第2話:喪失〜過去
闇の中の僕達を月の光が包み込み、海の香りが僕達を受け入れる。
波の歌に耳を傾けていると、
「寒くなって来たね、そろそろ帰ろ。」体を小さく丸めている沙月が小さな声で言った。
「同感、帰ろ」僕は少し寒いかな?程度だったが、少し眠気もあり意見一致で帰ることになった。
帰りの車の中では二人とも無言のまま沙月の家に着いた。
「明日、改めて沙月の親に挨拶に行くからね、おやすみ。」別れ際軽くキスをして俺は自宅に向かうはずだった。しかし、喉が乾いていたのか、無性に飲み物が飲みたいという衝動に突き動かされ、コンビニまで買いに行くことにした。
コンビニまでは大した距離ではないのだが、突然の睡魔に襲われ運転中にも関わらず寝でしまった。
耳障りなサイレンの音、体に感覚がない…
「ひ…ひで…英っ」遠くに声が聞こえる。沙月?次の瞬間、意識が無くなった。
…死んだのかな…しかし何故か体の感覚も意識ももどっていた。しかし、目を開けたら今までいた世界とは全く別の世界だった。
闇の羽が生えている者と、光の羽が生えた者が、怒り・悲しみ・憎みを顔に表し争い続けている。そぉ…天使と悪魔の戦争。
訳がわからずその場に立ち尽くしているとそこに壊れたガラスがあって自分の全身が移し出されている。その姿を見て足が震え出した。
髪はボサボサ、体中に怪我をし、服は上下黒でボロボロ、でも、驚いたのはそれじゃなくてなんと、自分の背中から闇の羽が生えていたのだ。
…俺、悪魔なのか?