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第3話

 ……どうしたものか。

 ウィンドウ画面を見ながら、ウンウンと唸ってしまう。


 王族に生まれる。

 悪くない選択肢か?

 いや、場合によっては最悪か?

 後継者争いや、政争に巻き込まれ、あえなく最後を迎える。


 ……ありえる。


 不老の能力。

 どうなのだろう?

 まあ、悪くはない選択肢に思える。

 ……共に生きる者も不老ならば、という限定ではあるが。

 それが愛する者ならば、なお良し。


 現実には、どう出会えばいいのか、想像がつかないが……。


 ふと思ったが、……転生して、赤ん坊として生まれた際、そのまま不老って事はないよな?


 無しだな! 不老は無しだ。


 おっ!


 前世の記憶を持ち越す能力が300,000ポイントだ。

 これはぜひ獲得しよう。地球の記憶を持ち越せるものなら、持ち越してみたい。まさに、第二の人生だ。

 光の玉の説明にしたがって、記憶持ち越しの横にあるチェックボックスを指でタップし、チェックする。


 後は、何にするか? 数が多すぎて選べない。光の玉によると、俺の選択肢は100,000個以上あるらしい。


 ポイント内なら、何個でも選択で来るようだが、ちまちまポイントを使うよりは、ドカンと大きく使うほうがいいか?


 不老が500,000ポイントだから、同じクラスの能力でも、約6個獲得できる。

 しかも、500,000ポイント以上の中から選べば、約100個と、ずいぶんと絞れる。


 うん、そうしよう。


 100個にしてもずいぶん多い。

 目移りしてしまう。


 あっ、魔王がある!


 800,000ポイント。


 ……どんな感じになるのだろう?

 魔王城に生まれるのかな?

 両親はいるのか?

 もしかして、卵や繭から生まれたりして。

 部下は最初からいるのか?

 ゴブリンの魔王だったりして?

 光の玉はあまり詳しい説明はしてくれない。


 ……止めて置こう。リスクが高すぎる。


 ちなみに、さっきチラッと見たら、勇者が、不老と同じ、500,000ポイントだった。

勇者よりも、ポイント的には、魔王のほうが格上なのか?


 まあ、当然と言えば、当然か。

 物語など、大体において、勇者は仲間と一緒に魔王に挑むし。

 1対1なら、魔王が上か……。


 でも、魔王に生まれたら、たとえば、隠しクエストはどうなるのだろう。

 万一、魔王として人間を殺害したりした場合、不品行(バッドビヘイバー)により減点されてばかりで、転生時、えらい事になるのでは?


 光の玉に確認したところ、魔王とは、魔に属する者の王であるが、その魔に属する者にとっての善行をすれば、神様による隠しクエストのクリアになるらしい。

 言ってみれば、魔に属する者にとって、人間の殲滅が正しい善行で、そこに、人間の殲滅という隠しクエストが設定されていれば、当然、人間の殲滅がクエストクリアになるわけだ。


 光の玉の説明では、転生先の世界における、光と影のようなものだと言う。


 光があれば、そこには影が出来る。

 光が正しくて、影が悪いと言うわけではない。そこに光があるのだから、影があるのは当然である。

 言い換えれば、光があれば、影がある、その状態こそが正しいのだと言うわけだ。


 正確には良く解らないが、とにかく、次に行く世界は、そうあるように創られているのだから、そうなのだと受け入れるしかない。

 地球の物理法則に、いくら文句を言っても、決して物理法則が変わることはないのと同様だ。

 それが、神様が創った、その世界の法則の一部なのだから。


 ちなみに、ポイントがマイナス清算の場合については、……いまの俺が知る必要は無いとの事。

普通に生きている人間は問題ないはずとか言ってるけど。

……何があんだよ、いったい。


 ……しかし、勇者より格上、しかも、王の地位に生まれるのは惹かれるものはあるが。

 それでも魔王も何気にリスクが大きいか?

 ……やはり、止めて置くか?


 悩ましい……。

 次の世界がどんなところかほぼ解らないのも、悩みに拍車をかける。

 万一、選択に失敗したら、いまの記憶があるだけに、後悔も大きくなりそうであるし。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




 ……何を選択すべきか悩み始めて、もうずいぶんたつ。


 なかなか決まらない……。


 っ!


 天空島のダンジョンマスター(ダンジョンランクA)2,000,000ポイント。


 ダンジョンマスターがある!

 確かに、魔王、勇者とあるのだから、ダンジョンマスターがあっても変ではないか?

 しかし、ダンジョンまである世界。モンスターがいるのか。

 まるで剣と魔法のファンタジーワールドだな。


 しかし、気になるのはダンジョンランクAというランク。

 光の玉に聞いてみると、【Sランクの下、上から二番目のランクのダンジョンという意味】だと言われた。


 上から二番目? よく見れば、俺のリストには、AからFまでのランクのダンジョンマスターがあるが Sは無い。


 Sランクのダンジョンマスターは、俺の3,132,670ポイント以上を、獲得に必要とする能力その他に、カテゴライズされているわけだ。


 ダンジョンマスター……。

 どうだろう?

 俺は人付き合いも、いまいち苦手だし。

 しかも、天空島のダンジョン。

 篭もっちゃおうかな?


 地球の頃、件のブラック企業では、上司も、周りの同僚も皆、計算高くて相手を踏み台にしようと悪意の多い環境だった。

 忙しすぎて、友人を作る時間も無く、家族もいなかった。

 もともと人見知りする性格だし、本来友達を作りやすいはずの学校でも友達の少ないほうだった。

 いや、友達と言うより、あれは、知人達と言った方が正しいか。

 仕事だって生きる為に仕方なくしている感じだったし、友達などできようはずも無い。

 かといって、あの会社に辞めると言う勇気もなかったし、時間があったところで、受身体質の俺が人生の中で積極的に友人を作りにいけたかは疑問もある。

 そう考えれば、良い選択肢かなとも思う。


 光の玉に確認すると、天空島のほぼ真ん中にダンジョンがあり、そのダンジョン内にあるダンジョンコアを通じて、天空を自由に移動可能らしい。

【もちろん、結界の張っているような場所などは侵入できない可能性がある】と言われた。


 ……何がもちろんかは、もちろん解らないが!


 ともかく、この天空島のダンジョンなら世界中を渡って行けるということか。

 勇者に、ダンジョン討伐されたら目も当てられないわけだが……。

 しかし、逆に勇者生まれても、魔王や魔の者達に狙われる可能性もある。

そんな事などを考えれば、どんな存在でもリスクゼロはありえないわけで……。


 その他にも、光の玉にいろいろ聞いてみたが、あまり答えてくれない。


 何故かと問うたところ、【運命は自ら切り開くもの。大まかな外観以外、細かな説明は不要】とのこと。

 ちなみに、詳しいダンジョンの仕様は、転生先でダンジョンマスターになった際、解るようになっているらしい。


 ……前世では世界中のいろいろな場所に行ってみたいと思っていた。

 ……世界を飛び回る天空島。

 ……ロマンだな。

 

 ……生きる価値は前世で証明した。次世は後悔のない人生を生きてみようか?


 良いかもしれない。

 後悔のない人生。

 うん、そうしよう。


 ……天空島のダンジョンマスター(ダンジョンランクA)2,000,000ポイント、チェック!


 …………ダンジョンマスターにチェックしてしまった。


 ………………いいのか? 本当に?


 まあ、悩んでも始まらない。次に行こう。


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