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070.運搬依頼

 ──製錬都市に訪れて6日目の朝を迎えた──


「まーくん、今日もミミズを狩りに行くの?」


 依頼ボードで、適当な依頼表を探していると、隣のハルナが訊ねて来た。


「今はそれが一番、効率良く稼げるからな」


「ハルナは、何か受けたい依頼でも見つけたのですか?」


 サントスは、ハルナが見ていた依頼表を覗き込みながら内容を確認する。


「受けたいって言うよりも、気になるって感じかなぁ」


 その依頼表は、鉱山の採掘場と繋がった魔物の巣で行われている討伐隊への

支援物資の運搬。と言う内容の物であった。


「これって、アレレさんが連絡して来た採掘場の事だよね」


「そうだろうな。オレ達が、胡散(うさん)臭さを感じて避けた緊急依頼のヤツだな」


「あのあの、それってまだ解決していなかったのです?」


「つながった魔物の巣の規模が思ったよりも大きかったのか、

又は強力な個体がいるのかもな」


「マサト、あの時ギルドは、多くの冒険者を送り込んでいました。

さすがに、討伐は済んでいると思いますよ。

今は安全確認の為に待機させて経過を見ているのでしょう。

その為の支援物資の運搬だと思いますよ」


「サンちゃんの言う通りかもね。

ただ、やっぱり、行かなかったって言うのもあって、気にはなるんだよねぇ」


「逆に我々が行っていたら、鉱山から戻って来た時に、冒険者ギルドどころか、

製錬都市が無くなっていた可能性もありましたけれどね」


 サントスは、自分達の後ろで、依頼表に見向きもせずに列を作っている

集団に視線を向ける。

 そしてダーハが、呆れているサントスの理由を代弁した。


「えとえと、今日もバブルスライムを倒した赤髪の剣士さんが、

いっぱい居るのです」


 そこには、出来の悪い赤髪のカツラを被り、コ-トやマントを羽織った

剣士風の(よそお)いをした者達が多数いた。


「本物もニセ者も判断のしようが無いだろうから、

ギルドも無駄な労力を()いられて、かわいそうにな」


「ギルドは、その真偽を確かめる為にも、

冒険者ランクの特別昇格試験。と言う形をとって調べているようですが、

未だに碌な成果が上がっていないそうですよ」


 サントスも、その成果が出ようはずが無い事を承知の上で告げて来る。


「ところで、その試験を受ける条件が、あのコスプレなのか?」


「いえ、全ての冒険者を対象にしているのですが、

あの姿の方が、わずかばかり昇格されやすい。と言う噂が流れているようです」


「実力に見合わないランクをもらっても、

不当なリスクを背負うだけなんだけどな」


 長蛇の列に並びたいとは思わないマサトは、

試験会場へと続く列に並んでいる赤髪の剣士達に対して、ある意味感心する。


「それでマサト、ハルナが言っている運搬依頼ですが受けるのですか?」


 マサトは、サントスに判断を任されたので、少し考え込む。


「まぁ、運搬だけなら良いんじゃないか。

御者の訓練と情報収集込みで依頼を受けてみるか」


「それじゃあ、ボクは依頼の手続きをして来るねぇ」


「では自分は、馬車の準備をしておきますね」


 運搬依頼を受ける事を決めると、

ハルナは受付に依頼表を持って行って手続きを進め、

サントスは馬車の用意を始める。


 マサトとダーハは、ハルナに付き添って依頼を受けると、

ギルドが用意した運搬物資を受取って荷馬車に積んでいく。


 その運搬物資の中身は、主に坑道が崩れないように天井を支える

支柱とその補強用の資材であった。


 マサト達の隣では、同様の依頼を受けたパーティが積込み作業をしている。

そのパーティは、主に薬品類を積み込んでいた。


 周囲にいる他のパーティの様子を見ていると、

パーティごとに、運搬する物資を統一してまとめているように見受けられる。

 マサトは、その事についてサントスに訊ねた。


「物資の運搬時に、魔物に襲撃されるリスクの事を考えると、

一つの馬車にいろいろな物資を積んでおいた方が、

少量でも確実に物資の補充が出来ると思うんだが、

ここでは、そう言うやり方はしないのか?」


「それはですね、我々が運搬依頼を受けて達成した実績が無いからですよ」


「サンちゃん、それって信用されてないって事?」


「どちらかと言うと、他の方の信頼が高いって事ですね。

馬車での運搬は、量を運ぶ事が出来ますが、

こう言った運搬依頼の場合は、常に街道を進める訳ではありません。

運搬時に馬車の振動で壊れやすい物資は、

おのずと慣れたパーティに回される事になるので、

マサトが言うような方法は、なかなか取れないのですよ」


「ああ、なるほどな。

木箱にワラなどの緩衝材を入れているにしても、

ビン詰めになっているポーションなどは、

馬車のあの揺れだと割れやすいだろうし、そう言う割振り方になるのか」


「まぁ、ボク達の場合は、サンちゃんがいるから本当は問題ないんだけどねぇ」


「面倒事は少ない方が良いですし、受け持った物を確実に運びましょう」


「はいなのです」


 マサト達は、サントスの指揮の下で準備を進め、程なくして出発した。

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