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第16話

 ボーンの説明が終わり、取り敢えずカルーバを食べながら、皆と話でもしようと思ったところで、俺の体調が悪くなった。


 身体が、妙に痺れる。

 魂と身体が馴染みきれていない為か?

 まだ、完全には回復して無いようだ。


 ……やはり、医者に相談が必要か?

 ……無理だろうけど。

 そもそも、この世界に、日本的な医者は存在するのだろうか?


 ダンジョンの改変やら、他の機能や能力の実験、やるべき事は多いのに、俺の体調は優れず、結局、丸二日も、寝込んでしまった。


 皆には、カルーバを食べてもらい、当座をしのいだ。

 水は、外に売るほど有った為、問題なかった。


 この天空島ダンジョン、動物はいないし、モンスターも、俺が創造していないから、まだいない。


 時間がたてば、外から迷い込んで来る魔物も、いるとは思うが、今はいない。

 スピードに探索させたから、見落としをしていても、大体においてそう言う事だろう。

 もっとも、天空島は広いから、城の周辺だけの話でもあるのだが。


 しかし、そう考えると、魂の融合最終段階は、丸一日かかっていたから、外からカルーバが迷い込んできた線が濃厚となる。

 まあ、今更、どうでも良い事ではあるが。


 ちなみに、植生は豊かだったらしいので、野菜、果物類は、育てる事も出来そうだ。




 寝る場所は、俺が指示するのも億劫な体調だったので、ダンジョンコアルームで皆で雑魚寝した。

 鬼丸と金獅子のレオは、結構はしゃいでいた。


「おでー、おでー、皆といっしょー」

「い、いっしょ、なんだな」

「う、う、うでしいんだなー。おで、うでしいんだなー」


「が、がうぅぅぅっ! がうぅぅぅ!」


 とか何とか。


 ボーンに


「天帝様のお身体に障る。静かにせよ」


 と低く重いかすれ声で言われて、シュンとしていたが。


 ……そういえば、ボーンは眠るのかな?

 リッチだから、それは無いのか?

 宝物の間に有る、本でも貸してやれば良かった。夜はさぞ退屈だっただろう。


 ボーンと言えば、俺が皆の布団代わりにと、宝物の間から引っ張り出してきた布や絨毯などの中に、空飛ぶ魔法の絨毯があると、言っていた様な……。

 ダルさと疲れで、集中力も無かったから、あまり定かではないが、確かそう言っていた。


 ……やはり、宝物の間は整理する必要があるようだ。

 主に、俺がアイテムを適当に扱わない為に……。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■




 天の差配か、普段の行いの為か、はたまた偶然か、天使たち改め、翼人が来る前日の夜には、麻痺と痺れは取れて、体調は回復した。

 俺の【レベル】100は変わらないままだったが……。


 そして、俺はいま、明日に備えて、最低限の準備をしようと、頭を悩ませている。


 考えた末、翼人たちを迎える為に、先ず取り掛かったのは、最低限度、ダンジョン改変をする事。


 そもそも、城に入って直ぐにダンジョンコアがある状態はずっと気になっていた。

 コアを持ち出されてしまえば、墜落の憂き目に会う。

 その心配もあって、皆で雑魚寝する場所をコアルームにしたのだ。

 そうでなければ、宝物の間でもまったく問題なかったのだから。


 ダンジョン改変を行うには、ダンジョンコアに触っていなければならない。

 そこで、俺はダンジョンコアに手を置き、イメージを集中させた。

 まず、ダンジョンを改変するのだと強くイメージする。

 すると、ダンジョンのありとあらゆる場所が頭の中に浮かぶ。


 この感覚は初めての感覚だ。

 まるで、天空島の島、城、全てを俯瞰図で見ている様な、配置図を見ている様な、写真や動画で見ている様な感覚。


 それらが、いっぺんに頭の中に浮かんで、混乱すること無く処理できる。

 並列で思考しているかの様な感覚だ。


 そして、その中から、変革したい場所を選んで、イメージして、念じる。


 先ずは、城の頂上にダンジョンコアルームを移動して、入口から入ってすぐを大広間にする。

 そこから正面の扉をくぐれば、長さ500メートル、高さ30メートルの回廊。

 その回廊に続く部屋が政務や謁見の為の部屋で、大きさは、縦300メートル、横100メートルくらいの、大きな部屋。


 別に俺に謁見にやって来る者など居ないだろうが、人が集まれば其処には共同体が出来るように、城があれば、其処には謁見の間、という単なるノリと雰囲気感で作ったものだ。


 特段意味は無い。……本当に。

 眷属たちに持ち上げられて、王様気分とか、いい気になって増長している訳ではない。……。


 政務や謁見の間にたどり着く前の回廊横には、小さな会議室風の部屋を、幾つか用意する。

 小さいといっても、一番小さい部屋で、学校の教室の軽く三倍の広さは有る。


 ここまでやって、細かい、柱のデザインを決めようとした時、突如、身体に異変が起こった。


 またか!


 そんな気分で自分自身に腹立ちを持つが、どうも痺れや麻痺とは違う。

 胃の底からこみ上げる不快感。頭をシェイクされた様な気持ちの悪さ。嘔吐したいが出来ない、そんな感じだ。


 その症状を聞いたボーンが、


「我が至神たる天帝様。その症状は、魔力を使い切った事を示す症状かと、愚考するものであるます」


 との回答を示した。


 ――え? 俺の魔力量ってこんなに少ないの?

 ――たったこれだけのダンジョン改変で終わりなの?

 ――それとも、ダンジョン改変は相当な魔力量を必要とするのか?


 この広大なダンジョンを改変するのに100年はかかりそうだ。

 そう思って、軽くショックを受ける。

 が、そこで、改めて虹色の玉(ダンジョンコア)の話しを思い返して納得がいった。


 俺の中の魔力は、ある一定量は常に別枠としてプールされており、俺の自由には使えないものがある。

 では、この別枠でプールされている魔力は何の為にあるのか?

 それは、俺がダンジョンコアに魔力を供給し、天空島を浮かす為の魔力として、プールされているのだ。


 この天空島を浮かす為の必要魔力量は、通常、ダンジョンマスターが持つ魔力量の、ほんの少しで済むはずだ。

 しかし、【レベル】100、ランクFの俺の魔力量では、【レベル】2000、ランクAの天空島の大きさを浮かす為には、俺の魔力をほとんど消費してしまい、残る魔力は極僅かとなる。


 絶対的に、魔力量が天空島の大きさに比して小さいのか。

 だから、些細なダンジョン改変で魔力切れを起こしたのだ。


 ……しかも、よくよく考えてみると、レベルや魔力だけでなく、知識面でも完全ではないようだ。

 もっと、色々な知識が俺の中に移譲されたと思ったのだが、霞がかかった様に、おぼろげな知識がある。

 これはもしかすると……スキルも完全ではない?

 引き出せていない、知識やスキルが、俺の中で、まだ眠っているのか?


 どちらにしても、もうこれ以上ダンジョン改変は、続けられない。

 仕方が無いので、今日は、皆に名付けを行って終了にしよう。


 名付けは、褒美として、とも思っていたけど、鬼丸だけ名前があるのもどうかと思うし、まあ良いかなと思う。


 ちなみに、鬼丸の時から解っていたが、名付けを行っても、俺の魔力が消費されたり、魂が削られることも、無かった。


 ただ、嬉しい事に、名付けを終えると、眷属全員に、眷属創造のスキルが加わっていた。


 あと、なぜか、俺と同じ限定転移魔法も加わっていた。

 俺の魂を分けた存在だからか、ずいぶんと俺が影響している。


 ……しかし、金獅子のレオの背中に、手のひらくらいの大きさがある翼が生えて来たのは、何故だろう。

 俺の浮遊魔法の影響かな? 他の皆は生えなかったのに?


 ……、いつもの様に、細かいことを気にするのは止そう。ここは、異世界だ。



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