【登場人物紹介-Ⅳ】
【登場人物紹介】
曇天が世界を覆う【ディストピア】Side
・主人公
結代虚華/ホロウ・ブランシュ/「虚妄」のヴァール (16歳)
世界中の人々の感情を奪い、ディストピアとして管理している世界から逃げてきた少女。
その実態は限定的な現実改変能力を持ち合わせている事から、中央管理局に追い回されていたと言うもの。世界を管理している側からすれば、こんな危険人物を野に解き放っている方がおかしい。
逃亡先の世界を、フィーアと呼び、その世界では探索者として活動しているが、その世界での大犯罪者『七つの罪源』と呼ばれる存在と接触し、リーダーである「歪曲」のパンドラの秘書になったことで三足の草鞋を履きながら生きている。
つい先日の件で臨と雪奈に不信感を抱いた虚華は、パンドラ率いる「七つの罪源」の1メンバーとして、帰郷することになった。
正直、帰る気などサラサラなかったが、流れ的に行くしか無いとなってしまった彼女は一体ディストピアで何をするのだろうか?
『銃を使ってなかったのは、もし並行世界の人間がディストピアから来てたなら、不味いと思ったからであって、決して弾丸を切らしたわけでは無いから!!!』
黒咲臨/ブルーム・ノワール (16歳)
暫くの間、【蝗害】や「終わらない英雄譚」によって表舞台から姿を消していた「喪失」の参謀。
女装するとメンバーで一番可愛いともっぱらの噂が流れている少年。女装している時に着ている衣服のお陰で糸を自在に操ることが出来るのだが、最近はすっかり目的が逆転しており、可愛い服を見つけるとこっそり買って、後で一人で楽しんでいることが多い。
ディストピアに居た頃は冷酷無比な判断をすることが多かったが、感情を取り戻してからは柔和な態度を取れるようになったと虚華からの支持も厚かった。
『久々に虚の顔を見れたと思ったら、失踪されたんだが……、ボクが悪かったのか……?』
緋浦 雪奈/クリム・メラー(16歳)
虚華が「喪失」から失踪したとされる理由の張本人。
虚華は雪奈が“雪奈”と入れ替わっていたから、「背反」でのやり取りに齟齬が生まれたと思っているが、感情の戻っていない雪奈がこの事実をどう受け止めていくのか。そして愛する人が見つからない現実に、雪奈がどうなって行くのか。
『見つからない。何処にも、あたしの、虚が、居ない。ねぇ、何処に居るの?』
葵薺(17歳)
琴理を彷彿とさせるような薄い群青色の髪に、感情喪失した証である昏い灰色の瞳。
虚華がディストピア時代に結成していた「喪失」のメンバー、葵琴理の姉。虚華がディストピアに居た頃には接触したことがなかったが、今思い出してみれば、琴理が家族の話を時折していたのを思い出す。
感情を喪失することが確定している世界で、虚華は彼女と相まみえるが……。
『標的を発見、殲滅対象3。排除を開始します』
夜桜透 享年(15歳)
ディストピアに居た頃の知人。「喪失」の面々以外では本当に希少だった数少ない話せる人間だったが、感情を維持するために相当無理をしていたようで、実際には感情を喪失しないために虚華を売るかを悩む程の瀬戸際まで精神を擦り減らしていた所を、臨に射殺された。
どうやら、お金を差し出すことで感情の喪失を抑制し、その事を中央管理局が黙認している物があるらしいが……。
『僕はキミを守ってみせる!だからそんな木偶の坊なんて捨てて、僕の元においでよ』
様々な生が集う世界【フィーア】Side
【探索者関係】
白月楓 (16歳)
ヰデルヴァイス──「罪と罰」(crime & Punishment)の持ち主。
突出した殺傷性と投擲した得物を再び手元に戻すという芸当でメキメキと頭角を現していたルーキー。『獅子喰らう兎』というトライブを結成しているが、現在メンバー二人なので、実質的な活動はしていない。
【蝗害】によってしのが重傷を負い、看病していたが、無事しのは元気になったお陰で睡眠時間が元に戻って、荒れていた気性と肌は概ね元に戻った。
ある日、虚華が失踪したことを雪奈達から聞くが……。
『つまり女に逃げられたって訳かァ?だっせぇなぁ「全魔」も「絶糸」もよォ』
紫野裂 しの(しのざき しの) (16歳)
紫のセミロングに、『獅子喰らう兎』のトライブマークを身体に刻んでいる快活少女で、普段から虚華や楓の世話なども喜んで焼いていた背伸びしたがりな少女だったが、自身の持っていたヰデルヴァイス──「スパクトロギア」を透に強奪され、その武器に秘められた力を奪われてしまった。
透と接敵した結果、腐敗の力を利用され、意識不明の重体になるが、楓の献身的な看病の甲斐あって、なんとか回復はした。けれど、彼女の顔に笑顔は戻らなかった。
楓と同じタイミングで虚華の疾走を聞き、「喪失」の面々と活動を共にするが……。
『そう。ホロウが……、うちで良いなら力を貸すよ。お荷物にはならないから』
夜桜 透 (16歳)
元々は『獅子喰らう兎』の3人目のメンバーだったが、既に脱退している。現在は【蝗害】の新リーダを名乗り、特徴的な赤黒い髪の男女──玄緋兄弟を引き連れてあちこちで暗躍している。
ヰデルヴァイス「スパクトロギア」を強奪し、自身の体にぶっ刺した影響で人間を辞めており、虚華のことを異常なまでの愛で包み込もうとしている。そのせいか、「愛しい君」と虚華のことを呼んでおり、玄緋兄弟にはしっかり誂われている。
一番最近ではジアの街を焼き討ちしているが、当の本人はのうのうと過ごしている。
しっかりと虚華の失踪の件を聞きつけ、一番怒りを覚えていたのは彼だった。
『おい。「愛しい君」を逃しただと?だから言っただろ。拉致監禁しておけと……』
結“白”虚華/「エラー」 (16歳)
虚華が失踪したことを事後報告で知った虚華とは似て非なる少女。
並行世界の人間を自史世界で殺すことで、自史世界の対象が死んでいる場合、蘇生すると自史世界の人格が宿る。という噂が蔓延していたせいで、危うく殺される所だったと嘆いていた。
躊躇いもなく殺そうとしていた雪奈に最初は心底怯えていたが、しっかりとその部分の記憶を雪奈によって消去されていたので、今は何事もなく雪奈と行動している。
虚華が居なくなった今、自分が何をするべきかを吟味した結果、虚華専用のヰデルヴァイスを作ろうとしだしたのを「喪失」のメンバー全員で止めた。
『なんでこの場にこの面々が揃っているのですか……?え?私を?ちょっと待っ……』
葵琴理 (14歳)
虚華が居た世界とは異なる存在であり、かつての友と同じ存在。
「エラー」の知り合いで、光の当たり方で緑に見える髪と瞳を持つ焼けた肌色の少女。鍛冶師として着実に成長しているようで、時々素材持ち込みでヰデルヴァイス等の殲滅兵器なども作ったりしている。
当の本人は、気に入った人に送る武具にはサインを刻むが、それ以外の物には特に興味もなく、愛着もないと言ったドライさも兼ね備えている。
しかし、それでも自身らの武具を悪いやつに使われることを良くは思っていない為、時々自分の武具を持っている人間を狩る時がある。
アトリエの中で暮らしているが、あまりの生活力の無さに呆れられ、出灰依音と一緒に暮らしているが、依音自身は悪い気はしていないらしい。
『別に誰が使ってもいいっすけど、使うに値しない奴が握るなら、奪いに行くっすよ』
出灰依音 (17歳)
虚華が居た世界とは異なる存在であり、かつての友と同じ存在。
昏い灰色の瞳に、髪を持つ知的な少女で、ディストピアではメガネを掛けていたが、フィーアでは魔術によって視力を矯正しているので裸眼。
元々はジアのセントラル・アルブの学生だったが、辞めてからは琴理のアトリエで厄介になりながら、琴理の身の回りの世話している。
琴理のサインを刻まれている魔導弓を握るその姿は、蒼の区域では恐れられているが、その理由が「敵味方関係無しに射抜く悪魔の弓使い」と噂されているが、その原因の大体は琴理のせいである。
『あら、思ったより早かったわね。もうお友達になりたいのかしら?』
【七つの罪源】Side
『歪曲』のパンドラ 年齢不詳
世界に仇なしたとされる七人の犯罪者を擁する集団『七つの罪源』のリーダー。
虚華をヴァールと名乗らせ、仲間に取り込んだことで、八人所属していることになっているが、特に気にしていないようだ。
最近は虚華が持ってくる洋菓子がお気に入りで、一番好きなのはフィナンシェである。
美味しそうに頬張っている時は、年相応の見た目と一致するが、話すと雰囲気を瓦解させる。
『禁忌』の禍津 年齢不詳
『七つの財源』の参謀役にして、リーダーの制御役。
他にも、メンバーの不満や相談事は、リーダーの耳に入る前に、大体がここで処理される。
そのせいで、パンドラはたまに拗ねるが、パンドラをあやす為にヴァールの参加を認めた。
今回のディストピアへのお忍びデートも、事後報告だったため、頭が痛くてしょうがないと嘆いていた。
『どうしてどいつもこいつも身勝手なんだ。組織の主としての自覚はないのか?』
『虚飾』のアラディア 年齢不詳/ 葵薺 (17歳?)
事あるごとに気色の悪い笑いを挟んでくる二十代前後半の見た目の女性。
目の下の隈や、不健康そうな体型、話し方や趣味、服装を改めれば、まともな人間に見えなくもないなと、禍津からは言われているが、変える気は更々無いようだ。
パンドラを以前から好いていなかったが、虚華のことは気に入っているらしく、ヴァール参加を一番喜んでいたのは、彼女である。ヴァールが来てから、少しだけ隈が減った気がする。
今回のディストピアへのお忍びデートにしっかり付いてきたが、その事が仇となったことは、後ほど知ることになる。
最近、チェスが「七つの罪源」内で流行っているが、その中で大会を開くと毎回最下位なのだが、楽しそうに勉強している。
『キヒヒ、何がなんでもホロウには勝ちたい……けど、思ったより強いんだよね……ヒヒ』
『寂寞』のルウィード 年齢不詳/ 「カサンドラ」(20代後半?)
特徴的な喋り方をする、身なりの整った大人の女性の見た目をしている。例にももれず、彼女も姿を自由に変えることが出来るので、この姿がデフォルトなだけで年齢などは一切不明。
辛いものに目がなく、話し方が大変特徴的なのでおっとりとした雰囲気のお姉さんの姿は人里で辛いものを食べに行く用の姿になりつつある。
味覚が人間よりも鈍感なので、激辛料理ぐらいが丁度いいと言いながらチャレンジ物を制覇している。
単独行動が「七つの罪源」内でも圧倒的に多く、「歪曲」の館に滞在している時間が最も少ない人物の一人。それでもチェス大会だけは必ず参加しており、それなりの成績を収めてはそっと居なくなっている。
現在は「カサンドラ」としてハーミュゾロアでバイトをしながら美味しいものを沢山平らげている。近々フードファイターにでもなるのでは?ともっぱらの噂である。
『食とチェスが生き甲斐なのかもぉ〜?でも食べた後は体動かしたいなぁ〜』
『忘我』のタナトス 年齢不詳
言葉を放つことで、他者を蝕む災禍を持っている。彼に言葉を放たれた相手は黒い炎で身を焼かれ、最終的にはその一連の記憶を全て消去されるらしい。臨には善意で記憶消去を試みたが、余計なことをするなと満場一致のお叱りを受けたため、暫くは瞑想をして過ごそうと心に決めたのである。
『瑕疵』と『汚染』と最近はよく関わっており、二人にチェスを布教したのは彼である。一般人と言葉をかわすことが出来ない分、此処ではそれなりに話すことが出来るがキャラ的にそれが厳しいことも分かっているせいで、頭を悩ませているシーンを見ることがある。
『パンドラは、こんな俺を救ってくれた恩人だ。だが、災禍もどうにかしてくれない物か』
第八章──ディストピア帰郷編までは少しお時間をいただきますが、時間ができ次第もりもり書き上げていきますので、気長にお待ち下さい。




