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子供の名前を考える【薄井君は気づいているけど、気づかないふりをする。~高校三年生に上がったはずが、二度目の高校二年生を過ごしている件~】

乃愛、妊娠中



「博人ー、遊びに行こうよ」

「……乃愛、一応妊娠中なんだから大人しくしようね?」


 僕、薄井博人は無邪気に笑う乃愛にそう言った。


 そう、乃愛は妊娠している。僕と乃愛は大学を卒業した後、入籍した。僕は社会人として働いている。乃愛は専業主婦になっている。

 ……乃愛には「お金なんて働かなくても稼げるよー?」なんて言われたけれど、もちろん、それは断っている。


 乃愛は約束通り大学生の間は子供を出来ないようにしてくれていた。僕が社会人になってからはそれもやめたようで、子供が出来た。


 異世界の神様である乃愛にとって、子供を作ることは自由自在らしい。でも乃愛は折角だから運に任せてみるっていって、どんな子供にするかとか力を使って調整しなかったようだ。というか、僕がこの地球で生活するなら力を使わないようにって言っているのもあって、乃愛はおとなしく生活しているのだ。


 乃愛にとってもどういう子供が産まれるか想像が出来ないらしく、乃愛は楽しそうにしている。




「大丈夫だよ。どれだけ動いたって問題ないし」

「でも心配だから大人しくして」

「ふふっ。私が何者か知っていてもそんな風に心配するのなんて博人ぐらいだよ?」



 乃愛はそんなことを言いながら面白そうに笑っている。


 乃愛が異世界の女神で、どれだけ力を持っていようと、乃愛は僕の奥さんだし心配するのは当然だと思うんだけど。

 少なくとも大丈夫だと言われても僕はおとなしくしてほしい。



 乃愛は別に産婦人科に通わなくても子供は産めるらしいけれど、通ってもらっている。



「そうだ、博人。子供ね、双子だってー。女の子!!」



 乃愛が無邪気にそんな風に笑った。

 自分が親になるというだけでもなんだか不思議な気持ちなのに、僕は一気に二人の父親になるらしい。



「そっか。名前考えないとね」

「うん!! 博人はどんな名前がいい?」

「女の子なら可愛い名前がいいとは思うけれど、名付辞典でも買ってくる?」

「んー。私は博人と私の名前の要素入れたいなー。私の名前は博人がくれたものだし」



 乃愛はそんなことを言って笑った。

 漢字の意味とかよりも、僕と乃愛の名前を要素に入れたいらしい。



 僕と乃愛はそれから女の子二人分の名前を考える。

 しかし僕に名前のセンスなんて特にないので、なんとなくでしか思いつかない。





「双子なら似ている名前の方がいいかな。華乃とか、紀乃とか……。あとは美愛とか、由愛とか、乃愛の漢字使うなら可愛い名前に出来そうだけど」

「どうしようかなぁって悩むね」

「そういえば産まれてくる子って、神様か人間か分からないんだよね?」

「うん。何もいじってないからねー。どういう存在が生まれるかどうかは私も知らない! でもだからこそ、楽しみ」



 僕は人間で、乃愛は女神で。

 だからこそ産まれてくる女の子二人は、神様として生まれてくるのか、人間として生まれてくるのか、それとも半神みたいな存在になるのか……そのあたりはさっぱり分からないらしい。



「神様にとって名前は特別とかあったりする?」

「まぁ、ちょっと特別ではあるけど。博人がつけて問題ないよ!」



 乃愛にさらりとそんなことを言われる。

 あの二度目の高校二年生の一年以外は、乃愛は力を使ってなくて、普通に一人の人間として生きている。でも乃愛の本質はあくまで神で、産まれてくる子供もどういう存在として出てくるか分からない。

 ただ僕にとって乃愛が女神であろうと乃愛は乃愛だし、産まれてくる娘も神であろうが人間であろうが娘なので、ひとまず直感で名前を考えることにした。




「じゃあ華乃と志乃で」


 乃愛の文字を使って、女の子らしい名前にしたいなと思い、そんな風に決めた。

 安直に決めてしまったけれど、僕が思いつくのなんてそれぐらいである。



 乃愛はその二つの名前を気に入ったみたいで、楽しそうに笑った。




「華乃と志乃ね。ふふっ、博人が名前をくれたよー。喜んでね」


 乃愛は聞こえていないだろうにお腹に向かってそう言って話しかけていた。

 ……と、思っていたら乃愛が面白そうに笑ってこっちを見る。



「今、多分返事したよ!」

「返事?」

「うん。ふふっ。このお腹の二人は神様よりなのかも。博人から名前をもらえたことが嬉しいみたい。私に向かって返事したもん」

「喜んでくれているならよかった」



 まだお腹の中にいる子供が返事をするなんて普通ならばありえないことだろうけれども、乃愛がそういうなら本当に喜んでいるのだろう。

 僕は喜んでくれているならよかったとほっとする。


 それにしても神様よりかもってことは、反抗期とかが来たらどうなるんだろうか……? まぁ、そのあたりは乃愛に任せておけば大丈夫だろうけど、ちょっとだけそんなことを考えるのだった。




 産まれてくるのが楽しみだ。




 

というわけでこれで記念小説は終わりです。

リクエストいただいた方ありがとうございます。

リクエスト外ですが、博人と乃愛を書きたかったのでこれも書きました。

楽しんでいただければ嬉しいです。


2023年1月3日 池中 織奈

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