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私と迅の共同作業だよ【ダンジョン経営シリーズ】

初恋暴走譚の後の話です。




「虐殺、虐殺~」

 


 私、花本愛はそんな歌を歌いながら『黒き死の森』をうろうろしている。



 今、私が何をしているかと言えば私のダンジョンである『黒き死の森』を攻略しようと国家が動いているから、その対応をしている。

 私のダンジョンを攻略したいと思っている人々が押し寄せてきているの。

 そういう人たちを虐殺するのだ。



 だって、攻略されてしまったら私の消滅もあるかもしれないし。私は消滅せずにもっとこの世界を遊びつくしたい。




「愛、全員殺すか?」

「もちろんだよ。ふふ、全員殺すんだー」



 ちなみに私のダンジョンに国家が攻めようとしているので、迅は正直関係はないんだよね。

 告白は相変わらず保留にされているままなのだけど、それでも私のことは気にかけてくれているっぽい。そうじゃなければこうやって攻められている私のダンジョンのためにここにはいないよね。


 すっかりダンジョンマスターとしての風格を持ち合わせているっていうか、迅は私の性格を受け入れていて、そういうところがやっぱり好きだと思うのだ。





 こうやって共同作業が出来るのっていいことだよねー。

 いや、前世で言うロミジュリ的な、敵対関係からの愛の関係っていうのも盛り上がるし面白いかなと思うけれど、こうやって同じダンジョンマスターって立場だからこそ共闘が出来るのもいいよね。きっとどちらにしても面白かったんだろうけれど。



 でもそうだな。私は多分地球にいたらずっと良い子のままで、迅に出会ったとしても迅の面白さに気づくことなんてなかっただろう。

 やっぱりこの世界でダンジョンマスターとして生きていくのは楽しい。



「私のダンジョンをつぶそうとする連中なんて、全員ぶっ殺す以外ないよねー。国ごと潰してもいいけれどあまりにも人を減らしすぎると経験値がなくなるからなぁ。とはいえ、私の可愛いモンスターたちが死ぬのは嫌なのよね」



 私の可愛いモンスターたちがなるべく死なないようにしたいからね。私自身が出て行ってもっと色々遊んだりもしたいなぁ。でもハニートラップは迅がいるからする気はないんだよね。

 迅とは私が唇を奪ったぐらいだから……うん、それ以上の関係にはいつかなれたりするのかな? まぁ、なってもならなくても面白そうだけど。



 どうしようかなぁ。

 魔物にとらわれた少女を演出してみるかなぁ? それとも国がダンジョンへと攻め込んでくるんだから、長期戦だよね。子供でも人質にして遊んでみようかな?

 子供を並べて、遊んで……。うん、それでもダンジョンを攻略したいかって話だよね。



 私のダンジョンは、人からしてみれば宝の山でもあるからね。攻略して危険を無くすことも目的だろうけれど、宝を手に入れることも目的だから。

 あとは国をあげて侵略すれば、ダンジョンも攻略できるとそう思い込んでいるのだろう。そういう自信に満ちている存在を絶望に陥らせるのが面白いんだもの。




「愛、何か企んだ顔をしているな」

「ふふっ、どうやって遊ぼうかなって、単純にこう虐殺してもいいけれど……、遊びながら殺した方がよくない?」

「どっちも結果は一緒じゃないか?」

「そうだけどー。遊びたい! だから遊ぶの!!」



 私がそう言ったら迅は呆れたような顔を浮かべながらも私のやることを止めない。

 愉しい愉しい遊びをしましょう。国を絶望させるための、私のダンジョンがどういうものか思い知らせるための。





「迅のダンジョンのモンスターも貸してくれてありがとうね、迅。愛の共同作業ってやつ?」

「俺も愛のダンジョンが攻略されるのは困るから」

「ははっ、後半無視? まぁ、いいや。でも私はダンジョンマスターとして迅よりも先輩だよ? 一国家如きには負けないよ?」



 本当に迅は良い性格をしているなぁと私は笑ってしまう。




「それでも俺は、愛が消えるのは嫌だから」

「あははっ、私のこと守ろうとしてくれてるんだねー。本当に迅って面白い」



 私が一般的に見て悪逆非道な『黒き死の森』のダンジョンマスターだって知ったうえで、私が人の命をもてあそんだり、人を絶望に陥らせたりして面白がっているのを知っているのに――迅は私を心配して、なんだかんだ守ろうとしている。



 本当にその事実が面白くて仕方ない。

 こういうことを言うのが迅じゃなければ私は生意気な後輩だって、殺していたかもしれない。

 でも相手が迅だから許してあげる。




「私も迅のこと、守ってあげるからね。あんな一国家如きに迅の命はあげないよ!!」

「はいはい」



 適当にあしらわれてしまったけれど、まぁ、軽く遊びましょう。



 ダンジョンマスター歴の長い私と、ダンジョンマスターとして経験を積んできている迅。

 うん、負けはしないよね。



 私と迅の共同作業で、絶望させてあげるよ。



 そう思いながら私は楽しく、迅と対応した。その過程で沢山の人を絶望させて、色んな人の表情が見れて、本当に楽しかった!!





ダンジョンマスターとして経験値を積んでいる迅でした。

愛は相変わらずです。

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