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大竹 明菜の非日常な日常  作者: Keola
非日常の入り口
2/7

激熱

あらすじ:怪獣と遭遇、めっちゃ睨まれる。



重い足音がだんだん迫ってくる。


やばい、確実に。


極度の緊張と恐怖が振り切ったのか、身体は動くようにはなっていた。

もっとも、震えてはいるが。


逃げなきゃ。


明菜は身を翻して走り出した。


(見たところあの怪獣はゆっくりとした動きしかできないようだし、全速力で走れば…逃げ切れる!)


黒に塗りたくられたような未来に光が差し込んだかのように見えた。





しかし。






赤、というよりも紅。

ごうごうと揺らめく焔が明菜を包み込み、

今まで味わったことのないような激痛が明菜を襲う。

視界が明滅し、足の感覚がなくなった明菜は地面に倒れこんだ。

コンクリートに擦り付けるようにして、転がりながらも痛みに抗い必死にもがく。

叫ぼうとしたが声が出る前に凄まじい熱が口内を焼き焦がす。

ゆっくりと、着実に明菜の身体は焔に焼かれていった。





ふと気づくと、匂いも、光も、冷たいコンクリートの感覚も、何も感じられなくなっていた。

あの地獄のような痛みさえ、も。

明菜は甲高い耳鳴りしか聞こえなくなった。


あれほどまでに熱かったのに今は震えるほど寒い。


明菜の意識は吸い込まれるように、深い闇に飲まれていった…


ーーーーーーーーーー




深い深い闇のなか。


音も光もない孤独な闇に、私は立っていた。


ここはどこだろう。


混乱した記憶を手探りする。


「確か…お使いに行って…行って…?

あれれ、どうしたんだろう?お使いに行ったはずだよね…」


それは喉元までせり上がるものの一向に思い出せる気がしなくて。


「あー!もう!」


あまりの歯がゆさに、思わず叫んだ時。


それまでの暗がりに一筋の光が射し込んだ。


スポットライトのように真っ直ぐな光。


光は私の数メートル先に当たっている。


そこを見ると、何かが光を浴びて輝いているのがわかった。


「なんだろう…?」


楕円形の10cmにも満たない透明な水晶。

傷一つない綺麗なそれに魅せられて、私はその水晶を手に取った。


その刹那。

どこからか声が聞こえてきた。


「入り口は開かれた…異界の者が平行世界を侵している…」


「誰!?」


私の問いに答えることなく渋く低い声は言った。


「矛盾を消せ…」


ここはどこ?

あなたは誰?

この石は何?


聞きたいことは沢山あったのに低い声が辺りに反響して消えた途端に段々と意識が朦朧としてきた。


寝る前のふわふわとした感覚が身を包むと、重くなるまぶたに抵抗する気力もなくなり、

私はゆっくりと目を閉じ、睡魔に身をまかせるのであった。







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