第六十章
蒸気自動車が、山の崖の上に建つ建物の前で静かに停まった。
「お客様、目的地に到着しました。ぜひ五つ星の評価をお願いしますね!」
扉がゆっくりと開き、暖かな黄色の灯りが建物の内部から流れ出し、門前の石畳を柔らかく照らし出した。
モーリガンは車を降り、顔を上げる——この場所は想像していたよりもずっと開けている。建物全体が山に沿って建てられ、幾重にも重なる屋根が夜色の中に柔らかな輪郭を描き出し、立ち上る白い湯気が各所の隙間から立ち上り、月明かりをぼんやりとした光の暈に染めている。
「見ただけで気持ち良さそうな場所だな!」カリオペが後ろから駆け寄り、両目を輝かせる。「俺が一番乗りだ!」
「カリー、起きたばかりなんだから、ゆっくりして」ヘマリスは困ったようにその後ろをついていく。その口調にはしかし、微かな笑みが隠れている。
「行きましょう、御身」アマラートが横を向き、その場に立ったままのモーリガンを見る。「立ち止まっているということは、やっぱり試すのをやめますか?」
「違う」モーリガンの視線は建物を越え、庭の奥へと向かう。「ただ、中にとても高くて立派な鳳凰木があるのに気づいただけだ」
アマラートもその視線を追う——確かに一本の巨大な鳳凰木があり、枝は曲がりくねり、樹冠は雲のように広がり、燃えるような赤い花が夜の中に炎の塊のように咲いている。
「そうですね、確かに綺麗です」
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「湯気湯々」温泉には従業員がいない。
モーリガンが手を上げて入り口の感知器に腕輪をかざすと、すぐに穏やかな機械音が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
「突撃ー!」
カリオペは待ちきれずに中へ突進していく。ヘマリスが「ちょっと待って、カリー」と叫びながら後を追う。
オネイリは最後に姿を現した。
彼女はモーリガンの髪の間から転がり落ち、地面で体を丸め、立ち上る白い湯気を見上げ、複雑な表情を浮かべる。
「僕はお湯には入らないよ」彼女は言う。「あそこに書いてある……サウナってやつを試してみる」
「私も…オネイリに…付き合う」
ケーリスもモーリガンの肩から滑り降りた。あの長い影の尾びれがそっと揺れる。
「ケーリス、付いてこなくていいよ」オネイリは振り返って彼女を見る。「温泉を試してみなよ。僕はもう大分良くなった。この数年やってきた悪夢に比べたら、こんなの何でもないさ」
ケーリスは一瞬間沈黙し、思念が伝わる。「私も…サウナを…試す。もし…気に入らなければ…温泉に…行けばいい」
「分かった」オネイリの耳が微かに動く。「付いてきなよ。付き合わせて悪いね」
「大丈夫」
オネイリは隣の棚からタオルを二枚取り、右の通路へ向かった。ケーリスは音もなくその後を追う。
そして左の通路からは、もうカリオペの楽しげな叫び声と、ヘマリスの困ったようなため息が聞こえてきている。
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「あのスクリーンの奴に、温泉を二つ用意してもらうように言った」モーリガンは腕輪に表示された情報を見ながら言う。「カリオペとヘマリスが一つの湯船に入るなら、私たちは別のにしよう」
「すべて御身の仰せのままに」
二人は左の通路を奥へと進む。通路の両側は竹で編まれた柵で、数歩ごとに暖かな黄色の足元灯が置かれ、道を柔らかく暖かく照らしている。
温泉の湯船は、あの巨大な鳳凰木の両側にある。
モーリガンの湯船は木の左側、カリオペたちのは右側だ。
しかしこの木はあまりに大きい——幹の太さは十数人が手を繋いでやっと囲めるほどで、樹冠は四方八方に広がり、二つの湯船を完全に隔てている。事前に知らされていなければ、もう一方に誰かいることなど絶対に気づかない。
モーリガンは湯船の縁に立つ。バスタオルで体をしっかりと包んでいる。
「カリー、どうして服をあちこちに脱ぎ散らかすのよ……」木の向こう側からヘマリスの声が、夜風に断続的に運ばれてかすかに聞こえる。
「何だよ、ここには俺たちしかいないんだぞ」カリオペの声ははっきりと聞こえる。「モーリガンのあの子は、多分もう一方の湯船に入ったんだろう?」
「でも……この温泉ってどうやって入るの?」
「直接脱いで飛び込めばいいんだよ!恥ずかしがることないさ」
「わ、私はやっぱり先に上からお湯の様子を……」
モーリガンはここまで聞いて、思わず口元が引きつった。
アマラートが近づき、声を潜める。「御身、向こうは私たちに聞こえてるって気づいてないみたいですね」
「うん」モーリガンは軽く応じる。左目の視野の端で、5406が静かに輝いている。呼吸のように安定している。
その言葉が終わらないうちに、向こうから「ドボン」という水音が響き、続いてヘマリスの悲鳴が聞こえた。
「カリー?!」
「はっ!驚いたか!」
「きゃあああ!」
そしてさらに大きな水しぶきの音に、カリオペの呻き声とヘマリスの叫び声が混ざる。
「カリー、ごめんなさいごめんなさい!でも脅かす方が悪いんだからね……」
沈黙。
「カリー、もう冗談はやめてよ……」
やはり沈黙。
「本当に気を失ったの?」
また「ドボン」——今度は誰かが水に飛び込む音だ。
「へへ、これで君も入ったな?」
「カリーこの嫌な奴!もう脅かさないでよ!溺れたのかと思ったじゃない!」
「ははは、分かった分かった、もう冗談はやめるよ」
「痛かった?顎が真っ赤になってるけど……」
「大丈夫大丈夫、揉めば治るさ」
しばらくの静寂の後、カリオペの低い笑い声と、蚊の鳴くようなヘマリスの叫び声が聞こえた。
「あ、あなた、何を……」
「ありがとう、愛しい人」
「ど、どういたしまして……」
モーリガンは黙って視線を逸らし、何も聞こえなかったふりをする。左目の数字が一跳びする——5409が一瞬輝き、また静かに消えた。
アマラートは思わず笑い声を漏らしたが、すぐに口を押さえ、その笑い声を押し戻した。
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二人はまだ湯船に浸かっておらず、ただ湯船の縁に座ってバスタオルにくるまり足だけを浸している。
温かい湯が足首を浸し、ゆっくりとふくらはぎまで上がってくる。一日中歩き回った疲れを運び去る。
「ゆっくりと体を沈めると、とても気持ちいいですよ、御身」
アマラートは湯船の縁の滑らかな石板を指す。
「温泉の湯船の外に書いてあります。まずは私がお見せします」
彼女はそう言うと、両手で湯船の縁を支え、まずはふくらはぎを完全に湯に浸し、次に膝、腿、腰と腹と——その動作はまるで何かの儀式のようにゆっくりと進む。
温かい湯が胸元まで浸かると、彼女は顔を上げ、満足げな息を漏らす。
「気持ちいい……」
モーリガンは彼女の真似をして、少しずつ自分を湯の中へ沈めていく。
暖かさが四方八方から押し寄せ、肌の隅々まで包み込み、筋肉の一本一本に染み込んでいく。
彼女は湯船の壁に寄りかかり、目を閉じ、その温かさに肩や首の凝りをゆっくりと溶かさせる。
確かに、とても気持ちいい。
樹冠が彼らの頭上に広がり、燃えるような赤い花が夜風に揺れる。時折一枚二枚の花びらが舞い落ち、温泉の水面でくるくると回る。
左目の数字がゆっくりと変化する——5409が輝き、視野の端に安定して浮かぶ。
それは愉悦だ。
久しくこの数字は現れていなかった。
モーリガンは目を開けず、ただこの一瞬の安らぎに身を委ねる。
アマラートがこっそりとモーリガンの隣にずれる。
一寸。
また一寸。
モーリガンは目を開けないが、彼女の腕が本能的に上がり、二人の間に横たわる——拒絶ではなく、むしろ境界線を引くかのように。
アマラートは止まった。
彼女はそれ以上前に進まず、ただこの距離を保つ。しかしその口元は抑えきれずに吊り上がっている。
「これでも構いません、御身」彼女は小声で言う。「ご褒美、ありがとうございます」
モーリガンは目を開け、横を向いて彼女を見る。
「ご褒美?私は泡は使っていないぞ」
「ただ、他の言葉が見つからなかったんです」
アマラートはその視線を受け止める。その目は闇夜の中でも驚くほど輝いている。
「御身が私を近づけてくださる——これは、何と言えばいいのでしょう?」
モーリガンは一瞬間、沈黙した。
水面に浮かぶ花びらが、そっとくるくると回っている。
何と言えばいい?
彼女には分からない。
彼女にはただ、父がこんなふうに近づいたことは一度もなかったということだけが分かる——常に高みに立つあの男が彼女に残したのは、命令と期待だけ。温もりなど一度もなかった。
抱擁とは何か?触れ合いとは何か?彼女は幼い頃から知っている。そんなものは自分には属さないと。
ましてや……
アマラートは彼女の僕だ。
おそらく、予言に記された、いずれ犠牲となる供物の一つに過ぎない。
供物に情を移すべきではない。理性が許さないはずだ。
ではなぜ、この腕は、決して本当に彼女を押しのけないのか?
「もしこれをご褒美と呼ぶなら、それでいい」彼女はようやく言った。その声はとても軽い。
アマラートの目が三日月のように細まった。彼女はもう何も言わず、ただ静かに湯船の壁に寄りかかり、モーリガンと肩を並べてあの巨大な鳳凰木を見上げる。
夜風が吹き抜け、燃えるような赤い花びらがはらはらと落ち、温泉の水面に薄く一枚の層を敷き詰める。
モーリガンは顔を上げ、それらの花が風に揺れるのを見、花びらが枝先から舞い落ちるのを見、それらが月明かりの下でくるくると回りながら水面へと落ちていくのを見る——
心の中に突然、奇妙な感情が湧き上がる。
とても軽い。
とても暖かい。
まるで長い間忘れ去られていた片隅に、ようやく少しの光が差し込んだかのように。
彼女は無意識にうつむき、必死に左目に数字を出させまいと抑える——あの目はいつも自分の感情を暴露してしまうと知っているから。
しかし口元は隠せない。
その弧はほんの数秒だけ浮かび、ほとんど見えないほど浅い。
しかしまさにその数秒を、アマラートははっきりと見ていた。
彼女はその弧を目の奥に収める。まるで貴重な宝石をしまうように。そしてこっそりと湯の中に少し沈み、温かい湯が肩を、鎖骨を、あの永遠に騒がしい木質の心臓を浸すまで。
「御身」
「うん?」
「今夜の残りの時間……こうして過ごしてもいいですか?」
モーリガンは答えない。
しかし彼女は彼女を離れさせもしない。
5406が視野の端で静かに輝く。呼吸のように、鼓動のように、言葉にせずとも分かる約束のように。
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右の湯船では、カリオペとヘマリスの笑い声が次第に静まる。
「痛かった?さっきの一撃……結構強く蹴っちゃったみたい」
「痛くない」
カリオペの声には笑みが込められている。
「君に蹴られたなら、痛くても甘いさ」
「……ちゃんと話せないの」
「どの言葉がちゃんとしてなかった?」
しばらくの静寂の後、微かな水音が聞こえる。誰かがもっと近づいたようだ。
「ヘマリス」
「うん?」
「もう一度、あそこに触れてくれないか?さっきのところ」
「……どこ?」
「烙印」
数秒の沈黙。
そして、ごく軽い、指先が鱗を撫でる微かな音。
「そばにいてくれて、ありがとう」
カリオペの声は低く、普段の誇張はなく、ただほとんど壊れそうなほどの優しさだけがある。
ヘマリスは答えない。
しかしあの烙印を撫でる動作は、決して止まらない。
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左の湯船では、二人は静かに浸かり、誰ももう言葉を発しない。
モーリガンは頭上に広がる鳳凰木を見上げ、ふとスタシスを思い出す。
あの左腕の紋様は依然として静かで、何の動きもない——彼女は今、アイセロンの街で何を経験しているのか?あの爆発の後、彼女は無事なのか?
308が静かに飛び出し、まるで細い針のように、先ほどの温もりを刺し破った。
彼女は一度目を閉じ、それを押し戻す。
今夜は、まずこれらは考えまい。
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サウナ室では、湯気が立ち上っている。
オネイリは熱々の石板の上にうつ伏せになり、うとうとしている。
銀白色の産毛が湯気に燻されてふわふわに柔らかくなり、まるで溶けかけの雲のようだ。
ケーリスはその隣に丸まり、胸の星の渦がゆっくりと回転し、時折ちらつく。うたた寝をしているようだ。
あの影の尾びれが無意識にオネイリの背中に置かれ、呼吸に合わせてそっと上下する。
「ケーリス……」
オネイリがぼんやりと口を開く。
「モーリガンたち……温泉で……気持ちいいかな?」
「……分からない」
ケーリスの思念がゆっくりと伝わる。
「でも、ここは……孤独じゃない」
「うん……」
オネイリは寝返りを打ち、全身を毛むくじゃらの餅のように伸ばす。
「ここは……夢も見ない」
「それなら……いい」
小さな二匹はこうして寄り添い、立ち上る湯気の中で浅い眠りに落ちる。
窓の外、月の光は水のように流れる。
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夜は次第に深まる。
鳳凰木の花びらはまだ舞い落ちている。
左の湯船では、アマラートはまだ湯船の壁に寄りかかり、目を半分閉じ、口元にほのかな笑みを浮かべている。
彼女はこんなにリラックスしたのは久しぶりだ——口腔内側の灼けるような痛みはまだある。しかしその痛みは今や負担ではなく、むしろ一つの確認のようだ。自分はまだ生きている、まだ主人のそばにいると。
モーリガンも目を閉じ、呼吸は穏やかだ。
5406はまだ輝いている。
右の湯船では、カリオペとヘマリスはとっくに会話を終え、時折水音と微かな呼吸が聞こえるだけだ。
サウナ室では、オネイリとケーリスが寄り添い、安らかに眠っている。
温泉全体が、立ち上る白い湯気と優しい月の光に包まれている。
歯車の唸りはとっくに遠くへ消え、蒸気の喧騒も沈みきった。
今夜の残りの時間は、すべてをゆっくりと進ませよう。
何しろ、明日はまだやるべきことがたくさんあるのだから。
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窓の外、月の光は静かに流れる。
鳳凰木の花びらはまだ舞い落ちる。一枚、また一枚、温かい湯の上に落ち、くるくると回りながら、見知らぬ彼方へと漂っていく。
ついに温泉回、来ちゃいましたね!みんなのやり取り、すごく良かったですよね?そして、それぞれの感情にも変化が…!でも、ご存知の通り、束の間の休息の後には、必ず大きな出来事が待っているもの。どうぞその時を楽しみにしていてくださいね!




