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痛みを喰らうことで、彼女は本当に定められた神になれるのか?  作者: 野間羊
長夜将明

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第六十九章

「オネイリ、起きて、起きて」


 遥か遠くから声が聞こえる。まるで厚い霧の向こうから。


「う……なに?」


 オネリはぼんやりと目を開け、自分が木の幹のそばに丸まっているのに気づいた。


 彼女を起こしたのはまたヘマリスだった——仮面をつけたその顔がすぐ近くにあり、仮面の下の目は血走っている。


「早くタナトスを呼びに行って」


 ヘマリスの声は低く抑えられているが、一言一言が震えているようだ。


「あなたの夢で彼を起こして」


 オネリはそこでようやく目の前の光景をはっきりと見た。


 カリオペが地面に横たわっている。全身の皮膚が爛れ、あの膿瘡と腫れ物で、元の姿がほとんどわからない。


 ケーリスは傍らに縮こまり、全身が異常な赤色に染まっている——影が本来持つべき色ではなく、焼け焦げたような赤だ。


「カリオペがどうして……ケーリスまで赤くなってる?」


「彼女、熱すぎるの」


 ヘマリスの声は張り詰めている。


「仕方なく地面に置いたわ。カリは……中の怪物に、こうされちゃった」


「病気になったのね?」


 オネリの産毛が逆立った。


「怖い……やっぱり入るべきじゃなかった」


「だから、中にいるモーリガンたちこそ、タナトスの助けが必要なの」


 ヘマリスは彼女をじっと見つめる。


「オネリ、あなたに頼んだわ」


 オネリは彼女を見、そして地面の息も絶え絶えな二つの影を見て、ついにうなずいた。


「わかった。すぐに行く」


 彼女はヘマリスがなぜ彼女たちを村に連れて帰れないのか理解していた。


 村はもう十分に悲惨だ。そこに未知のウイルスを持ち込むわけにはいかない。


 オネリは目を閉じ、再びあの見慣れた暗闇に身を沈めた。


 ---


 彼女は悪夢の中を進む。


 無数の砕けた映像が傍らを掠めていく——叫ぶ顔、爛れた手、永遠に追いつけない果てしない逃走。


 これらは彼女にとって、もう慣れた光景だ。


 彼女は長い間探し続け、ようやく周囲で唯一まだ美しい夢を見ている者を見つけた。


 タナトス。


 オネリは容易く彼の夢の中に入り込んだ。


 彼女は久しく見ていなかった。自分の能力の範囲内で、まだ誰かが本当の意味での美しい夢を見ているなんて。


 しかしタナトスの美しい夢も、常識的な意味での人を愉快にするものではなかった。


 あるいは、タナトスはこれが美しい夢だと全く気づいていないのかもしれない。


 それは葬式だった。


 タナトスは墓穴のそばに立ち、棺が土の中に納められるのを静かに見ている。


 神父が祈り、親族が別れの言葉を述べ、皆が悲しみに暮れている。


 そしてタナトスは笑っている。


 彼の傍らには、半透明の影が一つ増えている。顔も、それが何かさえもはっきり見えない。


 死者の写真は一度もこちらを向かなかった。


 参列者たちが心から死者の旅立ちを悼んでいるというのに、その写真はずっと背を向けたままだった。


 オネリが闖入したその瞬間まで。


 葬式に来ていた者たちが同時に泣き止んだ。


 彼らは顔を向け、一斉にオネリを見る。


 その写真も、こちらを向いた。


 ——人ではない。


 一羽のカラスだった。


 まさにさっき墓地で死んだあのカラスだ。


「こんにちは」


 タナトスの声が人混みの中から聞こえる。笑みを帯びて。


「まさか葬式にまでお客さんが来てくれるとは思わなかったよ」


 人混みは霧のように消え去り、タナトスとあの半透明の影だけが残された。


「こんにちは」


 オネリは二歩前に進んだ。


「私はオネリ。モーリガンが危険なの。本当にあなたの助けが必要なの。目が覚めたら、私の言ったこと覚えていられる?」


「それはね……」


 タナトスは首をかしげた。


「『目が覚める』をどう定義するかによるかな。でも、どうやってモーリガンのことを知ったんだ?君はただの銀羊族にしか見えないけど?」


「あなたは私に会ったことがある」


 オネリは言う。


「さっきまでモーリガンの頭の角の中にいたの。審判廷から逃れるためにそうしてた」


「おおお」


 タナトスの目が輝いた。


「やっぱりな。モーリガンは匂いからして人間なのに、変な角が生えてると思ったんだ……腕も一本なくなってるし。血の匂いがますます濃くなってるよ」


「とにかく、彼女たちはあなたの助けが必要なの」


 オネリは彼をじっと見つめる。


「迷宮に助けに行ってくれる?」


「さっきも言ったけど……」


「あなたは吸血鬼なんかじゃない」


 オネリは遮った。


「どうして彼らのルールで自分を縛るの?」


 タナトスは一瞬呆けた。


 そして彼は笑った。


「誰が違うって言った?牙がないから?」


 彼は口を開ける——下唇をめくり、歯茎に隠れていたはずの二本の牙を露出させる。


 その歯の位置は確かに厄介で、普段は下唇の内側にしまっておくしかない。


「だから、助けられないんだ」


 タナトスは牙をしまった。


「助けられるわ」


 オネリは引かなかった。


「どうやって山が村民のものだって定義するの?」


「だって彼らの村が山のふもとにあるからだよ」


 タナトスは当然のように言う。


「だから主人は当然彼らってことになる」


「じゃあ、銀羊族のルールを知ってる?」


 タナトスは瞬きをした。


 オネリは続けて話す。その言葉は自然に彼女の口から溢れ出る——聖山で暮らしていた時に体に染み込んだルールだ。


「銀羊族は無主の地を占拠できるの。特に空の山はね。あの山は今、主人なんていない——誰のものでもない。あそこに住んでいた死んだ巨魔たちのものでも、広がる病のものでもない。今、銀羊族として言うわ。あの山は、私たちが使うって」


 タナトスは数秒間沈黙した。


 そして彼は大笑いした。


「ハハハハ、面白い面白い!」


 タナトスは腰を曲げて笑い、あの半透明の影もそれに合わせて震える。


「つまり、君は俺が山に入るのを許可してくれるってことか?」


「そうよ」


 オネリは言う。


「だから、早くモーリガンを助けに行って」


「そうするよ」


 タナトスは笑みを収め、その血色の瞳に一瞬の真剣さが走った。


「すぐに行く」


 オネリは悪夢の中から抜け出した。


「どうだった?」


 ヘマリスの声がすぐに飛んできた。


「来るって」


 オネリは弱々しく体を丸めた。


「来るって言った」


 彼女は木の幹に寄りかかり、不意に口の中に何かがむず痒いのを感じた。


 その感覚……何かが喉の奥から這い出てこようとしているみたいだ。


 しかし口を開けても、何もない。


 ただあの海だけが、まだ夢の中で彼女を待っている。


 ---


「御身?御身!くそっ——」


 アマラートの声が暗闇の中で炸裂した。


 モーリガンは迷宮の最深部まで来ていた。


 あの黒い泡はまだ彼女の掌で脈打っているが、その光はますます微弱になっている。


 空気には灰綠色の薄い霧が満ちている。岩壁の一本一本の隙間から滲み出ている——しかしここの霧はもう変質していた。


 それらはもはや入口付近のような薄い灰綠色ではなく、粘つく、まるで生き物のように皮膚に貼りついて蠢く。呼吸のたびに何かを肺に吸い込んでいるかのようだ。


 仮面は彼女を救えなかった。


 モーリガンはほんの一口吸い込んだだけで、喉がかゆくなり始めた。


 彼女は声を殺して二回咳き込むと、額がすぐに熱くなった。


「この仮面、どうして効かないの!」


 アマラートは彼女を支えたが、どうすればいいのか全くわからない。


 足元の膿液が靴底を浸し、足首まで濡らす。


 アマラートはちらりと見下ろした——靴の表面は無傷で、皮膚に何の異変もない。


 霧の奥に、一対の目がこの光景を見つめている。


「あなたは……どうして平気なの……」


 霧の奥から声が聞こえる。


 とても軽く、とても遅く、何かが足を引きずりながら一歩一歩近づいてくるようだ。


 アマラートは顔を上げ、無意識にモーリガンを背後に庇う。


 一人の影が灰綠色の霧の中から歩み出る。


 それは一人の少女だった。


 ——もしそれでもまだ「少女」と呼べるなら。


 彼女の肌は青灰色で、あまりに長く水に浸かってから引き上げて乾かした死体のようだ。


 完全な皮肉が骨を包んではおらず、多くの場所でその下の黒ずんだ骨が直接露出している。


 汚れた白い布切れが彼女に巻きつけられ、本来隠すべき場所を覆っているが、その布自体もどこかの死人から剥ぎ取ったかのようだ。


 彼女が一歩踏み出すたび、足元の地面には濁った液体が一かたまり残される。


 その液体はすぐに気化し、新しい灰綠色の霧になる——彼女こそが霧の源だ。


「あなたたち……」彼女は口を開く。


 言い終わらぬうちに、彼女は突然腰を曲げ、大量の液体を吐き出した。


 その液体は地面に広がり、ジュウジュウと音を立て、鼻を刺す白い煙を上げる。


 吐き終えた後、彼女の顔の皮膚がまた一枚剥がれ落ち、下の黒ずんだ頬骨が露出した。


「ここに来ちゃ……いけなかったの……」


 彼女の声は嗄れ、喉に何かが詰まっているようだ。


 眼窩の縁は既に爛れ、膿が頬を伝って滴り落ちる——彼女は泣きたいようだが、眼窩から流れ出るのは膿だけだ。


「あなたが病原よね?」


 アマラートの声は冷たく、一言一言が氷を焼き入れたかのようだ。


 少女は答えない。


 彼女は顔を上げ、瞳孔と白目がほとんど見分けられないほど濁ったその目で、じっとアマラートを見つめる——彼女の後ろで気を失っているモーリガンではなく、彼女自身を見つめている。


「あなたたち……」


 彼女はまた咳き込み始める。全身を折り曲げるほど激しく咳き込み、吐き出した液体が地面に飛び散り、ジュウジュウと音を立てる。


「あなたたち……私が誰だか……知ってる?」


「知りたくない」


 アマラートの目が変わり始める——あの普通だった瞳孔が融解し、再形成され、二枚の滑らかなガラスになる。その後ろで何かが蠢いている。


「あなたが知ればいいのは」


 彼女の声が喉の奥から聞こえる。もう一つのより鋭い反響が混ざって。


「もし御身を元通りにしなければ、あなたをあの怪物たちより酷い目に遭わせるってことだけよ」


 少女は彼女を見つめる。濁った目に、一瞬の捉えがたい光が走る。


 その光に恐怖はない。


 ただ恐怖よりもっと不気味な何かがある——


 まるで、ようやく何かを待っていたかのように。

この“病の痛み”、本当に恐ろしいですよね?そして、彼女のこんな姿を見ているだけで、なんだか痛そうな気がしませんか?

改めて、この2ヶ月間、追いかけて読んでくださって、そして作品を好きでいてくださって、本当にありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします!

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