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雄叫び
うふふーん。ふんふんふううーん。
バッサバッサと翼をはためかせて、お食事処に向かう。
今日は新しい味覚を試す日なのだ。
自分の縄張りの中にあった、見覚えのない牧場からのご飯(生贄)。
どんな味がするのだろうかと想像するだけで涎が垂れてくる。待っててね、ご飯。今から食べてあげるわー。未知の味に心躍らせながら羽ばたくドラゴン。
大きく口を開き、時折、唸りながら飛ぶその姿は、とても力強く、恐ろしくあった。
……もしこの場に同族がいたら、だらしなく大口を開けて、奇声を上げながら飛ぶ姿はとても正視できるものではないと断言しただろう。
それほどまでに、ドラゴンとしては実に情けない姿をさらして飛んでいるのだ。
食欲に負けたドラゴンは、みっともない姿をさらすという実例がここに有った。
ご ー は ー ん ーーー 。
多種族には雄叫びとしか聞き取れないことは、ドラゴンにとって幸いとなった。