第七章
笑い続けるこの男は、熱心すぎるほどだった。
モーリガンが慎重に口を開こうとした瞬間、彼は高らかに笑い声を上げ、何の説明もなく彼女たちを町で唯一明かりの灯る酒場へと案内し始めた。
「親父! いつもの、ビール一杯! こちらの……お嬢さん方にはジュースを、甘いやつな、俺の勘定で!」
彼はほとんど叫ぶように、きしむ木戸を押し開けた。
「おうよ」
カウンター奥の中年男はのろのろと返事をし、動作は機械的だが流れるようにグラスを拭き始めた。その視線は虚ろで、焦点が合っていない。
モーリガンの視線はバーテンの手を追った。その手は安定して、正確で、独りでに動く機械のようだ。
「こういう場所では、筋肉の記憶はかなり保たれているのね」彼女は小声で言った。
「記憶?はっはっは!」
道案内の男は仰け反って笑った。
「こいつはただ『手』が覚えてるだけだ!頭の中はもう空っぽ!俺がもし……」
彼は突然言葉に詰まり、濃い眉を困惑させてひそめ、やがて何かを悟ったように自分の後頭部をぽんと叩いた。
「そうだ!手順の書いてあるボロ紙を拾ったのは俺だ!毎日奴の腕を押さえつけて教え込んで、無理やり『刻み込んだ』んだ!」
「そう」
モーリガンの口調に起伏はなかったが、指先は荒い木製のテーブルの縁をそっとなぞっていた。
彼女はただ聞いているだけではない。もっと「見て」いる。
この男の周りには、普通の町民よりはるかに複雑な「糸」が絡みついている。
主体はあの粘稠でくすんだ「忘却の灰」だ。
だが、もう一種の「糸」が突飛で目立つ――それは一束束、不気味なほど鮮やかな『歓喜』の彩りだ。
それらは灰霧から生じたのではなく、むしろ一種の強硬な外来の刻印のようで、疑いようのない強制力を帯び、彼の感情の表層にがっちりとしがみつき、灰霧と無言の綱引きを演じている。
この「歓喜」はさらに優勢で、彼が本来抱くはずのあらゆる感情を歪め、覆い隠そうとしている。
「人より少し多く覚えてる?はあ!自分でもボロ袋みたいに思うぜ!」
男は運ばれてきたビールジョッキを掴むと、がぶりと三分の一ほどを一気に飲み干し、泡が縮れた顎鬚に無様にへばりついた。
「俺は逃げてきたんだ、そう、『逃げ込んできた』!一ヶ月前くらいの感じか?もっと前か?ちくしょう、時間感覚もめちゃくちゃだ……なんで逃げた?どこから逃げた?すっかり忘れちまった!」
彼はテーブルを力強く叩いた。
「ただ、少しばかりの感じだけは残ってる……そう、感じだ!あの時は怖くてたまらなかった、骨の髄まで冷え切るようで、後ろから追ってきたのは強盗や野獣じゃなくて……もっと、死よりずっとたまらねぇ気味の悪いもんだったような!」
「恐怖の経験を談笑の種にし、笑い飛ばすとは」
アマラートの顔がモーリガンの耳元に近づき、吐息は温かいが、声は砂地を這う毒蛇のように軽い。
「健全とは言えませんね、主君」
彼女の顔には依然としてあの精密に計算された甘い笑みが浮かんでいるが、モーリガンには感じ取れる、自分側の彼女の腕の筋肉が微かに張り詰めているのを。
「彼の『笑い』自体が症状よ」モーリガンはかすかに聞こえるほど小声で返した。「それと、距離」
「あらあら、椅子のせいですよ、主君」
アマラートの声にはちょうどよいくらいの悔しさが混じり、身体は従順に数インチ後ろへ下がった。
男はこちらのやり取りには全く気づいていない。彼はジョッキを置き、満足そうにため息をついた。
「はーー!これでこそ!そういや、お二人さん、お名前は?」
彼の視線は二人の間を行き来する。
モーリガンは半秒間、間を置いた。
「モーリガン」
彼女は言った。声は平穏だ。
「モーリガン……いい名前だ!」
男はにっと笑い、またアマラートの方を見た。
「こっちは?」
「アマラート」
彼女は即座に答え、笑みは甘い。
「モーリガン……アマラート……」
男は小声で繰り返し、眼差しに一瞬、極めて短い茫然さが走った――忘れたのではなく、何かが触発された、より深層のもののようだ。
しかし次の瞬間、その茫然はいつもの大笑いに覆い隠された。
「よし、覚えたぜ!俺はハルだ!お二人の格好を見ると、この活気のない土地とはまるでそぐわねぇな」
彼の言葉が終わった瞬間、モーリガンの視界の隅で、アマラートの指がテーブルの下でごくわずかに縮こまるのが見えた。
――彼は私たちの名前を繰り返した。
――自分がなぜここに立っているのかさえ忘れてしまうこの町で、彼は「繰り返した」。
モーリガンの視線はそっと、彼の開いた襟元へと滑った。
鎖骨の下に、くすんだ、線の硬い符文が半分隠れている。
その紋様は厳格で整然とした気配を漂わせているが、今は鮮やかな『歓喜』の刻印に荒々しく押さえつけられ、歪んだ苦痛の姿勢を呈していた。
「町がなぜ灰霧に包まれているか、知っていますか?」
モーリガンは直接尋ねると同時に、彼の反応を観察した。
「灰霧?原因?」
ハルは一瞬呆然とし、やがて大笑いしながら自分の額を力強く叩いた。
「はっ!そりゃあな!知ってたに決まってる!このボロ革鎧を賭けてもいい、絶対知ってた!でも――」
彼は語尾を伸ばし、笑みに本物の困惑が混じる。
「でも、何だったか忘れちまった!何だったか忘れただけでなく、『なんで知ってたのか』すらきれいさっぱり忘れちまった!奇妙だろ?はっはっは!」
「その感覚は」モーリガンは微動だにしない。「いつからはっきりし始めました?自分が『忘却』していると気づいたときは」
「いつから……」
ハルの笑みが一瞬消え、眼差しが虚空を見つめる。
「この町に入って間もなく?いや、もっと前か?覚えてねぇ……このボロ革鎧を着たみたいに、頭も錆びついちまった。たくさんのことが、『ぱっ』と、消えちまった」
彼は頭をかきむしった。
「もっと奇妙なのは、感情も一緒に消えちまった……いや、消えたんじゃねぇ、一種類だけ残ったんだ」
「一種類だけ?」モーリガンは鋭くこの逸脱を捉えた。
「そう!『嬉しい』だけが残ったんだ!」
ハルは猛然と顔を上げ、目を見開く。まるで自分自身がこの発見に驚いたかのようだが、口元は制御不能に不気味なほど標準的な笑みを浮かべている。
「奇妙だろ?悲しいこと、怒ること、怖いこと……それらの言葉が頭の中を巡るのはわかる!でも、それらは……心に落ちてこない!心の中にはただ一つの感覚:笑う、笑いたい、笑わなきゃ、笑わずにはいられない!」
彼の言葉は強制的な歓喜のために途切れがちで、目尻に刻まれた深い皺には、微塵の笑いもなく、むしろ苦痛の痙攣のように見える。
――彼は「逃げて」きた。記憶が侵食されても、彼を必死に逃げ走らせた「恐怖」は、深い刻印を残した。
――そして「忘却の灰」は、あの外来の「強制歓喜」を消し去ることができない。この二つの力が彼の内で引き裂き合っている。
この男は、決して普通ではない。
「これらのことを教えてくれて、ありがとう。とても参考になったわ」
モーリガンはわずかに頷いた。
「それと、あなたのこの刻印、特別な意味があるの?見たところ……とても特別そうね」
「おお?これのことか?」
ハルは彼女の視線に従ってうつむき、少し襟を開いた。くすんだ符文が黄昏の灯りの下でうねっている。
「これか、これは俺の『宝物』だぜ!」彼は荒い指で符文をトントンと叩いた。「これのおかげで、自分の名前をなくさずに済んでる!『ハル』って名前をまだ覚えてるんだ!」
彼は一息置き、笑みは自嘲的になる。
「さっきお二人が名前を教えてくれた時、心の中で『この名前、なんか聞き覚えあるな』って思ったけど……一秒で、消えちまった。でも『ハル』って名前は、これに触れれば、まだ思い出せる」
あの符文がごくわずかに、消えゆく残り火のように一瞬光った。
モーリガンの眼差しは静かだ。
――彼は「ハル」を覚えている。おそらくそれだけ。
――だが、彼は「モーリガン」と「アマラート」に一瞬の「聞き覚え」反応を示した。これは忘却ではない。むしろ……覆い隠された認知が突破を試みているのか?
――審判庁の刻印が抵抗している。灰霧だけでなく、外来の「歓喜」にも抵抗している。
「主君、私のジュース、飲み終わりました」
アマラートの声がちょうどその時、響いた。
彼女は空のグラスをそっとテーブルの中央へと滑らせ、その動作は儀式のように優雅だ。
顔の笑みは変わらないが、目にははっきりと「今すぐ立ち去れ」の信号が伝わっている。
「でも、刻印については――」
「ハルさん、ご厚意に感謝します」
アマラートはすでにひらりと立ち上がり、灰色の衣袍の裾が鋭い弧を描く。
彼女は同時にモーリガンの腕を絡め、優しくも抗いがたく彼女を「立ち上がらせた」。
「他にも急用がございまして、これ以上お邪魔はいたしません。どうぞお楽しく」
ハルは一瞬呆然としたが、やがてまた大きな笑みを浮かべて力強く手を振った:
「もう行っちまうのか?はは、よし!用があったらいつでも声かけてくれ!役に立てるのが一番嬉しいんだ!」
酒場の木戸が背後で閉まり、あの過剰な笑い声と濁った酒の気配を遮断した。
再び室外のゆっくりと流れる灰霧の中へ足を踏み入れると、微かな湿った冷気がすぐさま包み込んできた。
モーリガンは足を止め、平静な眼差しをアマラートの顔に落とした。
「説明が必要よ。あなたが会話を中断したタイミングと態度は、『提案』の域を超えている」
アマラートはゆっくりと振り向いた。
黄昏の光が彼女の顔に明暗の影を落とし、永遠の笑みを測り知れないものにしていた。
瞳の奥の狂信は薄れ、代わりに冷たい醒めた色が浮かんでいる。
「彼の鎖骨の下の刻印は、『ヴェランティス審判庁』中核メンバーの『粛律の誓い(しゅくりつのちかい)』です」
彼女の声は極めて低く押さえられ、一言一言が氷の玉が落ちるようだ。
「オーガスタス様が必ず排除せねばならぬ障害です」
彼女はわずかに間を置き、眼差しは刃のよう。
「しかし主君、真に危険なのは、あなた様も感知されたあの『強制歓喜』……あれはここの産物ではありません。『忘却』とは全く異質で、より新鮮で、より横暴で、より『飢えた』ものです。あれは外来の『標識』です」
「『外来の標識』?」
モーリガンはすぐにこの聞き慣れない定義を捉えた。
「その通り」
アマラートの視線は、モーリガンの周りにほとんど見えない黒い泡を一掃する。
「しかも、それはここの『忘却』を侵食しようとしています。あなた様の身から発せられているものは、あの『飢え』にとって、おそらく抗い難い誘惑でしょう。あなた様がこれらの『漏出物』を完全に制御する術を習得されるまで、私はあなた様がそれに気づかれることを望みません」
彼女の眼差しは深遠になる。
「審判庁の逃亡者が、未知の『歓喜』に刻印を打たれ、傷ついた獣のように知覚を麻痺させる『忘却』の巣へと潜り込む……これは巻宗の記載より深い闇です。彼を逃げ込ませた『獣』こそが、刻印を施した存在かもしれません。対応できる力を持つ前に、軽率に触れれば、不必要な注視を招くだけです」
彼女の腕が微かに力を込め、モーリガンを灰霧の更に深くへと導く。
そこから、途切れ途切れの、単調な子守唄の声が、虚ろに漂っている。
「私たちの手がかりは、まず『単一』の痛みに絡め取られた源へと向かうべきでしょう」
アマラートは小声で言い、口元には解読し難い曲線を描く。
「例えば、このすべてに満ちる『忘却』そのものは、どこから来たのか?何が、最初にあらゆる色を褪せさせるため息をついたのか?」
モーリガンは黙った。
夜風が灰霧を巻き上げ、彼女の頬を掠め、虚ろな冷たさを運んでくる。
アマラートの論理は厳密だ。あの外来の「歓喜」は、確かに甘い偽装をまとった侵略性を放っている。
父の地図にはただ「グレイスミア町――忘却」と記されているだけで、これについては一言も触れられていない。
それ自体が警告なのかもしれない。
あるいは試練なのか。
ケーリスが彼女の肩の影の中で不安に蠢き、嫌悪に似た戦慄を伝えてくる。胸の白金星渦が明滅を繰り返す。
数息の後、モーリガンはそっと息を吸った。
「……案内して、アマラート」
彼女の声は冷徹さと決断力を取り戻した。
「あの『ため息』の源が、いったい何を言おうとしているのか、聞きに行こう」
彼女はもう酒場の方向を見なかった。
アマラートに導かれるままに、子守唄の聞こえてくる、霧のより濃い街区の奥へと向かう。
靴底が湿った石板を踏みしめ、規則的なかすかな音を立てる。
すぐにそれは果てしない灰色と虚ろな詠唱の中に飲み込まれていった。




