第3話:正体
「なんだよコレっ。どこなんだよっ。」自分が今居る場所も自分が誰なのかもわからないままその場所に立ち尽くしていた。
この先何が起こるかわからない。
「どうしよ。」
何も考えられないでいると、辺りが急に明るくなって、一人の人間が現れた。
金髪で白い服を身に纏い、背中には白い羽が生えている。まるで天使のように。
「奇襲成功。
悪魔界一強いあなたをこんな姿にできるとは夢にも思いませんでしたよ。なあ、ノワール。」
[ノワール?]今あいつそう俺にいったよな。
「ボロボロになりすぎて声も出ませんか?
なら、とどめを刺すまで。」
奴は、腰にさしていた剣を抜いて猛スピードで俺の方に突進してきた。
まさに斬られると思った瞬間、体が勝手に動き自分の腰にさしていた剣を抜いていた。
傷は深くないが、奴の剣を持つ右手を斬っていた。
「そんな体でまだ抵抗できるとは。
流石ですね、今は退かせて頂きます。」
奴はその場を立ち去ろうとした。
「待て、お前は誰なんだ。」
必死に奴を呼び止める。
「なに、忘れたなんて言わせませんよ。あなたは私の父上を殺した。絶対に敵をとってやる。」
そう言って俺を睨むと、そのまま去ってしまった。
訳がわからない、
[俺が殺した?]
頭の中が真っ白になった。
「おいっ、大丈夫か?」
いきなり後ろから肩を叩かれる。
「なんだよビックリすんじゃねえか」
と言って後ろを振り向くと、黒い羽が生えた大男が立っていた。
「誰だっ。」
俺は大男から体を離した。
「戦友に向かってそりゃないだろノワール。」
呆れた感じで俺を見ている。
[戦友?]
「ノワールって誰なんだ?ここはどこなんだよ。」
訳がわからず怒鳴っていた。
「お前、さっきの奇襲で頭打ったか?
ノワールってのはお前さんの名前だよ。
そんで俺がゼロだ。
ここは地界っていってな、お前はここの王子だよ。
俺達は今、天界の奴らとの戦争中なんだ…それで今天界のやつらが奇襲してきたって訳。」
今の俺に必要最低限の説明をしてもらった。
「さあ帰るぞ。」
ゼロの肩に掴まると空に飛び上がった。
体中に浴びる風が凄く気持ちよかった。