第八十五章
道には既に難民が現れていた。
地図上で黒点と化した場所から溢れ出た人々は、家族を連れ、僅かに残った家財を背負い、戦火から遠ざかる道を辿っていた。
彼らの足取りは重く、目は虚ろだった。何か大切なものを奪われてしまったかのように。
泣いている者もいたが、声は出ない。
子供の亡骸を抱いて道端に座り込む者もいた。微動だにせず、まるで石像のように。
馬車が通りかかると手を挙げて止めようとしながら、また引っ込めてしまう者もいた——止めたところで無駄だと思っているのだろう。
兵役、糧食の備蓄、戦備。
これらの言葉が黒点と化した場所から伝わり、疫病のように広がっていく。
そして元々一日食べては一日飢えていた普通の人々は、この洪流の中でさらに粉々に砕かれていく。
これらの避難民の苦痛が、モーリガンの能力を溢れさせ始めた。
黒い泡が彼女の体から現れ、一つ一つ、車内に漂い始める。
それらは空気の中でゆっくりと回転し、出口を見つけられない蜂の群れのようだった。
「ケーリス、これでまたたっぷりと食べられそうだな」
アマラートが静かに言った。
「うん……」
ケーリスがモーリガンの肩から滑り落ち、車内を移動しながら、一つまた一つと泡を呑み込んでいく。
彼女はゆっくりと食べていた。まるで一つ一つの孤独の味をじっくりと味わっているかのようだ。
一つ食べ終えると、場所を変えて、また呑み込む。
パシュースの声がイヤリングから聞こえる。簡潔明瞭に。
「見ろ、感情を抑えつけるお前は孤独だ」
モーリガンは答えない。
「たとえ我々が共にいても、お前はなお孤独だ」
パシュースは続ける。
「お前は笑ったことがあるのか、子よ」
モーリガンは長く沈黙した。
長く、パシュースはもう答えるまいかと思ったほどだ。
「笑ったことはある」
彼女はようやく口を開いた。その声はとても軽く、何かを壊してしまわぬようにと恐れているかのようだ。
「アマラートのおかげで」
アマラートの睫毛が微かに震えた。
彼女は何も言わなかったが、口元の弧はさっきより少し深くなっていた。
パシュースはすぐには答えなかった。
「なぜ彼女なんだ?」彼女は尋ねた。
「パシュース、オーガスタスを知っているか?」
モーリガンの視線は車窓の外のどこかに注がれていた。焦点は定まっていない。
遠くで誰かが何かを焼いている。黒煙が高く昇り、空に暗い斑を描いていた。
「私の父だ。彼はアマラートを生贄に育て上げた。だから、彼女に苦痛を与えても……私は罪悪感を感じない」
「お前の父は賢明だ」
パシュースの口調には抑揚がない。
「苦痛を吸収し、自己治癒する従者がいれば、お前はより速く成長する」
彼女は一瞬間を置いた。
「だがお前はずっと彼女を使っていない」
「やはりお前には見抜かれていたか」
「彼女が私の能力で病気にならない時から、私は気づいていた」
パシュースは言う。
「それに、彼女がお前の側にいる時、お前の能力の変動は小さい。それがお前がまだこれほど弱い理由だ」
モーリガンは否定しなかった。
彼女はうつむき、自分の指先からまだ絶え間なく溢れ出る黒い泡を見つめた。
それらは彼女の皮膚から滲み出る。汗のように、血の滴のように、彼女がずっと認めずにきた何かがようやく出口を見つけたかのように。
「試してはいる」
彼女は言った。
「でも、他の欠片たちに不快な思いをさせたくない。アマラートには……もう泡を口の中に貼り付けている。でも必要な時だけにしている」
パシュースは一瞬間沈黙した。
「苦痛は苦痛であるべきだ」
彼女の声は淡々としている。
「私は他人が私をどう見ようと気にしたことがない。お前もそうだ」
モーリガンは答えない。
車内はしばらく静かになった。
車輪が小石を碾く音が単調に繰り返される。決して止まらないメトロノームのように。
「お前とアマラートは一体どういう関係だ?」
パシュースが尋ねる。
「主従」
「それだけか?」
「それだけだ」
パシュースは数秒沈黙した。
「では、お前は何をためらっている?」
彼女の口調に初めて、わずかな困惑が混じった。
「他の欠片が気にするなら、一時的に離れてもらえばいい。そして、お前の苦痛を彼女にぶつければいい——それが彼女の存在する意味だ」
モーリガンは無意識にアマラートを見た。
アマラートは車の隅に座り、笑みを浮かべて彼女を見つめていた。
その目はキラキラと輝き、まるでこの時をずっと待っていたかのようだ。
彼女は二人が何を話しているのか知らない。しかしモーリガンが誰と話しているのかは分かっている。
彼女は何も尋ねず、会話も遮らなかった。
ただ見つめていた。
この八年間、ずっとそうしてきたように。
「もし本当に彼女をただの従者としか思っていないなら——」
パシュースの声が再び響く。
「彼女はとっくに骨から臓器までお前の黒い泡で満たされている」
モーリガンの指先が微かに強張る。
「お前は彼女に情を持っている」
パシュースの口調は天気の話をするように淡々としている。
「別に不思議なことじゃない。私だってあの話し好きのことは気にかけている——確かに彼はうるさいけどな」
彼女は一瞬間を置いた。
「彼が私に死をぶつけるのを気にするかって?彼が死ぬたびに、私はうるさいと思うだけだ。でも次に彼が来ても、やっぱり隣に座らせてしまう」
モーリガンは沈黙した。
彼女にはパシュースが「見ている」のが分かる——目ではなく、あのイヤリングで、左目に繋がる感知で。
パシュースは誰よりも、今の彼女の葛藤をはっきりと知っていた。
「誰かを気にかけるということは——」
モーリガンの声はとても低く、自分自身に問いかけているかのようだ。
「その人に苦痛をぶつけることなのか?」
「お前にとっては——」
パシュースは言った。
「そうだ」
モーリガンはそれ以上何も言わなかった。
彼女はただそこに座り、自分の手を見つめていた。
黒い泡はまだ彼女の体から溢れ出しているが、彼女の身体はすでに変化し始めていた。
青や紫の斑が皮膚の下に現れ、頬骨が突出し、眼窩は窪み、指の骨節が一本一本浮き出る。まるで何かが内部から彼女の血肉を食い荒らしているかのようだ。
パシュースの病。
彼女はパシュースの能力を使って自らを苦しめている。
他人に対してではなく、自分自身に。
マントが風もないのにそっと翻り、端を軽く上げた。
次の瞬間、車内の全員が硬直した。
あの抑圧されてきた、忘れ去られてきた、意識の最も深くに埋められてきた苦痛が、潮のように押し寄せ、彼らを呑み込んだ。
ケーリスは丸くなり、星の渦は明滅を繰り返し、体は激しく震える。
カリオペは呻き声をあげ、ネックレスの光が激しく明滅する。まるでいつ消えてもおかしくないかのように。
ヘマリスの霧は薄く透明になり、ほとんど空中に消え去りそうだ。
アマラートの体が急に強張る。筋肉は引き絞られた弓のように張りつめる。
しかし彼女は避けなかった。視線さえも逸らさなかった。
彼女はただモーリガンを見つめ、あの痣と痩せ細りを見つめ、八年間見つめ続けてきたあの目を見つめる——今、その目には彼女が見たことのない暗流が渦巻いている。
怒りではない。狂気でもない。
あまりに長く抑圧されてきた何かが、ようやく出口を見つけたのだ。
モーリガンはゆっくりと立ち上がった。
足取りは少し不安定で、目に見えない重みがのしかかっているかのようだ。
彼女は車内を歩く。一歩、二歩、三歩。
アマラートの前に止まる。
彼女の手が上がる。
アマラートの首を掴んだ。
ルドスがアマラートの胸腔で狂笑し始める。
木質の心臓の鼓動が杭を打つ槌のように、一拍ごとに血液を血管の中を奔らせ、沸騰させる。
アマラートには自分の鼓動が聞こえる。あんなに大きく、あんなに重く、肋骨を打ち砕かんばかりだ。
彼女は抵抗しない。
喉を掴まれ、呼吸が困難になる。
モーリガンの指が締まるのを感じる。黒い泡がモーリガンの指先から彼女の皮膚に染み込むのを感じる。それらが彼女の血管の中を泳ぎ回るのを感じる。飢えた捕食者の群れのように。
痛い。
しかし彼女はそれを味わっている。
彼女の口元が吊り上がり、モーリガンが最も見慣れたあの笑みを浮かべる。
生贄の狂熱でも、取り入る追従でもない。ある種の、ようやくこの時を迎えたという安堵に近い満足だ。
「御身……」
彼女の声が掴まれた喉から絞り出される。嗄れているが、はっきりとしている。
「お好きになさってください……」




