希望
あたしたちの希望は虐待に合わないことでした。
「希望」
――――2013年初秋――――
遂に、両親が離婚した。
あたしたちは父親に親権を持って欲しいと懇願した。
その願いは母の親権は要らないの一言で決着した。
あたしたちは事実上、半分捨てられた子供であることは間違いない。
しかし、母は出ていかず、ここから先一年半という時間を虐待という魔の手にさらされたのだ。
あたしたちは笑顔を失ったままで。
――――2014年初夏――――
あたしは元々の第一希望だった短大に入学が決まった。
家のことを考えて受験料タダの特権のある入試を受けた。
クラスでも、ダントツの早さで進路を決めた。
本音を言えば、就職した方が良かったのだろうが、何せ、進学校。
民間の求人が来ない。
仕方なく、将来、本当に目指していて仕事にも食いっぱぐれのないであろう方向性を選んだ。
少しでも早く自立できること、それだけを考えてのことだ。
ねえ、過去の泣いてるあたし。
未来はそんなに残酷じゃないよ。
確かに、間違ってブラックバイトをして身体を壊しそうになったこともある。
だけど、やさしいバイト先を見つけられた。
あたし、夢を叶えられるようになった。
だから、泣かないで。
未来はきっと、幸せだから。
あなたが再び笑える日も来るから。
だから、お願いです。
未来を、夢を、諦めないでいて。