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高嶺の花はストーカー

作者: 黄田田

伊原 佐織がおれのストーカーをしているらしい


最初にそのことを聞いたとき、おれはいの一番になぜ?と思った。伊原さんは学内でも指おりの美少女として評判で、古い言い方だとクラスのマドンナのような存在だ


そんな高嶺の花がなぜおれに、しかもストーカーというアングラまがいの方法で接近してくるのかわからなかった


事件が起きたのは今から二か月前


ちょうど夏休みが明け、皆が陰鬱な様子で登校していた9月の中頃。おれが部活を終え、自宅に帰るとドアノブに袋がかかっていた。中に入っていた様々な大人のおもちゃ、デイルドにバイブレーター、SM用の目隠しにコロン、バイアグラなんてものも入っていた


これを日夜連続でしかけられていて、最初は本気で気持ち悪かった。おれは田舎から今の東京の高校に通うため小さいアパートで一人暮らしをしているため防犯上においてはあまりよろしくない。変なやつに襲われても一人だからだ


夜、道を歩いていても誰かに付きまとわれている気がする。家には侵入されていないのか、モノを盗まれるといった直接的な被害はなかったが、ふとポストを開けてみると大量におれの盗撮写真が出てきたときはもう泣きそうになってしまった


だが男のおれがストーカー被害を受けたと警察にいってもまともに対応してくれないだろう。そう思ったので私立探偵に頼んだ。


ストーカー野郎の顔を拝んでから、付きまとい行為の証拠とともにサツに突き出してやろうと思ったのだ


そう、野郎。おれはストーカーは完全に男だと思っていた、だが違った。探偵が取り出した写真に写ったドアノブにいつもの袋を括り付けるストーカーは女で、それも伊原さんだった


本気で謎だ。確かにモテる方ではある、母親譲りのこの緑がかった瞳は女子からの評価は高い


勉強も運動もそれなりにできて顔自体の造形も少し女顔だがまぁいい方だろう。だが言ってしまえばこんな男などごまんといる


あの恋人を選ぶに困らないだろう伊原さんがなぜ?それもなんでこんな方法で?


一万歩、いや百万歩ゆずっておれのことが好きだとしてもおれに性具を見せつけるこの性癖が伊原さんにあるとは思えなかった。まだおれのことが憎くて嫌がらせしている方が理解できる


あまりにも意味不明で、探偵の情報を信用できない。疑問を晴らすのは自分の手で調べるしかないか。おれはそう思って明日高校にいったときに徹底的に伊原さんのことを調べ上げようと思った




***


伊原 沙織


17歳。高校二年生


ミルクティーを溶かしたような茶髪のセミロングに灰色の瞳が特徴的な女子。話す機会は特になかったが常に女子グループの誰かと一緒にいる印象がある、あまり口数の多い方ではないが行事や学校生活においてもその顔と温和な雰囲気で常に存在感をいかんなく発揮する、典型的な一軍女子だ


くるくると眉にかかった前髪に、二重瞼の大きな目。艶がかった薄い唇は常にほころんでいる彼女の口元によく似合う。改めて彼女の顔を見ても容姿だけでこのポジションに立っているのが何の違和感もない、突き抜けた美貌だった


そんな彼女が、なぜ?ふと見上げると彼女と目があった。手を軽く振って、ほがらかに微笑んでくる。こちらも軽く挨拶を送ると、彼女は何か思ったのかこちらに近寄ってくる


来た、もう直接聞いてしまうか。ここで聞くのはだめだろうからどこか別の場所であう約束を取り付けよう


「…伊原さn…」

「おい狭間!お前伊原さんに見惚れてんじゃねぇよ」

「あ…」


しまったな、伊藤の奴の一声で皆の注目がおれに集まってしまった。仕方ない後で仕切りなおすか、昼休みとかにでもまた声をかけよう


「で、どうなんだ?ほんとに見惚れてたのかお前?惚けたやつだなぁ」


伊藤の奴がまた意地の悪い顔で聞いてくる。確かにジロジロと顔を見ていたのは事実だな、だってあんな可愛い人がおれのストーカーだなんて意識しちゃうのも仕方ないだろ!


「あぁ見惚れてたよ。なんてきれいな顔何だろうって」


と、おれは堂々と言ってやった


「ぶっ、ドヤ顔で言いきってんじゃねぇよ!」


どっと教室中に笑い声が広がる、女子の方からは黄色い歓声が響いた。それとなくあとで会う約束を取り付けるだけだったのに…


退屈な午前の授業が終わった後、おれは伊原さんが一人っきりになるチャンスをずっと待っていたがなかなか訪れなかった


現在伊原さんは廊下で女子2人と話している。おおかたそのメンバーでこれから昼食を取りに食堂にでも向かうのだろう。まいったな、伊原さんと話せるタイミングがないじゃないか


だいいちあの二人はいつも伊原さんと一緒にいるグループの連中だし、これから学校が終わるまで伊原さんが一人になるタイミングがないなんてざらじゃない。二人だけで話すのはそれこそストーカーでもしないと怪しい話だった


「もう聞いてしまおう。…あのちょっといい?伊原さん」

「な、なにかな狭間くん」


伊原さんは少し驚いている様子だ、無理もない。さっきからずっと食い入るように見つめていた男が急に話しかけてきたのだから。周りの女子の目線が痛い


「二人きりで話したいことがあるんだけど、放課後ラウンジでどうかな。コーヒーがおごるからさ」


うちの高校は私立なのでラウンジなんてお洒落なものもある。コミュニケーションには最適な場所だ、これを活用しない手はないだろう


女子からはこいつやりやがったような目つきで見られている


「え、うんいいけど…またなんで急に?」

「ちょっと話したいことがあってね、じゃあそういうわけだから」


そう言っておれはスタスタと足早にその場を離れた。これでよかったのだろうか…周りの反応といいなんか告白する流れみたいになってなかったか?全然そんなことないのに、うぅ…会話って難しい


しかし、以前やることはある。おれは昼休みが終わる前までに調査をするため職員室へ向かった




***

「あいつヤバくない?」

「ね、あれ告白だよね。狭間くんって朝のことといいあんなガツガツくるタイプだったんだ。ちょっと意外」


狭間が去ったあと、教室の中には女子グループ数人が弁当もそっちのけでキャイキャイと騒いでいた。狭間が伊原に告白するといったうわさが速攻で広がったからである


「でも狭間くんって別にありじゃない?ちょっと儚げな雰囲気とかなっがい睫毛とかあのきれーなエメラルドグリーンの眼とか素敵だと思うけど」

「わかる色素薄い系って感じだよね?ハーフだっけ彼」

「クォーターらしいよ。詳しくは知らないけど」


これだけで狭間の交友関係の狭さがわかる。同クラスの男友達すら少ないのに女子となんてまともに話したことなどなかった


「えぇ~私は絶対ないなぁ。確かに綺麗だけどちょっと女顔すぎ、普段かなりたよりなさそうな感じだしさっきとかモロ挙動不審だったじゃん」

「それは好みの問題でしょ。私はああいうタイプドンピシャだし」

「それただの面食いってだけじゃん」

「は~1?わかってないなぁ」


と、当人そっち抜けで盛り上がる姦しい女たち、群体化した女子高生たちはこの手の話題が大好物だった。がさすがに問題だと思ったのか取り巻きの一人が尋ねる


「だいいちあんたはどうなのよ沙織。ああいうタイプは、告られても受けるの?」

「え…うん私は別に、ちょっといいかなとは思ってるよ」

「マジ~?さっきのコミュ障っぷり見たでしょ。あいつ思いだしたけど、確か残念なイケメンランキングで学年一位とってるやつよ。それでもいいの?」

「何そのふざけたランキング」

「顔がよければ正義なのよばぁ~か。ね、伊原ちゃんもそう思うよね」

「うん、私もちょっと欠点あった方が素敵だとは思う…よ?」


どうやら最終的には狭間を好意的に見る意見の方が多数派のようだった。伊原本人も顔がよければ正義の代名詞のような人間なのでそう偏るのも当然だろう


「ていうややけにいい匂いしてなかった?」

「あ~わかるコロンみたいな香りしたよねぇ。ほんとそういうタイプじゃなかったのにね」

「色気づいたんじゃない?かわいい」

「男のくせに香水とかきも…」

「まぁ人それぞれじゃない?」


そんなことで騒いでいるうちにさすがにそろそろ腹の虫がなったのかぞろぞろと恋愛談義から解散していく女たち。噂に機敏なようでも当人の変化には誰も気付かなかった、伊原が香水の話題を出した時に紅潮した顔で小さく舌なめずりしたことを


「ふふ…狭間くん私があげたコロンつけてくれてるんだぁ」




***

「すいません2年の狭間です。武内先生はいらっしゃいますか」


昼休み。おれはある調査をするため一階にある職員室を訪れていた


「おぉなんだ狭間、今飯食ってたんだが何か用か。一緒に食べる友達がいないなら何なら先生たちといっしょに混ざってもいいぞ」

「馬鹿にしてます?」

「はは、ばれたか、それで要件はなんだ?今朝返した小テストの結果に不満があるって話なら付き合わないぞ。もう点数はつけたからな」

「そんな話じゃないですよ…」


この人は武内先生。37歳と比較的若い年齢とこのようにフレンドリーな距離の近さで人気があるうちの担任だ。担当科目は世界史、古代ギリシア時代の熱狂的なファンらしくその時代を解説する時だけやたら熱が入る。その時天文学者のアリスタルコスを連呼したことによりあだ名はなぜかアリスタルコスになった。ちなみにおれはこの教師苦手


「要件っていうのは、最近の伊原さんの素行についてなにかおかしなところがあれば教えてほしいんです」

「伊原の素行?それをなんでお前が聞く」


そう素行調査。伊原さんがこんな奇行に走った原因を調べるにはこれが一番だ。この学校は生徒一人一人のケアに力を入れておりスクールカウンセラーも常勤している。なにか精神に問題を抱えてそうな生徒がいればすぐ対応するだろうし、担任の耳にも入るだろうと踏んで、武内に相談してみた


「気になったことがあるんです。教えてもらうことはできませんかね」

「なんだ、お前にも気になる女子の一人くらい入るんだな。あいにくだが俺に恋愛相談は向かない。隣のクラスの成田先生にでも言ってくれ」

「恋愛相談なんかじゃありませんよ!おれが聞きたいのは伊原さんが何か問題を起こしたとか最近の様子についてとか、そういう話です」

「だからそれをなんでお前が聞く?確かに伊原が起こしたトラブルはあるにはあるがそういう話は生徒のプライバシーなんだからいえないに決まっているだろう。“なにか重大な被害を負った”とかでもない限りそんなこと言われても困る」


もう埒が明かない。この手を使うつもりはなかったがこのままだと昼休みが終わってしまう、見せてしまおう


「あぁ~先生帰らないでください、これです。この写真を見てください、これを受けておれは先生に相談しているんです」


そう言っておれは伊原さんがおれにストーカー行為をしている証拠の写真を見せた


「これは…お前の家の前?このレインコートの不審者は、伊原!?」

「ちょっと声が大きいですって!その写真は一昨日おれが依頼した探偵のとったものです。ほかにもあります、なんで伊原さんがこんなことをするのか理由が知りたいんです」


おれの出したゴミをあさる彼女、不審物をポストに入れる彼女、例の性具の入った袋をドアノブに括り付ける彼女、すべての写真を見て武内は絶句すると神妙な顔つきになって改めておれの話を聞き始めた


数か月前から伊原さんにストーカーされていること、本人に聞きたいがまず最初に担任である武内から彼女についておかしなことがなかったか聞きたかったこと、すべて話した


「そうか…大変だったな。この場合だったら話してもいいのかもしれん、くれぐれも内密にな」

「もちろんわかってます」


武内は恐る恐る伊原さんが最近起こしたトラブルについて話し始めた


「…彼女は最近暴力事件を起こしているんだ、それでその相手ってのが同じソフトバレー部の後輩で、事件前は伊原のことを姉のように慕っていたんだと」

「へぇ、それがなんで暴力を」

「理由は知らないんだが、なにかが伊原を怒らせたらしい鬼のような表情で血だらけの後輩を殴っていたのを見た生徒が何人かいた。その傷はもう、太ももにはなにか槍でも突き刺したっていうのかぐらいの大きな穴もできてかなりひどい状態だったらしいぞ」

「被害者の後輩はどうなったんですか!?」

「現在入院中だ、それでこっからの話なんだが…なぜこの話が大事になっていないと思う?」


真顔だが内面は心底面白がってそうな様子でクイズまがいなことを訪ねてくる武内。この男、本当に教師として相応しいのだろうか


「知りませんよ!なにが起きたんですか」

「その話…示談になったんだよ、かなりの深手になったにもかかわらずな。伊原とその後輩の仲がかなり親密だったことで被害者家族と伊原の家族とで合意してその事件はなかったことになった。学校にもそういうことにしろという連絡も来て、それで後輩はただ事故にあっただけということになったんだ」

「またなんでそんなことに?」

「言っただろ?親密な関係だって、その、伊原は同性愛者だったんだ。公言こそしていないが伊原とその後輩は正式に付き合っていたカップルだったんだよ」


今明かさせる正直の事実。あのマドンナの伊原さんが、同性愛者。そんなこと知っている人間なんて極少数しかいないだろう


そのなかったことになったという事件もあの噂好きの女子たちにかけらも情報が入っていなさそうなところを見るに相当徹底されているらしい。これ以上首を突っ込むのが怖くなってきた


「な、そうだったんですね。てっきり…いえ、もう戻ります。写真を返してもらってもいいですか」

「いやこの写真はお前がストーカー被害にあったとして上に報告しておくから必要だ。昼休みももう終わる、飯はまだなのか?急いで食って次の授業の支度をしろ」


渋る武内。別に写真は渡してもいいがどっかから情報が洩れたらかなわんな。この教師は信用できん


「こんな相談してあれですがこれから伊原さんとも会いますしあんまり大事にしたくないんです。やっぱり返してもらっていいですか」

「む、そうか、じゃあこの一枚だけでいいか、早く戻りなさい」

「はい先生」


まぁ一枚ならいいだろう。おれは武内に向かって軽く礼をすると、これからどうしたもんかと考えながらそそくさと職員室をあとにする、教室へ向かう階段に足にかけたとき遠くの武内から大声で呼び止められた


「あとお前、髪を切れ!髪切らないとお前女性にしか見えないぞ!!」


どっと職員室周辺から笑い声が聞こえる。あの糞教師、精神的苦痛で訴えてやろうか。美容室は怖いんだよ、あとおれは女顔じゃない。ただちょっと母さん似になりすぎただけなんだ




***

6限が終わった後の放課後。おれはたんたんと帰宅する生徒、部活に行く生徒を横目に彼らのいく方向とは真反対のラウンジに向かって歩いていた


この時間帯のラウンジは人が少ない、何かを内密には話し合うにはぴったりの場所だ。改めてこの場所を指定したのは我ながら賢いと思う


「しかし、伊原さんは来てくれるだろうか?」


あれから色々考えてみたものの伊原さんがおれに執着する理由はさっぱりわからなかった。同性愛者という追加された情報も混乱の一つだ、なぜ彼女である後輩と破局したんだ?破局して次の恋人を探していたとしてもなんでクラスメイトって以外なんの接点もなかったおれ?


なぜ?なんで?why? 疑問は膨らむばかり、この期に及んで朝より伊原さんの真意がわからなくなっていた。やはり本人に聞くしかないだろう


ラウンジのやたら重厚な扉を開ける。そこには天使がいた


儚げながらもしっかりと存在感のある優しいベージュの髪にきめ細やかな白皙の肌。華奢で小柄な体を上品そうに、ちょこんと椅子に収めている。愛くるしい顔はどこか憂いをみせているがそれですら可愛らしい。おれの存在にきづくと花束のような笑顔を見せてくれた


うーんこれはアイドル顔負けの美貌だ。こんな可愛らしい女性がおれのような凡庸にストーキングになんてするはずがない、今すぐおれの勘違いでしたと帰りたくなってきた


だがそういうわけにはいかない。写真ではばっちりと伊原さんの顔をとらえているし、おれは何よりも理由を知りたい。なんでこんなことしたのかを


「お疲れ様。狭間くん、ちょっと来るの速かったかな?」

「いや全然そんなことはないむしろ感謝している」


めっちゃ早口になってしまった。一度意識してしまうとまともに発声できなくなるのはおれだけだろうか、ただでさえ女性ってだけでテンパるのに


「ふふっ狭間君ってばなんか焦ってる。顔かわいい」

「そ、そう言ってもらえるとありがたい。いやかわいいって言われるのはなんか違う気もするが」


少々、いやかなりパニくってしまったが赤面する顔を抑えながら伊原さんのいるテーブルに座ることができた


「え~そんなことないよかわいいっていうのは誉め言葉だよ?ちゃんとした」

「ほめてくれるのはうれしいが、かわいいか?こんな高校生のクソガキが」

「まぁ男子にいうにはちょっと違う気もするね、でも顔自体はほんとに、綺麗…」


おれの顔を見つめるなりなにか言い詰まる伊原さん


「どうかしたか?」

「うぅんなんでもないよ、それよりさ狭間君はなんで髪伸ばしてるの?」

「髪?単純に切るのがめんどくさいだけだよ、家にちょうどいいピンもあったし。だけどそろそろ切ろうかと思ってるんだ、武内にもカマくさいって言われたばっかだし」


言い切った後に発言のヤバさに気づいた。仮にも同性愛者である伊原さんの前でカマくさいはまずいだろう、真意を聞き出すためにも傷つけないようにしないと。すぐに訂正しようとした


「すま…」

「うぅん、とっても似合ってる!武内のクズに何か言われてもその髪型はぜっったい変えちゃダメ」


だが一瞬で想像を絶する気迫を出した伊原さんにビビッて何も言えなくなってしまった。武内を、クズ呼ばわり?仲がよさそうに見えていたがそれは表の顔というわけか


この威圧感こそが後輩に手を出したという伊原さんの本当の顔なのか?


「あの伊原さん…」

「なぁに?」


伊原さんはおれの髪をいじって楽しそうにしている、そろそろ本題を切り出そう


「なんで…」

「ふふっ髪質自体は柔らかくても髪型はストレートなんだ、ねぇなんで伊原君はこんなきれいな髪の色してるの?ブロンドにストレートってなんか聖女様みたい。不思議だね、狭間君は男の子なのに」


恍惚そうにおれの髪をなでる彼女。おれの髪に興味があるのか?ちゃんと答えるか


「母方の遺伝なんだ、物心ついたときからこの色だったよ。それより…」

「あはは、知ってる。じゃあ三者面談のあの時来ていたすごく綺麗な人は狭間君のお母さんだったんだね。素敵だなぁ、もうちょっと若ければドンピシャだと思ってたらまさか近くにこんな逸材がいたなんて…」


ん?不穏な雰囲気になってきたか?はやく本題に入ってこんなことやめてもらえるよう伝えないと…


「あの伊原さん…」

「少しピンクも混じってるんだよね、そこがお母さんとの違いかなぁ~。ふふっ花冠のヘッドドレスとかすっごく似合いそう!あ、私って天才かも。それで理想の“聖女”になれるね!狭間君!」


まずいかもしれない。興奮冷めやらぬといった様子で顔を紅潮させながら、おれの髪を後ろからわしゃわしゃする伊原さん


「これつけてあげる!今私がつけてるヘアピンと同じやつ!すっごく似合うと思うんだ」


そう言って彼女が見せてきたヘアピンは、真っ白な百合の花を模してあるものだった


「伊原さん!」

「うぅん?なぁに」

「もうこういったことはやめてほしいんだ」

「髪を梳くこと?」

「違う!」

「じゃぁ、なぁに?」

「…もう付きまとうのはやめてほしい」


それは切実な願いだった


「付きまとい?ふふふ私はそんなことはしてないよ、わかってないなぁ」

「いわば、あれは試練…、狭間君を試すためのもの」


???言ってる意味がさっぱりわからなかった。あまりの意味不明さに混乱しているこちらとは対照的に、後ろに立つ伊原さんは心の底から嬉しそうな笑顔を見せている






Prrrrrrrrrrr!


呆然自失、硬直した時間にさす機械による騒音。伊原さんのスマートフォンからだ、即座にとる彼女


「もしもし。うん、うん、あ、そうなの、じゃあすぐ向かうね」

「ごめん、部活の呼び出しくらっちゃった。手伝ってほしいことがあるんだって」


何が楽しいのか先ほどから常に笑顔を見せている伊原という女。状況を飲み込めない、何か追求しようと思ったが相手の出す異様な雰囲気に飲まれてしまう


この空間の主導権はすべて彼女にわたっていた


「じゃぁそういうわけだから、またね。最後に伝えておくね狭間クン、君、合格だよ」

「何が…」


そう言って彼女はおれが何も言えぬうちに部活に行ってしまった


「逃げられた?のか」


にしても発言が意味不明すぎる。あれじゃ完全にイカレた人じゃないか、試練だの合格だの、何の話だ


一気に彼女に対する嫌悪感が募ってきた。やっぱりストーキングしてたんだ、いやストーキングされていた事実よりもあの学校のマドンナであこがれもあった彼女がこんな変な人だったなんて…。そっちのショックの方が大きい



「はぁ…もう帰って寝よう」


なんか一気に疲れてしまった。また変なものを仕掛けられたら今度はおとなしく警察を呼ぼう。それしかない


学校の外に出て、髪につけられたヘアピンを一度外し、夕日にさして思った


「百合の花、髪型へのこだわり…いやまさかな」


杞憂だろうと思って帰ろうとした矢先、後ろから声をかけられる


「あの!狭間先輩ですか」

「?確かにそうだけど」


まったく面識のない下級生だ。何かの運動部のウェアを着ている


「伊原先輩が呼んでいます。運んでほしいものがあって男手が必要なんだそうです、至急体育倉庫までいらしてください」


伊原…その苗字を聞いただけで背中に凍土が生まれたかのような悪寒が走る。こんなにすぐ悩みの渦中にいる人との再会を果たすとは思わなかった


なんだろう、何をさせる気なんだ?怖い、どうしようもなく怖い


今すぐ断って帰りたかったが、己にある少しの漢気がただのクラスメイトの女子に何ビビっているんだ、呼ばれたんだから手伝いにくらい行けと言った


確かにその通りだ、何もかもおれは心配しすぎだ。あの可愛らしい伊原さんが変なことなんてするはずもない、ただのクソガキ高校生のおれにする理由もない


だいいちおれは男なんだからいざとなったら暴力で解決できるだろうと、今すぐ行く決意を固めた。いややらんけど


「わかった。体育倉庫は隣接してる方か、今向かうよ」


そういうと助かりますといって下級生はほっと胸をなでおろす姿を見せた。そんなにうれしいか?


「ここか」


うちの高校の体育倉庫は体育館の中にあるのと外に隣接しているものと2種類ある。呼ばれた場所は後者の方だ。ちなみに圧倒的に狭くて臭いのも後者


「ノックくらいした方がいいのか?いやさすがに普通しないか」


さびで汚れた緑の扉を開く。むせかえるようなマットにしみついた汗のにおいが来るかと思っていたが歓迎したのは無数の生身の人間たちによる汗の香りだった


「な!」


狭くて暗い空間に無表情で立つ複数人の女子生徒、異様な光景だ。ソフトバレー部か!なんでこんなところ…に…


「え?」


腹部に感じる強烈な違和感と衝撃。何が起き…隣を見るといつの間にか女子がおれの肩をつかみながら立っている


あぁ、これ…


殴られたのか


強烈な痛みと共に意識が途絶える直前、奥で妖艶に笑う伊原さんを見た気がした







***

「待ってたよ」

「ずぅーっと待ってたよ」


…声が聞こえる、優しいようで鋭く頭の中に響く声だ。耳元で囁やいているのか吐息と共にガンガンとおれの頭を揺さぶる


「やっと、やっと見つけた…」


…誰かが呼んでいるのか?甘ったるいにおいが鼻につく。香水か、誰がつけてるのか知らないが今すぐやめてくれ。この匂いはあんまり好きじゃない


しかし、どんどんと強くなっていく匂いと頭に響く声。うぅもうやめてくれ…この匂いはどこから来ているんだ、首元から鼻にかけて突き抜けるように入ってくる


首元から、―――つまり、おれから?


「はっ!!!!」


どこだ、ここは。意識が戻って最初に目に入ったのは全面木張りの部屋、まったく見覚えのない場所だった


埃っぽさが目立ち、とっさに窓はないかと確認したら外はすっかり暗くなっている。家に帰らないと、おれは今まで何をしていたんだっけ


普通に学校に来て今日は部活もなにもやらないで伊原さんに会って…そうだ伊原さんだ。伊原さんがおれにストーカーしていてその訳を知りたくて本人に聞きに行ったんだ


そこからどうしたんだっけ、何か適当にあしらわれてそのまま帰った?いや違う手伝いにいったんだ、そうそう体育倉庫に呼び出されてそこで…


殴られたんだ


蘇った記憶に絶句しそうになる、意識が失う最後に見た景色は伊原さんの笑顔。何がおれの身に起こったんだ?即座に周囲を確認するもここは明らかに体育倉庫ではない


なにか布に隠された大きな物、数えきれないほどある小道具、極めつけは衣装が着せられた無数のマネキン。ロココ調の絢爛なドレス、質素な狩人風のスタイルなど男物、女物問わず存在するそれ


…思いだした、文化祭の手伝いで来たことがある。確かここは演劇部のセットや衣装を保管する場所だったはずだ、なんでこんなとこに?


考えれば考えるほど疑問は深くなるばかり、とりあえずもう帰ろうとした。だが次の瞬間通りがかった姿見に写ったおれの姿に肝を潰しそうになる


その薄汚れた姿見にはダークグリーンの生娘めいたエプロンドレスに包まれた少女が写りこんでいた


頭には花冠のブーケもつけられ、ただでさえ目立つ翠眼と長いブロンドはさらに美麗さを増し、さながらヨーロッパの田舎に暮らす純真な乙女のようないでたちにされてしまっている


この香水といいそういうことか。おれは生まれて初めて髪を伸ばし放題にしていたことを後悔した


「なんで今まで気づかなかったんだ…こんなの、」

「とっても似合っているでしょう」


!!!


突如冷や水をぶっかけられたような衝撃。今までだれの気配もしていなかったのに、後ろを振り向くと白髪の謎の少女が立っていた


「伊原…?さん」

「ふふっそうだよ。やっぱりそのロングスカートのドレスにしてよかったぁ、選ぶ時間はたくさんあったからこの倉庫でじっくり考えて選んだんだ。これから最高の夜にするんだから」

「その髪と、その“角”は…?」


伊原さんなのか、これが?彼女の特徴であった茶髪は雪を思わせる澄み切った白に、灰色の瞳は怜悧そうな紺色に変貌し、なにより額の中央には螺旋状の筋の入った一本の長く鋭く尖った角がまっすぐとそびえ立っており、もはやコスプレの領域ではなく彼女が人間ではないことを証明してしまうような異質な容貌だった


「あぁこれ?興奮するとこうなっちゃうんだよね」

「あぁ…」


だがそんなことはどうでもよくなるくらい、本性を現した彼女は美しかった。以前とは打って変わって大人びた様子で純白のドレスに身を包み、どこか焦点のないそのラピスラズリの瞳は人の視線を勝手に引き寄せるほどの魅力を持つ。息をのむような佳人、それが現在の伊原 沙織に対する評価だった


「ほんとうはこのドレスと同じ、聖女らしい純白の衣を着せてあげたかったんだけどそれじゃだめなの。理想の処女(おとめ)たる狭間クンにはふさわしくない、非処女っぽいんだもん」

「何を言って…」

「この学校はどいつもこいつも純潔を血で濡らしたクズばっかり、美徳を忘れたかって思うよね」


ぶつぶつと虚ろな瞳で怒りに震えだす少女


「私の一族は必ず身も心も清らかな聖処女と結ばれなければならないの。それも清らかなだけじゃなく神に愛されしような容顔美麗な相手ではないと到底足りない」

「狭間君ならわかってくれるよね…?」


懇願するような様子でおれを見つめる伊原さん。女装させたことといい、うっすらと目的がわかってきてしまった。だがそれはあまりにも、倒錯的すぎる


「あぁなんでもっと早くこの選択肢に気づけなかったんだろう。そうすればあんな女と関わらくて済んだのに」

「それはもしかして、後輩の…」

「あのクズは私を裏切った、本人は犯されたと言っていたが嘘だ。永遠の純潔を誓った仲だったというのに性にまみれて不浄に身を窶したんだ…」

「だが、おかげで気づけた。真の聖処女はすぐ近くにいたということに。男というだけで選択肢からを外せざるを得なかったが、男がだめなら女にしてしまえばいい」

「あぁ狭間クン、私の蜜、私の月、私の愛…。どれだけ穢れた性具を送っても悪魔の手先たる女に誘われても貴女は決して貞操を散らすことはなかった」


いや、当たり前だろう。ストーカーから送られた得体の知らない物なんてコロン以外使う気になれなかった。しかもバイブローターとかパールって男はどう使うんだ


「だが香りだけはつけてくれることは最高にいじらしい!誘っているのかとしか思えなかった」

「すべての女性が一匹の悪魔を連れるとするならば、美少年は17匹を連れているという言葉があるがこれは正しかった。あぁ、その宝石に見まがう翡翠色の双眸、金糸を紡いだような髪、完璧に整った目鼻立ち、男でありながら女神のような浮世離れした美しさ、あぁ貴女が、狭間聡一、君が欲しい」


そして祈るように、伊原さんは腰を折って、おれに哀訴した


「どうかこの器量の狭い銀の一角獣の番になっておくれ」


―――この人はさっきから何を言っているんだろう


おれが受けるわけないじゃないか、いきなり付きまとって、拉致してこんな服装させてひたすら独りよがりな自分の欲望つらつらと語って、おれがokするとでも思っているのだろうか


「あのな伊原。確かにおれは童貞だし、その…お尻の穴も未開発だし、見た目もちょっと女っぽいかもしれない。それがお前のドンピシャでそこに一目惚れしてくれたってのは素直にうれしいし、ありがたいと思うけどこうやって拉致したり、付きまとったりして今度はいきなり番になれなんて言い出すのは違うだろ?明らかに」

「だっておれたちはお互いのことなんてほとんど知らないただのクラスメイトだったじゃないか、それを一目ぼれしたからいきなり変なもの送って試すような真似して、付き合ってだなんてどこまでもおれの迷惑や都合を考えてくれてない」

「恋愛っていうのはお互いの気持ちや領域を考えてじっくりと調和していくものだろ?会話しててこの人のどこどこが好きになったになったとか今日好きになったところを振りかえって、あぁやっぱりこの人とは趣味が合うなぁとかさ。さっきから聞いてて思ったけど伊原がおれのことが好きな理由って全部容姿のことしかないじゃないか」

「別にそれでもいいけどやっぱりそれじゃ少し寂しいなと思う。付き合うってのはやっぱ段階を踏んで、友達からお互いのことをよく知ってってのが理想だよ」

「おれは伊原の趣味も何も知らない。だからその番になれ?って要求には答えられない、でも伊原のことは別に嫌いじゃないし、興味もあるかあらまずお友達からっていうのはだめか?」

「もしだめなら何でもするから…」


すると、ぶわっと擬音がするかのように滝のような汗が伊原の目から飛び出した。口をわの字に大きく開けて赤ん坊のように泣いている


「うわっどうしたんだ?伊原」

「うぅ私があまりにも情けなさくて…」

「ごめんな、伊原答えてやれなくて」

「いぇそうじゃないんです。私は純潔を愛するあまり真の純潔とは何かを忘れてしまった。そうです!本当の処女がこんな告白されてほいほい受けるわけがない!そんなの乙女ではない!」

「お友達から…そうです本当にそうです。理想の処女は絶対にそう答える!」


そう言い切ると今度は一気に耳元まで真っ赤にして急に恥ずかしそうな様子を見せる


「あぁ、私はいったい今まで何を言っていたんでしょう。こんなのセクハラと変わりないじゃないですか守護すべき聖処女を自らの手で恥ずかしめて

「いやセクハラは最初からしてたぞ…?」

「狭間君。貴女は本当に私の理想の処女だ、困らせるような真似を何度もして悪かった。そうお友達から、ここに絶対のあなたへの忠誠を誓おう」


勝手に反省したのか、聡明そうな顔に戻り改めて握手を求めてくる彼女。いつもとは全く違う大人びた彼女の本性だったが、これから学校生活を送っていけば仲良くなれるかもしれない。理想の処女扱いはやめてほしかったが


「じゃぁ今日から友達だな伊原!」

「うぅ…これが溌剌とした清らかさこそが真の処女か…」


この倉庫を出る際いい加減このドレスを脱ぎたがったが伊原がどうしてもと渋るので、仕方なく膝枕をすることになった。膝枕されることは伊原の一族にとって本懐らしい、一族ってなんだって話だが


「あぁ最高…処女の膝枕、ほのかの純潔の香りがすりゅうううううう!!!」

「ちょっと変なとこ嗅ぐなよ!」


そんな感じで完全にキャラが変わってしまった学校の高嶺の花と一緒におれたちは夜の学校を抜け出した


その後こっぴどく怒られたのは言われるまでもない




***


数年後…


「あぁっそこっ!狭間ちゃん気持ちいい」

「ここですか?疲労がたまっているようなのでじっくりマッサージしますね」


眼鏡をかけた熟年のちょっとぽっちゃり気味な女性。こう見えて多額の資産を巧みに動かし株式売買で何桁もの個人資産を所有するほどの抜け目のない投機家でよく店にやってきては毎回おれを指名してくれる太客リピーターの一人だ


「ありがとね、今回も気持ちよかったわ。やっぱり狭間ちゃんがこの店では一番美形ね」

「ありがとうございます。お客様を気持ちよくさせることが私共の喜びですから」

「はいこれ、今回のチップ」

「えぇ!こんな大金いただけませんよ」

「いいのよ、ただでさえ人気な狭間ちゃんを90分独占できたことへのお礼よ、お礼」

「重ね重ね感謝します」


そう言っておれは女性をフロントまで送る。閑静な住宅街の静謐な雰囲気が陽光と共に肌で感じられる


おれは高校を出て、大学をなんとか卒業してからある人に誘われて女性用風俗で働くことになった。住宅街のなかにある表向きはただのマッサージ店だが実際は女と男の欲望が荒ぶるなんとやら…だ。たまに男の客も来る


といってもそこまで重いことはしない。マッサージがほとんでで精々が舐めたり、客の要望を最低限かなえる程度だ


おれの限りなく女に近い容貌を気に入ってくれたのか90分女装したおれをただ見つめてた客もいたな


本番は特におれに至っては絶対“NG”。規約違反なんてしようものなら監視カメラでとらえた店長がその“角”で突っ込んでくる


そんな感じでどう考えても住宅街にあるのが違法なこの店。もともとは繁華街にあったのだがあの人が繁華街の“穢れた”雰囲気を嫌い場所を移したのだ


「狭間くぅぅぅぅん!!!!」

「ごふっ」


考えていたそばから裏口から入ってきたのか背後から突撃してくる女性。角こそ当たっていないがやはりこの人の力は相当強い。衝撃で吹っ飛ばされそうになった


「店長いきなり抱き着かないでください。ビックリしましたよもう」

「ごめんごめん。しばらく会えなかったから聡一分を摂取しておきたくって」

「聡一分ってなんですか」


一度見れば誰しも振り返るような、息をのむほどの麗人


学生時代から変わっていない小柄で華奢な体つきはかわらずにバストだけはすさまじい勢いで成長しているこの人。あの日以来完全に白に近い銀髪になってしまったので冷ややかな紺色の瞳と相まって昔のような柔らかな雰囲気は出なくなってしまったがこれはこれでいい


「今日も変なことされなかった?ひどい客がいたらすぐ私に報告するんだよ、物理的に“出禁”にするから」

「あまり物騒なことはしないでくださいよ…今日は何しに行ってたんですか?」

「うーん今日はねぇ狭間くんをアイドルにするために奮闘してたんだ。ほめてほめて」

「まだその話諦めてなかったんですか、はいはい頑張ってますよ。伊原店長は」


そう言って頭を撫でてやる。この人は、自分の所有物が穢されるのは嫌なくせに寝取られが好きというとんでもない性癖を持っているもんだから困り者だ


他者にギリギリのところまでの接触は許すが本番までは許さない、この店だってそんな彼女の性癖に寄り添うにできている


どこまでも横暴で、無鉄砲で自制が効かない。そんな『不節制』を体現するかのような彼女だからほっとけなくて惹かれたのだろう。そんな自分も我ながら難儀なものだと笑ってしまった


「あっその顔いい。よぉし今日は私自ら3時間膝枕の特別コースで狭間君を指名しちゃうぞ!」

「3、3時間!!?」


まぁ、そんなこんなで楽しくやれている



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