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ロケット

作者: パラ

宇宙

 それは無限に広がり、果てのないものであって、何処までも続いていく。そんな不思議な空間が結構身近に僕らの周りにはあるらしい。

 暗く果てがない、それはどんなものなんだろうか?夜になって空を見渡せば数え切れない数の星が見える。それを巡って渡り歩いてみたい。宇宙を駆け回ってみたい。それが僕の夢だ。


 夏の日差しがぎらぎらと光る中、僕は学校の屋上であるものを作っていた。今は夏休みで人もいなく絶好の創作スポットだった。

 「おっし、あとちょっとで完成」

 「まだやってんのー?そんなもの作って何が楽しいんだか…」

僕の名前は三栗 昴

宇宙に夢を見る高校二年生だ。となりで僕の作っているものを馬鹿にするのは幼馴染の相木 瑠璃 いつも僕のやっていることを馬鹿にする暇なやつだ。

 「もうちょっとだって、大体暇ならさっさと帰れ」

 「暇だからここにいて昴のこと見てるんじゃん」

 …僕には瑠璃のしたいことが今ひとつわからなかったが、まあそんなことより早いこと完成させちゃおう。

 「えっと…ここをこうして…あとは…こっちか…それから…」

 今僕が作っているのはロケットだ。まあ本物を高校生が作れるわけもなく、ペットボトルで作ったやつなんだけど…いつかは本物を作って宇宙に行くことが僕の夢だ。

 「昴ってさー、ちっちゃいころから宇宙がすきだよねー」

 「まあねーだってなんか夢があるじゃん?宇宙にはまだわからないことがいっぱいあるって言うし」

 「よくわかんない」

 わかんないんだったら聞くなよ…

 「大体、瑠璃は夢とかないわけ?」

 「んー?まあ一応はあるけど、なれたらいいなーってくらいだし」

 まったく、ちゃらんぽらんなやつだ。今ここで僕のこと眺めてるよりその夢のために勉強でもすればいいのに…

 「ねぇねぇ!私の夢気になる?」

 「べつにー?」

 「なによー!つまんないなーもうちょっと気にしたっていいのに…」

 幼馴染のことをいちいち気にするだろうか?まあそんなことよりこっちのロケットのが大事だし。

 「そんなペットボトルのロケット作ったってホントに宇宙にいけるわけじゃないんだよ?もっと高校生らしく青春しようよー!ぱーっと遊びながら!」

 「うるさいなぁ…だから瑠璃だけ遊びに行きなって。僕はロケット作ってるほうが楽しいの」

 「もー!そんなんだから彼女の一人もできないんだよ!!」

 うざい…作業に集中できない…

 「彼女ができないとか瑠璃にいわれたくないって…瑠璃だって彼氏できたことないじゃん」

 「私?私はほら好きな人いるし…」

 「へー瑠璃にも好きな人とかいるんだ。ちょっと意外」

 「ふふーん、気になるんだ?いいよいいよー教えてあげちゃおう!」

 「いや興味ないし」

 「興味もて!幼馴染の好きな人なんだから気になるでしょ!?」

 「いやまったく」

 「この朴念仁がぁ…」

 「なんで僕が朴念仁なんだよ」

 「察しろバカ!!」

 よくわかんないけどなんかご立腹だ。まったくこいつはいつも変なとこで怒るな…

 「あーはいはい。まあまた今度聞くから今はロケット作らせて」

 「このやろうぅ!その大事なロケット壊してやるぅぅ!!」

 「あ、バカ!!やめろって!!」

 「むきゃー!!」

 

 瑠璃が暴走してロケットを壊そうとするので作業は一時中断。まったくなにがしたいんだこいつ…

 「ロケットは壊すな!話は今度聞くからそれでいいだろ!?」

 「むうぅぅ…まあいいでしょう…」

 渋々許可をもらえた…まったくめんどくさい…

 「んじゃ、ロケット作るから、邪魔しないでね」

 「乙女心を傷つけておいて…」

 「はいはい、ごめんごめん」

 「…いつか刺してやる」

 「怖いこと言うなって、なんだったら一緒につくる?」

 「え…いいの!?」

 なんかいきなり態度変わってるな…ロケット作りたかったのか?

 「いいよ。手伝ってもらったほうが早く終わるし」

 「やったー!初めての共同作業―!!」

 …なんか機嫌よくなったからよしとしよう。まったくロケットが作りたかったんなら早く言えばいいのに。でもそうかー瑠璃もロケットに興味持ってたんだな。

 「んふふーでも珍しいねー!昴が私に手伝わせてくれるなんて!!」

 「そうだっけ?」

 「そうだよー!いっつも邪魔者扱いしてたし」

 ふむ…まあそうだったかも…でもロケットに興味もってたんなら早く手伝わせてやればよかったな。ロケットが好きなやつに悪いやついないし。

 「まあこれからはちょくちょく手伝わせてやるよ」

 「ホント!?」

 「こんなことで嘘つかない。」

 「やったー!!」

 なんか異常なほど喜んでるな…そんなに好きだったのか、ロケット。

 「まったく、早く言えばよかったんだよ。好きなら好きって」

 「うえぇ!!なんで気づかれたの!?」

 「誰だってあの反応みたら気づくだろ」

 「そそそそうかな!?そんなことないんじゃないかな!?」

 「でも好きなんだろ?」

 「うぇ!?えっと…はい…好きです…///」

 やっぱ瑠璃もロケットが好きだったんだな!僕が一人でロケット作ってるのが羨ましくてさっきは怒ってたのか!!なるほど、そうとわかれば悪いことをしたな…これからは一緒に作ることにしよう!

「そうかそうか!俺も好きだ!」

 「ホッホント!?」

 「おう、昔から大好きだぞ!」

 「そっそうだったの!?なんだ早く告白しとけばよかった…」

 「でも僕も嬉しいぞ!瑠璃がロケット好きだったなんて!」

 「え??」

 「ん?好きなんだろロケット?」

 「えっと…え??」

 「これからはちょくちょく一緒につくろうじゃないか!」

 「えっと…さっきの話は…全部ロケットのこと…?」

 「ん?ロケット以外になんの話だっていうんだ?」

 「あ、あははーそうだよねー昴はロケットのことにしか頭にないもんねー・・・」

 「うん?なんかよくわかんないが一緒につくろうじゃないか!!」

 「あ、うん…そうだねー…」

 「??」

 なんかいきなりへこんでるが、どうしたのだろうか?そうか!初めて作るから緊張してるんだな!まったく変なところで殊勝なやつだ。

 「大丈夫だって!僕がしっかり教えてやるから!すぐにでも一人で作れるようになるさ!」

 「いや…うん…そうだね…」

 「それじゃあ一緒にロケットつくろうじゃないか!」

 そんな感じで瑠璃と一緒にロケットを作り始める。最初は暗かったが作り始めると気にならなくなったらしい。飲み込みも早いしなかなかセンスがある。

 「ふむぅ…勘違いから始めたけど…なかなか面白いねーロケット作るの」

 「そうだろう!ペットボトルでこれだけ面白いんだ!本物を作ったらもっと面白いさ!」

 「うーん、本物作るまではやりたくは無いけど…」

 まあ本物を作るとなるといろいろ専門知識も必要だしな…

 「そうか…じゃあ僕が本物をつくったら、真っ先に瑠璃をのせてやろうじゃないか!」

 「え!?なっなんで?」

 「はじめてできたロケット友達だからな。ロケット好きなら大歓迎だ」

 「ああ…うん…そんなことだろうと思った…」

 「ん?なんか言ったか?」

 「なんでもないよ!」

 なんかちょっと怒ってるが…まあいいか。そろそろこのロケットも完成だ。

 「あとは…ここと…これで…よっし!完成!!」

 「おおー!やったねー!」

 瑠璃と一緒に完成を喜ぶ。あとは飛ばしてみるだけだ。

 ペットボトルに水を入れてきて発射台に置く。あとは空気を入れて発射するだけだ。

 「う、上手く飛ぶかな…?」

 「大丈夫。僕と瑠璃で作ったんだからきっと上手く飛ぶよ」

 「う、うん…」

 空気を入れ終わりあとはスイッチを押すだけ。これで準備できた。

 「じゃあいくぞ。3,2,1、発射!!」

 バシュッ!!そう音を立てながらロケットは空に上っていく。夏の空に上っていくロケットはとても綺麗で力強かった。

 「おおー!」

 「すごーい!!」

 瑠璃と二人で発射の成功を喜ぶ。ロケットはどんどんと高く空を駆け上がっていった。

 そして水がなくなったのか校庭に落ちていく。

 「なんかすごかったー!こういうのもたまにはいいね!!」

 「まあなー」

 瑠璃と二人屋上で寝転びながら笑いあう。

 今度は本物で宇宙に飛んでいこう。そのときもこうして二人で笑いあっていられたらいいなと僕は思っていた。

 「今度は本物で宇宙に行こうな」

 「昴が作ったやつなら乗ってあげるよ」

 そうやってふたりで笑いながら夏休みは過ぎていく。


(夏に読みたいほのぼの話)


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