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15話 露わになったモノ

ご覧頂ありがとうございます。


4/18 文章を一部修正致しました。

   修正前:黒川は普通に話せる友人が出来て、初めて一緒に食べる約束を

修正後:黒川は数少ない知り合いが出来て、初めて一緒にお昼を食べる約束を

 こんなところでピンチになるとは、おのれ秋山謀ったな! なんて冗談貫きに焦っていたら、突然聞き慣れたあの間の抜けた音が流れ、校内放送で「二年C組の石田 明人、至急職員室まで来なさい」との呼び出しを二回受けた。

 まさに天からの助け! 俺は弁当箱を引っ掴むとベンチから立ち上がり、そのままの勢いで2人に別れを告げる。


「お~っと、何の用事か分からんが、呼ばれたからには即参上! 銀河せ……んまあ、そう言う訳だちょっくら俺職員室へ行ってくるわ」


「ちょ~っと! 石田まだ話の途中でしょ! こらっ逃げるな~!」


「い~っけねぇ~あ~ばよ静雄に秋山~!」


「むぅ、あいつは相変わらず逃げ足だけは速いな」


 星間空間に広がる様な、光る狼の紋章なら速度的に電波よりは早いのか?

 なんて、思い出した古いアニメの歌を口ずさみながら階段を3段飛ばしで降り、職員室に向かうが、よく考えると最悪の呼び出しではと、ある3人の女生徒の顔を思い浮かべ“失敗したか?”と首を捻る。

 まあ、今更屋上には戻れないし、着いて見れば分かるかと腹を括り急いだ。


「いらっしゃい。貴方石田 明人って言うのね、今更だけどお互い自己紹介もしてなかったし、その辺は許してね。それで、ここじゃ詳しく話せないから着いてきてくださる?」


 俺が職員室に到着し入口を開けて中を一望すると、普段通り先生方が食事をとったり、それぞれ動いていたが、そこでパーテーションで区切った奥にあるソファーに星ノ宮が居て、俺の顔を見つけると立ち上がり、手招きするので行ってみると開口一番でそう言われた。


 何となく左右に顔を向けると、職員室に居た先生達が俺と星ノ宮を注目していたが、直ぐに目をそらし、何事も無かったかのように自分たちの仕事へと戻った。

 星ノ宮に着いて行くと、ドアに「応接室」と貼ってあり、初めて入る部屋なので少し緊張しながら進むと中には、宇隆さんと黒川に館川、そしてD組の担任に水泳部顧問が居たので、俺は一応頭を下げる。


「石田も来たし、それじゃ先生達はまだ話があるから君たちはここで待ってなさい」


 早々に先生二人は館川を連れて部屋を出て、ドアの空いた隙間から見えた感じだと、どうやら校長室に入るようだった。


 丁度予鈴が聞こえる……昼休みが終わったが、俺達は授業出なくて大丈夫か? など思ったが今更か、俺は残った三人を見ながら椅子に座り、持ったままの弁当箱を机に置くと、星ノ宮がそれを見て恨めしそうな顔でため息をつく。

 む、俺だけ先に食事をとってすまんな、と思いながら話を聞く。


「本題に入るわね、ちょっと問題が大きく成りすぎだから、警察にも連絡しなくちゃダメになってしまったの。被害者も数人じゃ済まないし、盗撮が分かった切っ掛けも元はネットへの投稿写真だったらしいけど、その内エスカレートして数枚顔は隠しているけど、アダルトサイトにまでUPしている事が分かったの」


「え~と、俺も流石に詳しくないんだが、警察にも御厄介になるって事は、写っていた被害者の内誰かが、被害届を警察に出すって事なのか?」


「そうなるわね、水泳部の何人かは水着だけど、写され方にも問題があるし。それでなくても更衣室の中を写された私達としては、これは絶対許せないわ」


「星ノ宮様の言う通り、許される事では無いし。ここで確りと釘を刺さねば、また何時このような愚かな輩が出ないとも言えまい。よって再犯など起きないよう裁いてもらう」


「そう、とても卑劣な行為。私も許すことは出来ないし、逃がす気もない」


「お、おう。それは分かったけど、何で俺まで呼ばれたの? そこまで分かっていれば俺要らないよね?」


 そう言うと、三人が何ごとかを目で交し合い顔を合わせて頷く。

 何のことか分からない俺はその様子を見てもチンプンカンプンだ。

 黒川が大きく息を吸い込むと、俺の目を見て話し出した。


「私はあなたに、“犯人にやれと言われてやった”と説明した。あなたは私を信じて助けてくれたから、私もあなたを信じて話す」


「あ、いや。そんな大事な事なら別に言わなくても。ほら、知らなくても済む話だってあるわけだし」


「聞いて欲しい、私は……」





 ――そこからは黒川が、なぜ星ノ宮の下着を盗む事になったかの詳しい顛末だった。

 どうして黒川が狙われたのか、それも含めての話だ。

 館川は学年が上がり、クラスに馴染めてない黒川を見つけ、同族意識を持っていたらしい。

 自分と同じように、周りに溶け込めてない黒川を見て心の安定を保っていたそうだが、それも館川が黒川に共感を覚え、一度お昼に誘って断られた事でそれが崩れる。

 その時の黒川は数少ない知り合いが出来て、初めて一緒にお昼を食べる約束をしていた為、館川ともあまり話した事のない黒川は、仕方なくゴメンねと断った。


 それから愈々(いよいよ)館川がおかしくなり、逆恨みでしかないが黒川がクラスで自己紹介の時に話していた、趣味と話していたカメラを使って、自分の誘いを断り他のクラスメイトを選んだ事に恨みを覚え、同時に裏切ったと強く感じた黒川を始め、クラスの女子皆に復讐をしてやろうと考えたそうだ。

 そうして、色々とお膳立てをしていき、今回の事件にまで発展したと言う事らしいが、それにしても酷い話だった。


 話の補足や、館川の心境についてなどは館川が話した事を、星ノ宮と宇隆さんが足しての長い説明が、こうして終わる。


「そっか。迷惑な話だが、すれ違いで逆恨みされたんじゃ割に合わなんな。館川が興奮して言っていた『裏切り者』って意味も全くのお門違いだし、良く分かった。俺なんかに話してくれてありがとう。この事は誰にも言わない」


 神妙な顔で俺は、三人が本当に俺を信用して話してくれたと思い、そう答えたが何か微妙な顔をされる。……俺は何か勘違いでもしただろうか?


「えっと、もしかして何か違った?」


「いいえその事は良いのだけど。実は先生方の話が終わったら参考人として、私達も多分警察署に行く事に成るような話をしていたから、先に貴方にも話をしておいた方が良いと思ったの。そこで問題になるのは黒川さんの事よ、脅されたとは言え第三者から見れば、館川に利用されて下着を盗んだ事になるでしょ?」


「あ~、あ? あれ? でもそれって星ノ宮が黒川に言って、あの時に画像消したんじゃないのか? 証拠も既に無いし俺らが黙ってれば、館川の言う事なんて誰も信じないだろ?」


「そこは察しの良い星ノ宮様の言の様に、無論消してある。だからこそお前を信用して頼むのだ。よく聞け、黒川に聞いた話だとあのカメラの画像には、確かに黒川の行動が納められいたが、それはもう問題ない。ただし、あの“カメラ以外”にしか撮る事の出来ない画像データも在ったそうなんだ」


 宇隆さんは剣呑な目つきで俺を見るが、怒っているのは俺に対してじゃなく、そんな物がまだ残っている事に腹が立っているのが分かっていても、正直怖いです。

 黒川と星ノ宮も割とヤバイ目つきしているし、ここは冗談で和ます……のは悪手だな、それにその画像はきっとあの接写されたデータとかで気が付いたのだろう、アングル的にも普通写されれば、気が付かない訳ないし流石黒川だ、伊達に趣味でカメラ弄ってないな。


「あ~ハイハイ、何となく分かった皆まで言うな。そういう事なら俺が更衣室を探して処分しておくが、三人共俺に任せて本当に構わないんだな?」


「お願い。多分私達はもう少しで移動する事になる筈。私達が戻る前に何とか探し出して処分して欲しい。変に館川の有利になる様な事は潰しておきたい」


「お、おう、何だかお前ら妙な迫力があって怖いぞ。まあ奴にされた事を考えたら協力するのは問題ないさ、証拠が正しいとか関係なく、当然俺はお前らに味方する」


「そうでなくてはな、お前を呼んでもらった意味が無い。私達はそれをする時間が無さそうだから、お前なら出来る筈だ確と頼んだぞ?」


 その時応接室の扉が開き、D組の担任がやってきた。

 どうやら、先生方の話も纏まったらしいと言うか、外に出ていた校長も急いで此方に向かってるそうな、……道理で見かけなかった訳だ。

 こうして三人と館川、それに水泳部の顧問とD組の先生が警察に向かう中、俺は黒川から更衣室の鍵をこっそり預かり職員室で別れた。


 俺はあの時間偶然協力しただけという話で、あの時の出来事を纏めるのに呼ばれた、という設定だったらしい。流石星ノ宮と言うところだろうか?


 五限も始まったが、今の時間は誰も更衣室を使って無いそうなので、今がチャンス。

 俺はさっさと頼まれた事を実行するために、更衣室へと足を運んだ。


続くさ

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