第七十九章
「飾りかもしれないけど、私のじゃない」
モーリガンはその影を見上げた。それはただ静かに空に留まり、微動だにしない。
村人たちはそれを怖がっていないようだった――きっと、いたずら好きの誰かが作った祭りの飾りだと思っているのだろう。モーリガンもあまり気に留めなかった。
鬼驚祭の儀式が始まった。
先導者は、口元が血で濡れ、微笑む神の仮面を被っている。
その仮面の表情は奇妙だった――明らかに笑っているのに、その笑顔の背後には果てしない虚無があるように感じられた。
彼の手には、背骨のように長い骨の杖があり、先端には心臓が刺さっている。
その後ろには、うつむいた村人たちの一団が続く。
彼らは彫刻され彩色された動物の仮面を被り、木の棒で巨大な鬼の模型を串刺しにし、その心臓を追いかけるように前に進む。
心臓が動けば、鬼も動く。
「道を塞がないで」パシュースが慌てて言った。「塞ぐと一年間不運が続くのよ」
「この音楽……」タナトスが考え込むように言った。「すごく聞き覚えがあるな」
パシュースは横を向いて彼を一瞥した。
「聞き覚えがあるはずよ」彼女は言った。「先導者が被ってるあの仮面、死神なんだから」
タナトスは一瞬呆けた。
「死神?」
「病を連れ去り、不運を連れ去り、この世にあるべきでないものを全て連れ去る」
パシュースの声はとても軽い。
「ずっとずっと昔、人々は死は終わりじゃなく、もう一つの始まりだと信じていた。だから死神の仮面は……あんな姿なの」
タナトスはそれ以上何も言わなかった。
ただ仮面を被ったその影を見つめ、あの骨の杖を見つめ、あの燃える心臓を見つめた。
なるほど。
これが「聞き覚え」の正体だったのか。
「どうして鬼驚祭の儀式はあんなふうなの?」アマラートが尋ねた。
「後で分かるわ」パシュースが答えた。「あんなに完成度の高い鬼驚祭の儀式は、もう滅多に見られないのよ」
「へえ、随分詳しいんだな」タナトスがまた近づく。
パシュースは彼を一瞥し、何も言わなかった。
アマラートはモーリガンの方を見た。
「御身、やっぱりその格好、お直しになった方が――」
「いいえ」
モーリガンはうつむいて自分のあの派手な装いを見た。
「カリオペがずいぶん時間をかけてくれたものだもの。大丈夫よ」
彼女たちは道を譲り、人混みについて歩き、鬼驚祭の儀式が最後に何をするのか見てみようとした。
行列は村の中心に着いた。そこには薪と藁を積み上げた小山があった。
先導者は小山の前で骨の杖を振り、何かの印を描いているようだった。聞き取れない呪文を唱え、そして――骨の杖の先端の心臓が突然、自ら燃え上がった。
火が点いた瞬間、骨の杖は小山の中に投げ込まれた。
炎が立ち上る。
うつむいていた村人たちも、巨大な鬼の模型を中に投げ入れた。
その時になって、彼らは顔を上げた。
炎の光が動物の仮面に映り、明滅する。彼らは輪になり、陽気な音楽に合わせて踊り始めた。
「鬼驚祭の儀式は終わり?」モーリガンが尋ねた。
「ええ」
パシュースがうなずく。
「新生を象徴する動物たちが、鬼の影響を追い払ったの。鬼は神に追い払われた。これで儀式は終わりよ」
「動物は確かに可愛いし、新生を象徴してるよな」
タナトスが珍しく真剣に同意した。
「俺のカラスみたいにさ」
「いいですね」アマラートが静かに言った。「これで分かりました。この世界にまだ神様が必要とされる理由が」
彼女はモーリガンを見た。
「だから御身、頑張ってくださいね」
「うん」
モーリガンは応じたが、心の中では別の考えが浮かんでいた。
確かに、神様にはそういう役目がある。
しかし旧神の中に、なぜ病気がいたのか?死がいたのか?戦争が?……苦痛が?
それに、彼らの信者は決して少なくはなかった。
まさかこれらは神様同士が演じる芝居なのか?先に呪いを撒き散らし、後からそれを消すという?
「え?もう儀式は終わっちゃったの?」
カリオペの声が遠くから聞こえる。悔しそうだ。
「しまった!全然間に合わなかったじゃないか!」
彼女とヘマリスはいつの間にかこちらに来ていた――二人とも装いを変えていて、そのセンスもまた一言で言い表せないものだった。
「ははははは、お前たちのその格好、本当に……」タナトスが笑い出す。
「どう?」
カリオペは得意げに一回転した。
「お似合いのペアみたいだろ?」
「もうやめてよ、カリー」
ヘマリスの耳の先が赤くなった。
「恥ずかしすぎる……」
「何が恥ずかしいんだって?」
カリオペは彼女の肩を抱き寄せる。
「モーリガンを見ろよ、あれはいいと思うから、全然脱ごうとしないんだぜ」
「そうね」
パシュースは無表情で突っ込んだ。
「とてもユニークで、通行人が思わず二度見するわね」
モーリガン:「……」
◇◇◇
鬼驚祭も終わりに近づく。
人混みは次第に散り、焚き火はまだ燃え、音楽は遠くにぼんやりと響いている。
タナトスは顔を上げて空を見た。
あの影はまだそこにいる。
最初から最後まで、微動だにしなかった。
近づくこともなく、去ることもなく、誰の邪魔もすることもなく。
ただ静かに高みを旋回し、微動だにしない。
パシュースは彼のそばに歩み寄り、彼の視線を追った。
「昼間からずっといるわ」と彼女は言った。
「知ってる」
「ずっと見ている」
「それも知ってる」
パシュースは一瞬間沈黙した。
「待っているのよ」
タナトスは振り返って彼女を見た。
「何を?」
パシュースは直接答えなかった。ただ墓地の方に顎をしゃくった。
「行ってみなさい」
タナトスは考え、頭をかいた。
「まあいい、ちょっと行ってみるか」
彼はモーリガンに一声かけ、一人で墓地へ向かった。
彼が振り返ったその瞬間、空の影が動いた。
とても遅く、とても静かに、しかし確かに――同じ方向へ。
◇◇◇
モーリガンが視線を戻そうとした時、視界の端に別の影が飛び込んできた。
黒い翼。
完璧な顔。
そして、無造作な短い髪。
モーリガンの呼吸が一瞬止まった。
あれは……スタシス?
どうして彼女がここに?
でも彼女の髪……どうしてこんなに乱れている?
彼女の知るスタシスは、永遠に完璧で、永遠に精緻で、一本の髪すら容易に乱れさせることはない。
なのに目の前のこの人は、まるでとても遠い道を急いで来たかのように髪が乱れている。
何があった?
「アマラート」
彼女の声が急に張りつめた。
「飛んでくれ。早く」
「え――」
アマラートは彼女の視線を追い、何も問わず、瞬時に翼を広げた。
「分かりました!」
彼女たちは空へ舞い上がり、その影の行く手を遮った。
それはエルフの女性だった。
黒い翼、完璧な五体、無造作な短い髪。
彼女は空中に留まり、胸は激しく上下している。何かを必死に追いかけてきたようだ。
「どいて」
彼女が口を開いた。声は嗄れ、息を切らしている。
モーリガンは呆けた。
その声はスタシスのものだ。その顔もスタシスのものだ。
しかしこの言葉……この口調……違う。
これはスタシスが言う言葉ではない。
それに彼女の髪……
「あなたは誰?」モーリガンが尋ねた。
そのエルフの女性は答えない。
ただ墓地の方を見つめ、翼を微かに震わせている。何かをこらえているようだ。
「どいて」
彼女はもう一度言った。口調はさらにきつい。
モーリガンは動かなかった。
彼女は相手を見つめる。
あの荒い息遣い、あの遠くをじっと見つめる眼差し。
彼女はスタシスを知っているのか?
それとも――彼女こそがスタシスなのか、ただ何かが起こっただけなのか?
「あのものを追いかけているのか?」モーリガンが尋ねた。
そのエルフの女性はようやく振り返り、彼女を一瞥した。
その眼差しには感謝も好奇心もなく、ただ行く手を阻まれた苛立ちだけがあった。
「あなたには関係ない」
彼女はモーリガンを追い越し、墓地へと飛んでいった。
モーリガンとアマラートは顔を見合わせた。
「追う」
◇◇◇
墓地は静かだった。
月明かりが傾いた墓石に当たり、長短様々な影を落としている。
遠くの祭りの喧騒はぼんやりと聞こえ、まるで別世界の音のようだ。
タナトスは一本の墓石に寄りかかり、空中に停まるあの影を見上げている。
赤い鱗、白い模様。蛇のように見えるが、空中を泳ぐことができる。
それはそこに停まっている。近づかず、離れず。ただ彼を見つめている。
「俺を待っていたのか?」タナトスが口を開く。
蛇の目が微かに動く。
「汝、感ずる」
その声が直接タナトスの頭の中に響いた。遠くから聞こえるように低く。
「何を感じる?」
「吾主の息」
タナトスは一瞬呆けた。
「お前の主人?」
彼は自分を指さした。
「俺のことか?」
蛇は答えない。ゆっくりと降りて、タナトスの前の墓石に止まった。
近づいて、タナトスは初めてその姿をはっきりと見た。
赤い鱗には細かな紋様があり、古い図騰のようなものが刻まれている。
その目は濁っていて、あまりに多くの年月を内包しているようだ。
「吾、汝を久しく待ちたり」
「どれくらい待った?」
蛇は答えない。ただ彼を見つめている。
タナトスはふと、パシュースの言葉を思い出した。
「聞き覚えがあるはずよ。先導者が被ってるあの仮面、死神なんだから」
彼はうつむいて自分の手を見た。
つまり、あの儀式は俺のために行われたのか?
でも何も覚えていない。
「俺はお前を覚えていない」
彼は言った。その口調に謝罪も悲しみもない。ただ事実を述べるだけだ。
「俺は何も覚えていない」
「知る」
「それでも来たのか?」
「汝、在れば、吾、来たる」
タナトスは沈黙した。
彼はその蛇を見つめる。その濁った目に映る自分を見つめる。
なるほど、俺にも過去があったのか。
なるほど、俺も何もないところから現れたわけじゃなかったのか。
なるほど、この世にはまだ俺を待っているものもあったのか。
「名前は?」彼は尋ねた。
「吾が名は、虹蛇」
蛇の声は平静だ。この名前がずっとずっと自分に付き従ってきたかのように。
タナトスは一瞬呆けた。
「虹蛇?」
彼は繰り返し、目を輝かせた。
「そんな生き物がいるって聞いたことある。どんな姿か気になってたんだ」
彼はうつむいて腕に巻きついたその赤と白の蛇を見、また自分を見た。
「まさか俺のものだったとはな」
蛇は目を上げた。濁った瞳の中で、何かが微かに瞬いている。
その時――
一つの影が天から舞い降りた。
翼を広げる音が墓地の静寂を裂く。
その黒い翼のエルフの女性がタナトスの前に飛び降り、彼の腕に巻きついた蛇をじっと見つめた。
「虹蛇」
彼女の声は震えている。
「スタシスを返せ!」
その声が突然高くなり、目尻が赤くなる。次の瞬間には飛びかかってきそうだ。
言葉が口を衝いて出た瞬間、そのエルフの女性自身が呆けた。
何を言っている?
どうしてこの言葉を?
これは私が言いたかった言葉じゃない。
これは……彼女の想い?
でももう言ってしまった。取り消せない。
タナトスはこの突然の叫びに驚き、思わず半歩後退し、蛇の巻きついた腕を掲げた。
「ちょ、ちょっと待て――お前、誰だ?」
そのエルフの女性は彼を無視した。
彼女はただ蛇を見つめ、胸を激しく上下させている。
何かが彼女の目尻から滑り落ちた。
彼女はうつむいて濡れた自分の指を見つめ、その目には茫然自失だけがある。
涙。
これは涙だ。
でもこれは私の涙じゃない。
虹蛇がゆっくりと顔を上げ、濁った目を彼女の視線に合わせた。
「彼女、代償なり」
その声は低く響く。
「二つを以て二つに替え、不可逆なり」
そのエルフの女性は何も言わない。
彼女はただそこに立ち、涙が音もなく流れる。
モーリガンとアマラートが続いて降り立った。
モーリガンは数歩離れたところに立ち、この光景を見つめている。
彼女の視線はそのエルフの女性の無造作な短い髪に留まる。
やはり乱れている。
もしスタシスなら、自分をこんな風にはさせない。
彼女の視線はその黒い翼に移る。
しかしあの羽根は本物だ。
スタシスはそれで手紙を届けた。
この翼も……本物だ。
そして彼女はさっきの言葉を思い出す――
「スタシスを返せ」
モーリガンの瞳孔が微かに収縮した。
彼女はスタシスを探している。
彼女はスタシスを気にかけている。
そして彼女は「返せ」と言った――
スタシスは彼女の中にはいない。
スタシスは……何かあったのだ。
彼女は涙を流すその女を見つめる。
その顔、その声、その翼、どれもスタシスのものだ。
しかしその目に渦巻く感情は、スタシスのものではない。
彼女はスタシスではない。
しかし彼女はスタシスの顔を使い、スタシスの声を使い、スタシスの翼を使う。
彼女はスタシスの代わりに涙を流す。
彼女はスタシスの代わりにここまで追いかける。
モーリガンは一歩前に出た。
「あなたは誰?」彼女は尋ねる。
そのエルフの女性は振り返り、彼女を見た。
その目はスタシスと全く同じだ。
しかしそこにあるのは、ただ茫然自失だけだ。
「……分からない」
彼女の声は嗄れている。
モーリガンは沈黙した。
分からない?
「じゃあ、どうしてスタシスを知っている?」彼女はまた尋ねた。
そのエルフの女性は長く沈黙した。
長く、タナトスが思わず頭をかくほどに。長く、アマラートが無意識にモーリガンのそばに寄るほどに。
「……彼女が言ったの」
その声はとても軽い。
「私に虹蛇を追いかけろって」
モーリガンの呼吸が止まった。
スタシスが彼女に行かせた?
それではスタシス自身は?
彼女は口に出さなかった。
なぜなら、そのエルフの女性がうつむいて濡れた自分の指を見つめ、自分に属さない涙を見つめ、その目に茫然自失だけがあるのを見たからだ。
彼女は自分が何を泣いているのか分からない。
自分がなぜここに立っているのか分からない。
それでも彼女は来た。
スタシスの代わりに。
モーリガンはそれ以上問わなかった。
彼女はただ月明かりの下に立ち、このスタシスの顔を使う女を見つめ、茫然と涙する彼女を見つめ、どうしていいか分からず指を握りしめる彼女を見つめた。
髪は乱れている。
涙は本物だ。
あの言葉も本物だ。
あなたはスタシスじゃない。
でもあなたは彼女の代わりに私を探しに来た。
彼女の代わりにここまで追いかけた。
彼女の代わりに涙した。
夜風が墓地を吹き抜け、祭りの残り火の匂いを運ぶ。
遠くで、焚き火はまだ燃えている。
そしてここで、誰も予想しなかった対峙が、今まさに始まろうとしている。
誰も答えを知らない。
しかし少なくとも、彼女たちは皆、同じ一人を探している。
この儀式、実は色んな作品を参考にしているんです。関連する映画やドラマをご覧になった読者の方なら、たくさんの作品を思い浮かべられるんじゃないでしょうか。儀式を具体的に描く映画って、どれもどこか心理ホラー的な要素があって、私、そういう不気味な雰囲気がすごく好きなんです。でも、私が書く儀式は、なんだかもう少し楽しげな感じになっちゃいますよね。




