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31話 番号交換

ご覧頂ありがとうございます。


4/13 加筆&脱字修正致しました。

 放課後、無事目的も完了した俺達は屋上に集まって結果報告をし、その後に分かった事を纏めていた……。


 黒川はいち早く逃げていた為問題ないが、俺と静雄が現場から逃げたタイミングはかなりギリギリだったらしく、タッチの差で警察と先生方が揃って火煙探知機の確認に来て、空きっぱなしの窓とその近くに落ちていた、真新しく潰されたタバコが見つかり、一連の騒ぎ(非常ベル&防火扉)は生徒が行ったものとほぼ断定されたそうだ。

 もうただの悪戯では無く、警察には調査の妨害をされたのでは? と考えられ、館川の盗撮は組織ぐるみで他に共犯がいるのかも知れないと、折角更衣室のカメラを壊したのに、余計に怪しまれる結果になったらしい。


 ……その最有力候補として目を付けられたのは、あの時静雄に地面へ沈められ、体育館裏で倒れていた例の六人組だ。

 どうやら、あの非常ベルの音で意識を取り戻した様だが、その際一番近くに居た物だから、半ばあの悪戯はあいつ等がやったと思われているそうだ。

 日頃の行いが仇となるって正にこの事だな、ただ証拠になりそうなライターもタバコもその時持ってなかったので、あくまでも疑われているレベルだが、先生方と警察両方に目を付けられた事は間違いない。


 この情報は聞き取りに参加していた星ノ宮と、宇隆さんの二名が職員室に行った際にも耳に挟んだから分かったのだが、その為今俺は思いっきりジトーっとした目で見られて、非常に居心地が悪く冷や汗を掻いている……そう言えば、廊下の窓閉ずにそのまま逃げたっけ、詰めが甘いと言われても全く反論が出来ないな。


「うーむ、共犯説か……別に大丈夫じゃね? 俺らに繋がる物なんて全然ない訳だし、と言うか、こんなに早く警察が動くなんて思って無かったからな。その辺の理由とかは知ってたりしないのか? 小耳にはさんだとかでも良いんだけどさ」


「それなんだけど、E組のちょっと煩い子の父親が警察関係者で、今回の話が出たせいでそれまで盗撮被害は生徒の一部って噂から、自分の娘も被害者の一人の可能性があるって学校から話が伝わったものだから、まあ、色々と話に尾鰭や背鰭まで『付けて』頑張っちゃったらしいわ」


 俺の質問に星ノ宮が答えてくれたが、E組の煩い子? 誰の事を示しているのか名前が出ない事には俺には分からん。聞いても分からない子の可能性もあるけど。

 宇隆さんは、誰か知っているのか若干頬を引きつらせている。


「E組……煩い子、磐梯怜奈(ばんだい れいな)?」


「それって職権乱用って奴なんじゃない? いったい誰の親よ~って、あの磐梯さんか……納得。けど天下の公務員様が聞いてあきれるわね。親バカと言うかさ」


 それを言ったら、俺らも身内の事で奔走しただろ~と口には出さないが、秋山は他人事だと思って随分と偉そうな事を言うな、親なら当然心配するだろ公務員に偏見でも持ってるのか?

 俺が言ったら絶対に権力の犬とか言われそうだし、何より奴の理不尽な拳が怖いので今は口をチャックだ。

 ……ところで黒川の言った磐梯って、聞いたことは在るが顔が全然思い出せん。


「ふむ、だが自分の身内が盗撮の被害にあえば、誰でも心中穏やかでは無いだろう? 俺は寧ろその意気や良しと思うがな」


「え、安永君は賛成派? ……うーん。確かに家の母親も連絡が来て、電話口で顔を顰めていたけど、実際にネットに流された画像って見た感じ、今のところ水泳部の女子だよね。顔は塗潰されていたけどあの体系は」


 そこで一旦口を閉じて、秋山は星ノ宮の方を見るがそんな視線何処吹く風、とでも言うような表情で気にもせずに、星ノ宮は用意してきていた缶の紅茶を、ゆっくり飲んでいる。

 幾ら世間一般とは違う『お嬢様』でも、ここで紅茶を沸かして飲んだりはしないかとアホな事を考えながら、星ノ宮は鋼の心臓を持っているなと感心する。

 でもどちらかと言うと昨日の喫茶店での事を思い出し、コイツは羞恥心が人より鈍い奴だったと溜息を吐いた。


「他人の空似ですわ。一応私では無いと否定しておきます。まあ、騒がれるのは有名税って言うのかしら? けど私だって言う証拠は何処にも無いし、変に騒ぐと逆に信憑性を与えてしまう事になるでしょ? それに見せて困るような体形もしていませんの」


「星ノ宮様、確かに貴女様は均整のとれた形をしていますが、流石にそんな姿を容易くおいそれと誰かに『見せて困る』、では無く『見せられては困る』のですよ! 全くもう少し星ノ宮家の人間だと言う、自覚を持った発言と行動をして下さい」


 宇隆さんは先程の星ノ宮の言葉に苛立ち、そのまま俺を睨みつけるのは何故でしょう? 昨日の件は俺には非は無い筈なのに、どうも俺が悪いように受け止めている節がある。

 酷い誤解だ、四六時中一緒に居るのだからもう少しこの『お嬢様』の本質を気付いてほしい。

 星ノ宮も分かったから胸の下で腕を組んで、勝ち誇ったようにこっちを見るのを止めい!!


「んで、結局のところ館川ってどうなったんだ? 流石に今日は登校してきて無いんだろ? メールで一ヶ月の停学は読んだけどよ、あいつ捕まっちまうのかな?」


「私が耳に挟んだ事によると、奴は検察次第だが起訴はされずに家裁で審判されて、暫くは保護観察くらいが妥当な線だと聞いたぞ? 私はあまり詳しくないから細かくは延べられんな」


「被害者の身内に警察が居ても、そこは刑務所行きになったりしないんだな。そうなると一ヶ月停学のまま自主退学で消えるのか、何処に行くんだろうな」


「身内が居れば相手を即捕まえて犯罪者扱い何てしていたら、法の意味が無いだろ? 石田は何をバカな事を言ってるんだ……。まあ奴はこのままどこか別の場所で、また学生生活を送るんだろう。本人にとっては自業自得なのだが、アレが本当にそんな事で反省するのか怪しいもんだと思うぞ、寧ろ私達の事を逆に深く恨むのではないか?」


「うっわ、最低ね。逆恨みの犯行って結局のところ、普通はされたら嫌な事をワザと相手にする訳だし、どう考えても反省なんてしないで、より憎く思われそうね……」


「これ以上どう私達を憎もうが知った事では無いわね。自分で気が付かなければ、一生ぐるぐると首輪に繋がった鎖で、縛り付けられる憐れな獣と同じことよ。『自分で止まるか人に止めてもらうか』後はそうね、それこそ『死んでも分からない』かのどれかかしら?」


 そう言いながらニヤニヤと笑っているが、星ノ宮のあの目は『かかって来るなら容赦しない』とでも言うような剣呑さを醸し出していて、俺は緊張で喉が張り付いたような錯覚を覚えた。

 ヤレヤレと思いながら、俺も自販機で買ってきていた缶コーヒーのプルトップをカコッと鳴らして開けると一口飲む。


 館川の話がひと段落すると、星ノ宮と宇隆さんは互いに『見られ方に関して』譲らない姿勢で話を続け、静雄もそのまま秋山と体育館裏でノシた六人組の事を語っているのだが、黒川は手にジュースを握って先程から俯いて身じろぎもしない、何か考え事か?


「黒川、お前どうかしたのか? ……よく見たら何だか顔色悪いぞ? 具合が悪いな引き留めても悪いしそろそろ帰るか?」


「何でもない、そう反省なんてしない……」


 黒川は館川の事を考えているらしいが、だいぶストレスが溜まってるんだろうな、あんな写真を撮られて脅されていた訳だし、思い出せば具合も悪くなって当然かもしれない。

 何だか俺が黒川に悪い事をしてしまったような気分になって、どうもすわりが悪いな。


「む、すまんが俺はここで帰らせてもらうぞ。稽古に送れると爺さんに折檻されるんでな」


「あ~すまん。そう言えば今日は水曜か、それじゃそろそろ解散~の前に皆さ、携帯の番号交換しないか? なんつーか俺らはもう仲間みたいなもんだろ? 今回みたく何か困ったことが在れば相談に乗るし、連絡が取れた方が良いかな何て思ったんだがどうだ?」


「ふ~ん? あんたにしては割と真面な事を言うけど、怪しい。何か下心でも隠してないでしょうね?」


「あら、彼は私の番号はもう知っている訳だし。下心を持つ必要なんてないと思うわよ? それとも何か貴方には思い当る事でも在るのかしら?」


 妙な事に、秋山と星ノ宮の間で言い合いが始まったので、その間に静雄の番号を交換させる。

 別に俺が後で教えても良いのだが、それよりも本人同士でやるほうが仲間って感じがすると思う。


「そうだな、何か在れば連絡するが良い。番号は……赤外線通信? そ、それくらい知っていた! 馬鹿にする出ない! よし、何だ簡単ではないか。これで星ノ宮様に助けが居る場合は、遠慮なく呼び出してやるからな」


「これ、番号。ありがとう」


 星ノ宮も秋山も番号を知っているので、そのまま無視して俺は宇隆さんと番号を交換したのだが、あの時星ノ宮が機械は苦手と言っていたけど、何だかな~墓穴掘った気分? それに何方かと言うと宇隆さんの方が機械音痴ぽい。

 黒川の番号も交換したが、そこで言い合っている二人のお蔭か少しは気分を変えられたのか、さっきより幾分良くなったように見える。

 一応全員が番号の交換が終わると、静雄は文字通り風のように去って行った。はえーよ!


つづくといいな。

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