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ボクらになる前








ボクはずっと、暗いところにいた。

いつからそこにいたのか、わからない。



ボクはさっきまで別の場所にいて……さっき?……こないだ?……いやもっと前だ。もっともっと前。


もっともっともっと前にボクは……あれ?思い出せない。ボクはどこにいたんだっけ?


ボクはボクじゃなくて別のボクで……あれ?思い出せない。ボクは誰だったっけ? 名前も、何も、思い出せない。




ボクは、誰だったっけ?

ボクはいつから、この暗闇にいるんだっけ?






思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない、思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない、ボクは、思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない、ボク、ボクは、思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せない思い出せなイ思いダせない思イ出せナイオモイ出セナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセないオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイ出せナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオもイダセナイオモイだセナイオモイ出セナイオモイダセナイ思イダセナイオモイダセナイオモイ出セなイオモイダセナイナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダせナイオモイダセナイオモイダセナイオモイ出セナイオモイダセナイ思イダセナイオモイダセナイオモイ出セナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナいオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイおモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダセナイオモイダ──え、なにを、オモイダセナインダ?──思い出せない。




「っ…………かはっ……ぁ…」



ああ、これは、いつものあの(・・)痛みだ。



身を捩る程の激痛に悶えて、冷たい暗闇の底で蹲って耐える。

枯れた喉からは嗄れた呻き声しか出ない。



激痛が去ると決まって静寂が戻る。






ああ、この痛みのせいで、ボクは狂えない。

いや、違うか。ボクはもうとっくに狂っている。


この痛みのせいで、ボクは狂いきれ(・・)ない。

いっそ狂ってしまった方が、楽だっただろうに……

















ボクはずっと、暗いところにいた。

いつからそこにいたのか、わからない。



ボクにもう一人の、『ボク』の記憶がある。

それは外の世界で生きた人生の、ぼんやりとした記憶。


でも、その人生で生きた時間よりもずっとずっと長い時間、ボクは暗闇の中にいる。



いっそ、この記憶がなかった方が、楽だったのかな?






何日も何日も何も食べてないのに、どうして生きているかわからない。



時折激しい痛みがボクを襲う。

その痛みは頭だったり、腕だったり、脚だったり、背中だったりした。


その痛みが去った後は決まって僅かな鉄のような匂いがする。



その激痛のおかげで、ボクは気が狂わなくて済んでいるのだと思う。

縋るものがなければ、ボクはきっと正気ではいられなかった。


それくらい、ボクはずっと暗闇の中にいる。




何日、何ヶ月、何年経っているかわからないまま、ボクずっと暗闇の中にいる。




















































ボクの長い暗闇は、唐突に終わった。



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