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4話

今確認したら異世界転生/転移の日間ランキング1位となっていました…。

二度見しました。

たくさんの方にお読みいただきありがとうございます。

ディオルの心を凍らせないように決心し、出来うる限り愛情を注いで育てた結果

「ねぇさま、だぁいすき」がディオルの口癖になっていた。

頼れるのは姉様()だけ、人として扱ってくれるのも姉様だけ。

たしかにシスコンになるのも仕方ないと思う。

私だって、はにかみながら「ねぇさま」と呼ぶディオルの天使的可愛さにメロメロのブラコンである。

しかし…!

「姉様は本当に可愛い。大好きだよ」

見るものを魅了する美しいアクアマリンの瞳を蕩けさせ、誰もが振り返る人形のような造形の顔に笑みを湛え、愛しくて愛しくて仕方ないというような甘い声で姉を賞賛するのは、いかがなものだろうか?

しかも頬にキスのオプション付きである。


あの天使のように可愛くてたまらなかった5歳の幼児は、10年の時を経て神々しいまでの美青年に成長していた。

白銀の髪は艶やかに煌めき、髪と同じ白銀の長い睫毛に縁取られたアクアマリンの瞳はあの頃以上に美しさを増している。

吸い込まれるというのはこういう瞳をいうのだと思う。

顔のパーツもそう計算されたとしかいえないほど、精巧で配置も完璧である。

私より頭一つ分高くなった体は細身だが、頼りないと思うことはなく洗練された動作と相まって美しい。

まさに芸術。至高の作品といってもいい。

ゲームのディオルも美しかったが、私が手塩にかけて愛情を注いだディオルの方が神がかって見える。

これは親バカいや…姉バカだろうか?

私以外と話すときは大きな瞳を()せ口元を引き締めていて感情を読み取れず冷たい印象なのに、私と話すときの瞳は煌めきこの世界のすべてが幸せで満ちているような蕩けた微笑みを見せる。中性的な容姿のディオルだが、その表情は可憐で女の私より可愛い。

美しく、可愛い。もうこの世界に彼に敵うものなどいるのか?という破壊力である。

本当うちのディオルが一番可愛い。

…身内自慢はこのくらいにして、目の前の問題に向き合おうと思う。

最初は自分の未来の為、その次は親の愛情を知らないディオルの親代わりになろうと思った為に始めたことだが、そろそろ私達は姉弟離れをしなければいけないと思う。

小さな男の子が身近な存在の姉に好きと言ってるのは微笑ましいが、15歳の青年が17歳の姉に好きと言ってるのは世間的に見てヤバイ感じがする。

ましてや、私とディオルは血縁関係にない。

ディオルとしては幼い頃のまま心の拠り所として私を慕っていたとしても、何も知らない外部の人間がみたら良からぬ事を言い出すかもしれない。

煙が立たないところにも噂が広がる。それが社交界というものである。

あと数ヶ月後にはディオルは主役(ヒロイン)と出会うはずだ。

それまでに姉離れを完璧にしてもらい、なんの憂いなく主役(ヒロイン)とのイベントに臨んでいただきたい。

…きっと主役(ヒロイン)と出会えば、私に感じていたものが家族な情で真実の愛とは何かが分かることだろう。

寂しいことだが、これは最初から分かっていたことである。

姉として喜ばしいと思って義弟の成長を見守ろうと思う。

いつものように秘密の部屋で甘えたように私に抱きつくディオルの髪を撫でながらそう決心をする。


「ねぇディオル」

「なぁに、姉様?」

私の呼びかけに、あの頃よりも低くそれでいて甘やかな澄んだ美しい声で私を見るディオル。

微笑みながら私を覗き込むように小首を傾げる姿の可愛いこと…などと考えている場合ではない。

撫でていた手を下ろして、居住まいを正すと私は本題を切り出した。

「そろそろ私達も姉弟離れをしないといけないと思うのです。」

その言葉にキョトンとした顔のディオルは「どうして?」と首を傾げた。

「私達はもう幼い子供ではありません。年頃の男女がこんなに親密な接触をするのは褒められるものではないのですよ。私達に他意などなくてもどこから悪い噂が広がるか分からないのです。少しずつ普通の姉弟の距離になっていきましょうね。」

まずは部屋を分けて…と言った瞬間に「それは絶対に嫌!」とディオルの焦った声に遮られた。

「姉様何で…何でそんなこと言うの?僕のこと嫌いになったの?」

綺麗なアクアマリンの瞳から流れる涙にギョッとした。

あの日以来ディオルはどんなに辛い環境でも泣かなかった。

「ぼくがないちゃうと、ねぇさまもないちゃうでしょ?ねぇさまのないたところみたくないからぼくはなかないよ」

そう言って愛くるしい笑みを見せた幼いディオル。

なのに私と部屋を分けられたと言われただけで、堰を切ったように泣き始めてしまった。

美人は泣き顔も美しく、流れる涙を見るだけで私は心も締め付けられるような痛みを覚えた。

…すっごく私が悪い事をしているようだ。

咄嗟に「違います!ディオルを嫌いになんてなりません!!」と泣いてしまったディオルを抱き寄せて自分の胸元に寄せてしまった。

私の背中に腕を回し、力強く私を抱きしめたディオルが潤んだ瞳で縋るように見上げた。

「じゃあ何で?どうしてそんな悲しいこと言うの?この部屋じゃないと姉様に甘えられない。喋れない。一緒にいられない。…姉様と離れるなんて考えられない!そんなことになるなら…僕は死んだほうがマシだよ!!」

そして「すてないで、ねぇさま…」と顔を歪め、また涙を流して私の胸に顔を寄せて泣き始めた。

そんな悲痛な叫びをあげるディオルの髪を撫でながら、私も泣きそうになった。

私は未来のディオルが主役(ヒロイン)と共に幸せになるのを知っている。

でも、今のディオルはそんなこと知らないのだ。

ディオルにとっての姉様()は唯一の支え。

分かっていたつもりだった。

でも本当は理解していなかったのかもしれない。

唯一の味方で拠り所の私から、突き放されるような言葉を言われることの恐怖を。

それはディオルにとって死んだ方が良いと言わせてしまうほどの、絶望的で残酷な言葉だったのだ。


自分の保身のために幼いディオルに優しくして、刷り込みのように慕わせた。

なのに今度は今のディオルの好意が未来のディオルの為にならないからと、距離を置こうとした。

それは全部『私の為』。

あぁ…私はなんて、浅ましいのだろうか。

ディオルの為と言いながらディオルのことなんて全然考えていなかった。

本当にディオルのことを思っていたのなら、もっとディオルに外のことに興味を持ってもらうようにすればよかった。

私以外の味方を作って、もっと早く私以外に興味を持ってもらえば良かった。

でも私はそうしなかった。

ディオルを真綿で包む様に可愛がり、2人の世界で完結させてしまった。

可愛いディオルを誰にも見せたくなかった。

誰にでも無表情のディオルが、私にだけ見せる特別な顔を独り占めしたかった。

そんな独り善がりで我儘な私のせいでディオルが泣いている。

痛々しく目元を赤らめ、世界の終りのように泣き続けている。

ゲームの私がディオルとどんな関係だったかは分からない。

恐らく『無関心』だったのだろうと思う。

でも今の私がしていることは『無関心』よりも、ひどくディオルを傷つけている。

泣いてはダメだと分かっているのに、私の瞳からも涙が零れた。

ひどいことをしているのは私なのに、その私が泣いてはダメなのに。

「ディオル…本当にごめんなさい。私のせいでそんな言葉を言わせてしまって…。でも、分かってほしいのです。これが未来のディオルの幸せのため。…私のことを恨んでもいい、嫌いになってもいいです。たとえディオルに嫌われても、私はずっとディオルの姉さまで貴方の幸せを祈っていますよ。」

私の浅はかさのせいできっとディオルともう昔のように過ごすことは無理だろう。

嫌われるし憎まれるかもしれない。

この一件で一家断罪の時に一緒に辺境の地に送られるかもしれない。

ゲームと同じように…でも仕方ない。

私はそうなっても仕方ないことをしてしまった。

もしかしたら、お父様とお母様よりもひどいことを。

「…僕の幸せってなに?…どうして僕の幸せのために姉様がいなくなるの?」

私の胸にしがみついて泣いているディオルが小さな声で呟いた。

「え?」と聞き返した私にディオルが顔を上げた。

普段見たことのない鋭い視線でキッと私を睨むように見つめている。

その様は冷たい印象だが泣いたせいで目元と頬が赤らみ、何とも言えない色気が漂っている。

この子は綺麗で可愛くて天使か雪の精のように無垢で愛らしくて…こんな妖艶な顔は私は知らない。

「僕の幸せは姉様と一緒にいることだよ。それ以外は何もいらない。」

驚きのあまり言葉を失っている私の目元にディオルがキスをした。

次はディオル反撃のターンになる予定

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