第二章
モーリガンの生活は、誕生祝宴が終わってから、新たな重苦しい音色をまとった。
課程は相変わらず詰まっていた:聖典、貴族の礼儀、大陸通史。
しかし本当に彼女を圧迫させたのは、アマラートの寸歩も離れない注視と、彼女自身が「揺らぎ」始めた知覚だった。
アマラートの狂信に規則性はない。時には爆発する火山のようで、時には凝固した死水のようだ。
唯一変わらないのは、常にモーリガンに鎖じられている彼女の瞳――灼熱の、一点に集中した、何かを待ち望むような眼差し。
モーリガンが分厚い文献に没頭していても、アマラートは微かで、精確な「痛み」の波動を放つ。
猫が肉球でそっと主人をたたくように、あるいは子虎が加減を知らずに噛みつくように。
その痛みはとても……虚ろだった。
モーリガンは適切な言葉を見つけられない。
傷ついた鋭い痛みでも、悲しみの鈍い痛みでもなく、能動的に開かれ、満たされるのを待っている「虚無」のようなもの。
「主君、何かご用ですか?」
アマラートは即座に彼女の視線を捉えた。
「ないわ」
モーリガンは視線をそらしたが、ページ上の文字は微かに揺らいでいた。
「主君はいつもこうして近づいては離れて……」アマラートの声は独り言のように低い。「本当に、すごく『痛い』です」
「ただ、どう接していいかわからないの、アマラート」
モーリガンは本を閉じ、率直に選んだ。
「お気遣いなく。ただ私に命令してください」アマラートの正座の姿勢は変わらず、瞳だけが異様に輝いている。「どんな痛みでも、お望みのままにお見せします」
「でも、それはあなたを傷つけることになる」
「しかし、もしあなた様が何もなさらなければ、」アマラートは首をかしげ、純粋な笑みを浮かべた。「私はすぐに『永遠』に飲み込まれてしまいます。私は他の誰でもなく、強大なあなた様に飲み込んでほしいのです」
モーリガンは黙った。
アマラートは、衣袍をしっかりまとえば全て隠せると、いつも思っているようだ。
しかし彼女の肌の一寸一寸は無言で哀号しており、一つ一つの筋肉には新鮮な痛楚が刻まれている。
――父、オーガスタスの仕業だ。
モーリガンはまだ、父が何をしているのか完全には理解していない。
だが彼女は知っている。毎夜、アマラートは部屋を離れ、夜明け前に新しい傷を負って戻ってくることを。
「たとえこの主従関係があっても、」モーリガンは最後に言った。「普通の友達になることはできるわ」
アマラートの顔の笑みが一瞬、薄れた。
「……あなた様は、まだ『開悟』していらっしゃいませんね」
彼女は目を伏せ、口調に初めて失望に似た波紋が浮かんだ。
「暫くは、深いお話はお控えくださいますよう、主君」
開悟。
モーリガンはその言葉を噛みしめ、アマラートが音もなく扉の外に消えていくまで。
――私はいったい、何を悟ればいいのだろう?
***
翌朝、ノックの音が響いた時、アマラートは戻っていなかった。
目を覚ましたモーリガンがまず見たのは、ナイトテーブルの上、透明な結晶の中に封じられた一羽の蝶だった。
羽は限界まで広げられ、欠けた片方は、必死にもがく刹那に凝固している。
水晶は、一片一片の鱗粉の輝きと、あの複眼に忽然と凍りついた茫然とした虚ろを完璧に再現していた。
アストライオスが来ていたのだ。
モーリガンは手を伸ばし、冷たい水晶の表面に軽く触れた。
微かだが鋭い「声」が知覚に刺さる――聴覚ではなく、落下と終焉についての、ループ再生される無声の叫びだ。
「我が愛しき娘よ」
扉が押し開けられ、教皇オーガスタスが朝日が縁取る扉枠の中に立っていた。彼の出現そのものが、一つの宣告である。
「今日は、そなたが能動的に『痛楚』に触れる日だ。我について来い」
「父上、どこへ?」
「奥の間へ」彼の微笑は相変わらず深遠だった。「全ての聖徒が通らねばならぬ道。そなたはそこで……ずっと問い続けてきたものを見つけられるかもしれぬ」
奥の間は廊下の角に隠され、壁の色は周囲と一体になっていた。モーリガンが毎日通っていても、この扉に気づいたことは一度もない。
オーガスタスが純黒の絹布を手渡した。
「目隠し(めかくし)をして、中へ進め。真の光明は、往々にして能動的に選ばれた闇から生まれる」
絹布が視覚を遮断した。
モーリガンは重たい扉を押し開ける。古びた、かすかな黴の匂いと微かな鉄錆の気配が混ざった空気が流れ出た。より深層には、無数の感情が沈殿した「重さ」があり、息が詰まるほどだ。
彼女は敷居のところで立ち止まり、知覚を整えた。
闇はもはや障害ではなく、むしろ他の感覚を鮮明にさせる。
空気の中に漂う、薄く色の違う「霧」――それは残留する感情の痕跡だ。恐怖は鉄灰色の綿状のもの、絶望は分厚い暗紅色、そして鋭く、崩れ断たんとする痛み……
それは透き通るような蒼白色で、細く一筋の糸のように、部屋の奥から伸びている。
糸の先端が、微かに光っている。
モーリガンは足を上げ、敷居を跨いだ。
絹布の下の闇と、室内の闇が溶け合う。彼女はその蒼白い糸を辿り、一歩一歩、奥の間の深部へと向かう。
足の裏に伝わる凸凹の感触――石畳ではなく、何か粗い、あまりにも多くの液体を吸収した材質のようだ。
糸はますます明るくなる。
光の果てに、何かが待っている。
モーリガンが手を伸ばし、指先が光源に触れんとする時――
「……見つけた」
彼女のものではない想念が、前触れもなく意識に浮かんだ。
続けて、蒼白い糸が急に張り詰め、震え、そして――
ちぎれた。
断裂の刹那、モーリガンは一つの光景を「見た」。
一対の目。
人ならざる、古めかしい、囚われた怒りと長き孤独に満ちた目。
光景は一瞬で消えた。
奥の間は再び死寂に戻った。あの糸は消え、漂っていた全ての「霧」も沈静化していく。
モーリガンはその場に立ち、絹布の下で目を少し見開いた。
今のは……
「どうやら、面白いものに遭遇したようだな」
オーガスタスの声が突然、入口から聞こえた。彼は最初から離れていなかったのだ。
モーリガンは絹布を引き剥がした。
奥の間は彼女の想像より小さく、四方の壁は深色の布地で覆われ、中央には低い石台が一つあるだけだった。
今しがた知覚した全ては、今や引き潮のように跡形もなく隠れている。
「あれは何ですか、父上?」
「一つの残響だ」オーガスタスが近づき、指で冷たい石台の表面を撫でた。「世界の隙間に挟まった『痛み』の一片。それがそなたに顕現を選んだ……実に喜ばしい進展だ」
彼の視線はモーリガンの顔に落ち、最新の出来映えを評価する作品のように。
「今日から、この奥の間はそなたに開放する。残響を聞きに、しばしば来るがよい、我が娘よ。それらが教えてくれよう……如何にしてこの世界を『容れ』ればよいかを」
***
扉が背後で閉じた。
モーリガンは廊下に立ち、掌にはまだ奥の間の布地の粗い感触が残っていた。
――あの目。
あれは「残響」ではない。残響は受動的な残留だ。しかし、あの目は……能動的な注視だった。
それは待っていた。
「お帰りなさいませ」
アマラートの声が影から浮かび上がった。彼女はいつの間にか持ち場に戻っており、衣袍の裾から新しい包帯が微かに見える。
モーリガンは彼女を見つめて言った。「どこへ行っていたの?」
「教皇陛下のご命令による……『調整』を終えて参りました」
アマラートの微笑みは完璧で、ただ瞳孔の奥だけが一瞬、揺らめく光を宿す。
「この身が、あなた様の未来の御加護をより良く受け容れられますように」
モーリガンはそれ以上は尋ねなかった。
彼女は部屋へ戻り、水晶の蝶は朝光の中で静寂を保っていた。彼女はその前に座り、長い長い間。
そして、彼女は決断を下した。




