『側近高橋 〜ギャル式部と血染の光源氏(ラブレター)〜』
【登場人物】
•紫式部(本名:むらさき)
地味顔筆豪系アラサー女官。才色兼備で文学モンスター。でも娘には甘い。
•いちご姫(通称:いち式部)
御簾越しにメンヘラ光源氏を妄想するタイプの映えギャル。和歌を読むより推しキャラを生成したい派。
•側近・高橋
まさかの平安時代にも生存。口を開くたびに血を吐くが、現代文→古文→和歌→漢詩すべて翻訳できるハイスペック吐血係。
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【序章:清少納言がムカつく】
いちご姫「ねえママぁ〜、“清少納言”ってさ〜、
“枕草子”とか書いてドヤってるけど、あれ全部インスタのキャプションレベルじゃね?」
紫式部「しっ……声が大きい……でもわたくしも……ちょっと思ってた……」
「じゃあうちが、ガチ恋タイプの推し長編書いたげるわ!!
リアコ不可避! エモが止まらん“源氏物語”出すしかなくね?」
紫式部「高橋、紙と筆を。あと脳の血を止める薬草も」
高橋「フゴオオオオオ!!!(脳が焼ける文体を同時通訳しろと!?)」
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【第一幕:光源氏という最高の推しキャラ】
高橋が倒れながらも草案を読み上げる。
「……“この世に並ぶ者なき美男子、光る君、源氏。”……」
いちご姫「てか、顔良し! 教養良し! 女たらし! メンヘラ属性!
このキャラ、絶対炎上するし絶対バズる!!」
紫式部「……キャラの破綻が怖いのですが……」
「え、いいの! ギャルは“破滅する推し”が好きなの! そこに**侘び寂びじゃなく“しんどみ”**があるの!」
高橋「フゴフゴフゴーーッ!!!(なるほど、それで54帖も続くのか……)」
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【第二幕:宮廷バズり合戦】
清少納言「まあまあ、源氏物語? なんて長いの。わたくしなら三行で終えるわ」
いちご姫「いや、三行で推しの情緒描けると思ってんの?
感情の波と季節と和歌を54話に詰めるのが尊いの!」
→ 平安バズ合戦、勃発!
•清少納言:短文美学・言葉遊び系投稿
•いちご姫:ドロドロ恋愛長編・推し量産型ファンフィク
高橋:血を吐きながら写本を100部作成&回覧板として各殿上人へ
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【第三幕:帝推し爆誕】
ある日、帝が紫式部に呼び出し。
「源氏の君の、その恋……まるでわが心を描かれているようじゃ……」
紫式部(あ、ヤバい。これ恋文と間違われてる)
いちご姫(バズった! バズった! 帝が推しを解釈違いでリアコになってる!!)
高橋「フゴォォォォ!!!(読者がキャラに恋すると史実が変わる!!)」
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【クライマックス:完結篇と別れ】
ついに最終帖『夢の浮橋』まで書き上げ、物語は完結。
いちご姫「ふぅ……終わっちゃったね。推しを産んで推しを地獄に落として……
うち、やっとわかった。“源氏”ってただのバイブスじゃなくて、人間の愚かさの鏡なんだ……」
紫式部「……貴女、大きくなったのね……」
高橋「フゴォォ……オオ……(胃に……穴が……)」
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【ラスト】
いちご姫はその後、都を離れ、新たな物語を書き始める。
高橋は、彼女の机に血染めの筆と和紙をそっと置く。
——推しは物語の中で生き続ける。
——そして、吐血もまた、物語の代償。
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〜完〜