6話
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読んでくださる皆様ありがとうございます。
あらすじにも書きましたが、キーワード増えています。
ご指摘していただきありがとうございます。
「ディオル…本当にごめんなさい。すごく貴方を傷つけてしまいました。…こんなひどい私を許してくださいますか…?」
お互いの涙が止まってもギュッと抱き合っていたが、私は少しディオルから体を離しおずおずとディオルを見上げた。
泣き腫らしたディオルの目元はあの日と同じように赤く染まり、泣き疲れた気だるげな雰囲気と相まって凄まじい色気が出ている。
…何か見てはいけないものを見ているようだ。
そんな妖艶な姿のディオルが、私の言葉に顔を歪める。
「本当に姉様はひどかった。僕の話なんて全然聞いてくれないし、姉様と距離を取る事が僕の幸せって何?身を引き裂かれる程辛いだけだったよ。社交場に僕のかけがえのない人がいるって言ってたから頻繁に行ってみたけど、ウザったいだけでそんな人いなかった…姉様は嘘つきだ。」
恨み言の様な言葉を吐きながらも、甘える様に私に擦り寄るディオル。
…というか、私の言葉を信じて一応は社交場で色んな人と交流したんだ。
そういう素直に私のいう事聞いてくれるところも本当に可愛い。
だが残念、主役に出会う予定はあと少し先なのだ。
「…嘘つきな私は嫌い…?許してくれません?」
本当はディオルが許してくれることを知っているのに、ズルイ私はディオルの言葉が欲しい。
「許してあげる、姉様」とディオルに言って欲しいのだ。
擦り寄るディオルの髪を撫でつつ、ディオルの言葉を待つ。
「んー…どうしようかなぁ?姉様が僕の言うこと何でも聞いてくれるなら…許してあげようかなぁ」
チラリと目線上げ、小首を傾げて上目遣いで私を覗き込むディオル。
その表情はいつもの様に甘やかで、その表情だけで全て許されている気がした。
「はい。私にできることでしたら喜んで。」
そう私が答えれば嬉しそうにフワッと笑った。
背後に花が舞うような可憐な笑みである。
「じゃあ、僕のこと大好きって言って」
「はい、大好きですよディオル」
「次はほっぺにキスして」
「あらあら、お願いは1つではないのですね」
「僕の悲しみはそんなんじゃ晴れないよ!僕の気が済むまで姉様は言うことを聞くの!」
まるで小さな子供に戻ったように高揚を隠せていないディオルが可愛くて堪らない。
あまり我儘を言う子ではなかったので、今日は存分に甘やかしてあげよう。
…そう言えばディオルから頬にキスされる事はあっても私がするのは初めてと言うことに今更気付く。
滑らかなシミひとつ無い頬に顔を寄せ、ある事を思いつく。
キスする前にディオルの耳元に顔を近づけて「ディオル大好きですよ」と呟いてから頬にキスを落とした。
先ほど強請られた事をサービスで追加してみた。
喜んでくれただろうかとディオルの顔を伺うと、白皙の肌は真っ赤に染まり心なしかまたアクアマリンの瞳が潤んでるように思う。
そして感極まったように私に抱きつき「僕も姉様が大好き」と耳元で呟いた。
ディオルの機嫌が直ったようでホッと一息吐く。
「あともう一つだけお願いがあるんだ」
そう吐息混じりの囁きがした。
息を吐いて体の緊張が緩んだ時に聞いたその声は、なんだかとっても威力のある囁きで思わず変な声が出そうになった。
「な、なんでしょう?」
声が裏返らないように気をつけながら声を出す。
私の耳元から顔を上げたディオルは蕩けたように微笑みながら私の右手を掴み自分の頬にすり寄せた。
「姉様、僕のお嫁さんになって下さい。」
………はい?
「…デ…ディオル、今なんと言いましたか?」
幻聴が聞こえた気がする。
引きつる頬を無理やり笑みにし、ディオルに問いかける。
「僕と結婚して、僕のお嫁さんになって下さい。」
頬を赤く染め、幸せそうに微笑みながら甘くディオルはそう言った。
私達が重度のブラコン、シスコンである事は認める。
でも…でも!!
私達『姉弟』だから!
姉弟愛拗らせてるだけだから!!
主役と出会ったら本物の愛情が分かるから!!!
だから、早まるなディオルっ!!!!
私の顔から血の気が引いているのが分かる。
さっきから悪寒と冷や汗が止まらない。
「わ、私達は姉弟ですし…」
「血が繋がってないから何も問題ないよ」
ニコニコと微笑みながら正論をディオルは言う。
確かに、その通りである。
「こういうものは…お互いに好意を持つ人とするものでっ…」
「僕は姉様が大好き、姉様も僕が大好き。なんの問題ないでしょ?」
いや大好きだけどね!
「そ、それは家族としての親愛の情です!ディオルは本当の恋をした事がないので愛情の混同しているんです!!」
本物の恋がディオルにもうすぐやってくるからね!
「僕はずっと姉様が好きだったよ。初めて会った日からずっと1人の女の子として姉様が大好きだった。」
…え?
ディオルが私を異性として…す、好き?!
いや、そんなまさか…!
しかしそう言われれば姉弟の距離にしては近かった…?
いやいや、私達はただの姉弟離れできない仲の良い姉弟で!!
予期しないディオルの告白に私の頭はパニックになった。
そんな私を見て可笑しそうにディオルが笑う。
「見ず知らずの僕のことを思って泣いてくれる人のことを好きにならないわけないよ。ましてやその人の笑顔がとびきり可愛かったら…恋しないわけないじゃないか。」
私を見つめるアクアマリンの瞳はいつもと変わらず甘やかに蕩けている。
これは本当に義姉に向ける眼差しなのか。
最初からディオルが私のことを恋い慕っていたのだとしたら…そう考えたら全身の熱が顔に集中した。
「ふふっ姉様、顔真っ赤だね。可愛い」
恥ずかしい、とても恥ずかしい。
『義弟』ではなく『異性』のディオルの表情が恥ずかしくて直視できない。
私は顔を伏せた。
私は今までどうやってディオルを見ていた?
なんで私は今まで気づかなかったのか。
ディオルは表情で行動で言葉で私を好きだと言っているではないか。
「いつも優しく撫でてくれる姉様が好き。ディオルって呼んでくれる姉様が好き。今日みたいに僕を想って泣いてくれる姉様も好き。でも…僕を見て笑ってくれる姉様の顔が一番好き。」
すき、だいすきと伏せた私の耳元でディオルが囁く。
いつもは何も気にしなかった戯れも、今はひどく恥ずかしくって居たたまれない。
「もう…やめてください」
聞いていられなくて耳を塞ごうとした。
「だぁめ、ちゃんと聞いて。そして僕を意識して。姉様の前にいるのは姉様の可愛い義弟じゃなくて…貴女に恋する1人の男だってことを」
吐息交じりに囁かれる言葉にもうどうしようもなくて、弾かれるように顔を上げディオルから距離を取ろうとした。
しかし私が離れるより先にディオルの手が私の右手を引き、腰に手をまわした。
「逃げないで。何でも言うこと聞くって言ったよ。」
「…私にできることならと言いました。」
「できるよ。ただ頷いてくれれば良い。」
お互いの吐息がわかるほど近くで私達は見つめ合う。
私を見つめる瞳も表情も、どうしようもなく『男の人』だった。
ディオルの美しいアクアマリンの瞳が切なげに揺れる。
焦がれるように視線に耐えられず視線を外す。
「…お父様とお母様がお許しになるはずがありません。」
震える小さな声で私は呟いた。
私達の気持ち以前に私達の婚姻は侯爵夫妻が絶対に許さない。
そう分かってるはずなのに、なぜディオルはこんなことを言うのだろうか。
もうこんな気持ちではディオルと一緒にいられない…。
「大丈夫。侯爵夫妻はもうこの家にいないよ。」
私の耳にありえない言葉が届く。
視線をディオルに戻すと、ディオルがニコッと綺麗に微笑んだ。
「侯爵が色々裏でやってるのは知ってたから、この機会に隠居してもらったよ。ついでに夫人も一緒にね。」
本編の最大重要イベントがあっさりと終了していることに信じられず瞳を瞬いた。
私の顔を満足そうにディオルは見つめ、掴んだ私の右手を頬で一撫でする。
「今この家に僕達のことを否定する人はいない。だから諦めて僕のものになってよ…エミュレット」
ディオルはそう言って私の手首に見せつけるようにキスをした。
挑むように笑うその姿は可愛かったディオルの面影はなく、ただ美しく妖艶な男の人で私は惹きつけられずにはいられなかった。
私は夢心地のまま首を縦に振った。
それを見たディオルは嬉しそうに甘く蕩けるように微笑み「エミュレット、大好きだよ。」と呟いて私の唇にキスを落とした。
終わらなかった!!
文才欲しいですね、ダラダラ長くなる…。
本編あと1話で終了します。