだけど、連携の確認の為にここへ来たんだから僕も動かないとダメか。


「にゃーっ!」


 るみちゃんの炎はコントロール力が高いのか、狙いがブレないまま個々の火が的確に小動物達を焼き焦がしている。

 僕はその間を縫って、燃やされてない生き物達を片っ端から引っ掻いて回る。

 引っ掻きなんて元の世界なら軽い怪我を負わせられたかも分からない低威力な攻撃だったけど、今は一撃一撃が命を刈り取る程に強く、硬質な黒曜蜥蜴の身体もものともせずに引き裂ける。

 過去の戦闘を思い出しつつ、そろそろスキルの使用も試してみようと考え。


「"スーパースピード"!"壊速烈車(かいそくれっしゃ)"!」


 一方向への強烈な突進は、小さな動物や魔物相手なら複数体を纏めて吹き飛ばせるほどの威力がある。

 黒曜蜥蜴が尻尾まで丈夫であることを祈りながら、辺りを焦げた血の臭いに染めていく。


「さて、どうかな?良い具合に焼けたと思うのだけれど。」


 そうして、るみちゃんが引き寄せられた動物達を半分以上焼き払い、残りを僕が近接格闘で仕留めている間に。


「黒曜蜥蜴の尻尾って太くて短いんですね。」


 ご主人様は魔法を使う気が無いのか戦場を歩き回り、焼け跡で唯一熱や炎で変色していない黒くて大きな蜥蜴を拾い尻尾を切り取って回る。



「硬質な黒曜石の円錐……鏃にでも使うんでしょうかね?」


 そして同時に、荷物から袋を取り出し切り取った尻尾を全て放り込む。


「確かに、形を整えたら何かに刺さりそうな見た目だね。」


「余分に取れたら確保しておきましょうか。」

「もう既に20匹くらい焼かれるのを見た気がするけど……」

「過剰火力で定期的に使い物にならなそうな見た目になってるんですよね」

「えぇ。石みたいな素材のこれが……?」

「流石は化け狸ですねえ。」


 寧ろ、普段の言動からすればここまでコントロール出来てる事がもう驚きなんだけど。殴って回ってる僕に炎を当てることもないし。


「生まれ持った才能って物なんでしょうね。」


 そういう物なのかな。そんなことよりそろそろ加速が切れちゃうから、意識してペースを上げないと。

 にしても、蜥蜴やリスの比率が減って鹿やら角ばった身体の不思議生命やらが増えてきた気がする。移動速度で到着ペースに差が出来たと考えると、やっぱり森の中では小さい方が小回りが利いて動きやすいらしい。

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