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私とアル兄様の日々【身体を奪われたわたしと、魔導師のパパ】

アルバーノがベルレナ(ベルラ様)を見つけた後の日常の話です



「アル兄様は、やっぱり凄いよね」


 私、ネネデリア・オーカスは兄であるアル兄様と一緒に剣をふるっている。

 ――私は貴族令嬢だけど、アル兄様と一緒に剣や魔法の練習をしている。キデ兄様や両親からは私がそうやってお転婆しているのを嫌がっているけれど、私はいつか、ベルラ様に会うためにそういうことを続けたいと思っている。



 アル兄様は割と天才肌な面が強い。

 淡々と、全てをこなしていくような……どこか人間味がない一面があるような。そういう部分がある。


 アル兄様はそういう人である。アル兄様は綺麗な顔立ちをしているから、アル兄様を紹介してほしいって言ってくる令嬢もそこそこいたりする。でも結局のところ、アル兄様はお茶会とかでも話しかけられても必要最低限しか会話を交わさない。

 でもアル兄様は、私とは沢山話してくれる。ベルラ様という共通の大好きな人がいるからなのだけど、その話題をアル兄様と沢山出来るのは楽しいものだ。





「この位普通だ」

「アル兄様、そうやってすました顔で告げると反感かっちゃったりするかもしれないよ? アル兄様は誤解されやすいから気を付けた方がいいと思う!」


 アル兄様にそんな言葉をかけても、アル兄様は平然とした顔をしている。

 アル兄様って、周りからの評価をあんまり気にしない人だ。私も気にしない方だけど、少しだけ気にしてしまう。

 そういうところはアル兄様らしいなと思う。




 私が女の子だからって剣や魔法を一生懸命学ぶのを他の家族は嫌がったりするけれど、アル兄様は私の相手をしてくれる。

 私がやりたいことならアル兄様はなんだかんだ手伝ってくれたりするのだ。




 私とアル兄様の考えていることなんて共通していて、いつかベルラ様に会いたいというそういう思いなのだ。

 ベルラ様が何処にいたとても会いに行けるぐらいの力が手に入ったら……なんて夢物語かもしれないけれど、そんなことを考えている。






「私がもっと剣の扱いが上手くなって、魔法をどんどん使えるようになったら……。いつか出会うことが出来たベルラ様は私のこと、褒めてくれるかな」




 新しい姿のベルラ様のことは、姿も見たことがない。でもアル兄様から聞いた新しいベルラ様の姿のことを、私は想像する。

 どんな声をしているかも分からないけれど、ベルラ様が私のことを褒めてくれたら――、私はきっと幸せな気持ちになるだろう。



 昔のベルラ様なら、ちょっと偉そうに褒めたかもしれない。でも今のベルラ様なら違う褒め方をするのかもしれない。

 でもどんな姿だったとしても、どんな褒め方だったとしても私は嬉しくて仕方がなくなるだろう。




「褒めてくれるだろう。俺も……ベルラ様に褒められたら嬉しいと思う」

「そうだよね。私もそう思う。ベルラ様に褒められたら幾らでも生きていける気がするもの! ああ、想像しただけでとってもワクワクするわ」

「いつ会えるか分からないけどな」

「早く会えたらそれは本当に最高に嬉しいけれど、例えば死ぬ間際にでもベルラ様に会えて褒められたら私はそれだけで満足するもの」



 私がそう言い切ったら、アル兄様は小さく笑った。

 アル兄様はあまり表情を変えないけれど、私と話しているときは時々その表情が変わる。特にベルラ様のことを話したり聞いたりしているときは表情豊かだと思う。




 そうやって会話を交わした後、私はアル兄様の部屋で魔法の本を読んだり、ベルラ様の話をしたりする。



 私とアル兄様はよくこうやって互いの部屋に集まって、のんびり過ごしたりする。アル兄様は一人で過ごすことを全く苦に思っていないような性格なので、私が誘うことが多い。でもアル兄様がベルラ様のことをしゃべりたくなった時は誘ってきたりもするけどね。



 魔法の本は難しいものも多い。理論づけて語られているようなものだと、正直理解が出来なかったりするの。でもアル兄様って頭もいいから、私よりも二歳しか変わらないのにそういう本も理解していたりするんだよね。


 今読んでいるのは、魔法師組合が発行している本だ。

 魔法師組合のえらい人が書いた本みたい。

 アル兄様に説明をされながら、くみ取っていく。


「アル兄様の説明ってわかりやすい。アル兄様はやっぱりすごいね」


 私がそう言って褒めてもアル兄様は平然としている。


 私はその日はアル兄様の部屋で夕飯の時間まで過ごした。

 時々こうやってほぼ一日中アル兄様と過ごしたりもしているの!



 アル兄様と過ごしていると周りがすっかりもう忘れてしまっている――私とアル兄様が求めているベルラ様のことを感じられるからとっても楽しい。

 アル兄様っていう、同じ考えの存在がいるからこそ私はベルラ様のことを忘れずに過ごすことが出来るのだ。



 アル兄様も私と同じように思っていてくれると嬉しいなってそんな気持ちになるのだった。




 

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