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最期

 うふふ~ん、ご飯よ~。待ちに待った、半年ぶりの御飯よ~。


 必死にウエイトトレーニングに励み、体型維持に取り組んだこの半年を思い、自分へのご褒美よとご機嫌に鼻歌をピスピス言わせながら向かった先には、白い皮を被ったご飯が一匹いた。

 要求していたご飯(生贄)が届いたのだ。

 遠目で見ると、いつもと同じようなご飯に見えた。


 あらあら? あのご飯、ちょっと変わった色をしているわ。それにいつもよりも何となく丸い気がするけど、気のせいかしら?

 でもそんなことはいいかしら。新しい牧場の御飯だもの。ちょっとくらい違っても不思議じゃないわね。

 ああ、どんな味がするのかしら。食べるのが楽しみだわ~。

 そんなご機嫌な気持ちのまま、バサバサと巨体を揺らしながら餌の前に降り立った時に、それらは森から出てきた。








 「………ッ、…」


 何かを叫びながら、ご飯と同じ色をしたそれは……自分に攻撃を仕掛けてきた。

 






 ご飯の分際で!!


 カーッと頭に血が上ったドラゴンは、尾を振るい、腕を振り上げ攻撃した。それに対し、何匹もいるご飯のおまけは思っていた以上にすばしっこく、執拗に攻撃を繰り返してくる。

 多少の傷は負わせることはできたものの、ちょこまかと動き回るご飯のおまけにいきり立つドラゴンの耳にその音は届いた。


 トンデモナイ騒音が耳に響く。キーンというか、ピーッというか、耳から入り頭を掻き乱したあげく、反対側の耳から抜けていくような、凄まじい音が。

 アンギャーッと耳を抑えて声を張り上げて転げまわりたくなるような、凄まじい音。物凄く耳障りな音がするのだ。

 ご飯から。


 キーキーと響く、あまりにも酷いご飯の鳴き声に眩暈がする。

 そのうえ、異臭まで漂ってきた。


 くっさーい!


 鼻を抑え、転げそうになるドラゴンに、ご飯のおまけは執拗に攻撃を仕掛けてくる。


 腕を振るい、尻尾で薙ぎ払おうとするが、ちょこまかと動き回るおまけ達には中々当たらない。

 そうこうしているうちに異臭……というよりも、物凄い悪臭がドラゴンを襲う。

 頭を掻き乱す鳴き声とおまけから与えられる傷の痛み、悪臭が相まってドラゴンの身を苦しめる。


 ご飯のくせに、ご飯のくせに、ご飯の分際で……。


 





 食餌に来たドラゴンは、ご飯&おまけからの攻撃にあった。

 反撃するも、ご飯から頭を掻き乱す鳴き声と、息ができない程の悪臭に合い、ちょこまかと動くおまけからの攻撃で、重傷を負った。


 執拗に繰り返される攻撃と、ご飯の鳴き声と悪臭により息も絶え絶えになったドラゴンは……。












 もう、ご飯を求めることはない。


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