あの日
私は伸びをして、あまりに日照りがひどく
部屋のフローリングが焼けないようカーテンを閉めた。
時間は何時だろう。
携帯を見た。。。もう9時に近い。
私の今日のシフトは、10時からだ。
私は家から一本の電車でいけるカラオケ店で働いていた。ほぼ毎日働いていて、こういうのを巷では“お局”というのだろうか。
今日は昨日泣いたせいで、目が少し腫れている。
私は自分の顔の中で一番ましだと思っているのは目である。マスカラを存分に塗るのが自分の中でマスト、なのである。
今日は低めのパンプスを履く。
自転車で駅まで迎い、地下鉄に乗り込んだ。
約10分で、カラオケ店に着いた。
『あ、おはようございます!』
私か挨拶をする前に挨拶をしてくれる笑顔がかわいい子、唯ちゃんという。最近入ってきた新人の子である。
『おはよう!唯ちゃん、今日人結構来てる?』
『葵さんー今日人全然来なくて暇してたところなんですよ』
唯ちゃんは、昨日ネイルにいったのだろうか?
ピカピカになった爪を見つめながら言った。
『暇っていいことよ。多いとダストが大変だもん』
私は唯ちゃんに笑顔で微笑みながら、ロッカーに入っていった。
働いていたら気が紛れるだろうか。
まだ昨日の“男子”の言葉や夢が浮きでては消えるのである。ネクタイを結び終わると、私は腕時計を忘れたことに気がついた。
『あ』
時計を忘れることは初めてだった。