プロローグ
初めまして作者です。
作者はこれが初めての小説なので、稚拙な部分などあるかもしれません。
生暖かい目で見てくださると幸いです。
高校二年の秋。文化祭も期末テストも終わり、残すは終業式のみというある日の放課後。俺は友達数人と喋りながら歩いていた。
途中には4か月前建設が始まった高層マンションがある。こんな田舎にこんなもん建ててどうすんだよとみんなで笑っていた。
その道に差し掛かる時、大きな物音がした。風にあおられた建築資材が倒れて落ちたのだ。その時俺は見てしまった、落ちる鉄筋のその先に、小さな女の子がいる事を。
俺は迷わず駆け出した。そして少女と鉄筋の間に割って入るように飛び出す、それと同時に胸を貫く冷たい異物感と熱、激痛。俺は落ちてきた鉄筋に胸を貫かれた。
押し倒すように庇った少女に目立った外傷はない。よかった、これで二人とも貫かれていたら意味がない。
俺は鉄筋を少女に当たらないように払いのけ、少女を避けるように倒れこんだ。それと同時に強い眠気に襲われる。
駆け寄ってくる足音に続き、友達が必死で何か叫んでいるのが聞こえる。視界はすでに暗闇に閉ざされ何も見えない。胸には冷たい異物感と何かが漏れ出す感覚のみ。すでに痛みすら感じない。
最後に聞いたのは、俺の名を叫ぶ声だった。
◇◆◇◆◇◆
目が覚めると真っ白いところに漂っていた。ああ、俺は死んだんだっけ。
「真っ白だな、これが死後の世界ってやつか」
「若干違うな。まあ似たようなものだが」
俺のつぶやきに返事があった。おそらくこの目の前に突如出現した、やたらと輝いているちっさい子だろう。誰だよ、そしてどこから現れた。ビビったじゃねえか。
「私は神だ、崇めるがいい」
「聞いてもないのに返事すんなや、てか何故わかる」
「私は神だからな、なんとなくわかる」
すごいだろとばかりに反り返る幼女。これで神様とか(笑)。
「で、その神様が何の用?」
「む、今失礼なこと考えただろう。」
「で、何の用?」
「むうー」
俺が構わず聞き返すと自称神様がむくれる。なにこれ和む。
「まあいい、貴様には転生の機会が与えられた」
「またテンプレートな」
「どうする?記憶は保持したままでも消してでもいいぞ」
記憶持ちの転生か、よくあるな。機会が与えられたってことは、そうそう転生しないって事か。
にしても転生か。転生といえば異世界とかチートとか定番だけど、そこらへんどうなんだろうか?異世界といえば魔法だよね。
「なあ、転生って異世界とかチート能力とかできる?」
「異世界は簡単だ、元からそのつもりだしな。ただ能力には代償がいるぞ」
「へえ、どんな?」
代償と来たか。ただでくれてもいいのに。代償によっては諦めねばならんではないか。
「死の直前、最も損傷していたところに関するものだ」
「俺の場合心臓あたりか」
「貴様は少女の命を救っているからな。多少なりとも代償は軽くなるだろう。そもそも代償といっても、克服できたり治ったりするから気にするほどでもないが」
「代償治っちゃっていいのかよ。ま、治るならいいか、記憶ありのチート付きで頼むぜ」
「よし。では第二の人生、謳歌するがいい」
そう神様が言った瞬間、暗闇に包まれる。次に目が覚めた時は異世界だ。
誤字脱字等ありましたら指摘していただければ修正します。