井の中の蛙大海を知らず
「…んん、」
(あれ、寝てた……)
五分か十分、あるいはそれ以上だろうか。あたりは暗くなっていないのでそれ程寝てはいないはずだ。
「いくら人気がないといえ、道で寝たのか私……」
帰ったら体を洗おう。そういえば、さっき倒したナニカは跡形もなく消えている。あるのは私が吐いた血の跡だけだった。
「……んん?なんか、体の調子がいい」
寝たからだろうか?でもそれだけではないような……そういえば、あの日から感じる吐き気やだるさがほぼ消えている。なぜ?
「…あ、変身とかなきゃ」
どうやってすればいいんだ。そもそもなんでこうなったのかも分からないのに。とりあえず左手を見る。
(ステッキの水?が、増えてるような……)
最初に見た時はこんなになかった。今は七割ないぐらいには水が溜まっている。そういえば、ナニカを倒した時にあいつの周りにあった黒いモヤモヤを吸収してたな…それから体調が良くなったんだっけ。
『魔法はね使う人の生命力と引き換えに使えるんだよ。』
「生命力……つまりあれを倒すと魔力が回復するってこと?」
魔法を使う度に生命力を消費するなら、多分私はこんなに元気じゃない。ならあの黒いモヤモヤを吸収したことで生命力が回復したのか。
「長生きするにはアイツみたいなのを倒さなきゃいけない……?」
命懸けで戦って、死ぬかもしれないのに?そういえば、瑠璃の様子が可笑しいのって魔力切れ…?魔法をかけ続けないと瑠璃は消える。なら魔法を使うための魔力は、私の生命力から取られることになる。
(瑠璃と一緒にいるために、私は……)
あいつらを倒さなきゃいけない。瑠璃の感じを見る限り、あの日かけた魔法は魔力を補充しなければならないのだろう。もう一度魔法をかけるために左手にある魔法に唇をつける。
「トーテル」
光の粒子が私を囲う。そこそこの魔力を注いだ気がするので、当分瑠璃は生きれるだろう。
(やば、だるさが戻ってきた……きもちわる、ぅっ)
「うぁ、おえ……」
吐いた。口に胃液の苦味が残る。吐いたのなんていつぶりだろう。
「…帰ろ」
眠いし疲れた。あとのことはまた考えよう。変身をといて家に帰ると、私はそのまま泥のように眠ってしまった。
翌日
「ふわぁ〜、」
なぜだ、あんなに寝たのに。やはりどれだけ寝ても眠いものは眠いのか。よし、授業中にねるか。
「おはよー茉莉」
「瑠璃!おはよー!」
「そういえばそろそろテストだけど、大丈夫?」
「え?」
テスト……?聞き間違いじゃなくて?
「ま、まだこれからなんじゃ……」
「もー、何言ってんの二週間後にはテストだよ?」
「いや、まだ二週間後でしょ?」
「いつも授業中寝てる奴が何を言うかと思えば」
「あんたこの前も補習がどうたらこうたら言ってたでしょ!?」
「っあー、今回もあるんだね……」
やはり勉強しなければいけないのか……いやだ
でも瑠璃が元通りになってよかった。でも、これもいつまで続くのか分からない。また、あんなバケモノと戦うんだ。
少しだけ、泣きそうになった
(でも、多分大丈夫だよね。この前もあっさり倒せたし)
ーー私には、ヒールがあるから




