愉悦と狂気と
本物の瑠璃は元気に学校通ってます
あの日から一週間、私の生活はまた元に戻り始めた。あの怪物の魔力が高かったのか、最近は目眩も血を吐く事も減った。
(うれしいんだけどなぁ……)
何かが足りない。それが何かは分からないけど。
「ふんっ、」
最近は、怪物のいる場所や強さが前より分かってきた。あいつみたいな強い魔物はまず居なくて、ほぼ害のないような、あってもそこまで強くない魔物の方が多いらしい。
(まぁ、それに越したことはないんだけど)
でもやっぱり何かが足りない。剣で肉を切り分ける感覚。骨を折る振動。何より、その感触で得る興奮と快感が、私の頭から離れない。
「……弱いなぁ」
辺りには十数体の魔物が、無惨に切り殺された姿あった。もう原型も定かではないそれは目玉が抜けていたり、胃腸が飛び出ているものが多かった。静かに、何も無かったかのように消えていく‘’それ”を見ながら茉莉はまた新しい魔物を探す。魔力はもう十二分に溜まっていた。
(もっと、もっと、もっともっともっとーー!!)
「はぁ、はぁ…もう居ない。早く次を探さなきゃーー」
(……あれ?私今、何を考えてーー)
魔物を倒すのが楽しい……?この高揚感は、果たして良いものなのだろうか。ふと、自分が何かも知らない怪物に変わっていくような気がした。私の知らない私に。
「わ、たし……殺戮を楽しんでーー?」
これでは、ただの怪物ではないか。あの怪物と、何が違うのであろう。でも、心のどこかではまだ違うと叫ぶ自分もいる。恐ろしいのは、この興奮が、愉悦が消えないことだった。まだ、まだ殺していたいと思うほどにーー
「……帰ろう。もう魔力は十二分に溜まってるもん」




