表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
側近タカハシ  作者: こんてな
3/40

『側近高橋 〜抹茶と血反吐とギャル〜』

【登場人物】


•千利休(本名:リキュオ)


 侘び寂びの完成者。だがギャル娘には完敗。頭を下げるよりお茶を点てる派。


•利休の娘・いちご


 茶室でストロー刺してタピる、侘び寂びナメ斬り系ギャル。「茶室って映えねぇ」と平気で言う。


•側近・高橋


 表千家にも裏千家にも属さぬ、血吐き系戦国サポーター。利休とギャルに挟まれて常に瀕死。







【本編】




戦国末期、天下人・豊臣秀吉の側近として栄華を極める男、千利休。




その日の茶室。畳にしずくの音。香を焚き、湯が沸く。


しかしその静寂を破るように、扉がバァン!と開かれた。







「おとーさーん! この茶室さ、マジ地味じゃね? 映えなくね? Tik茶でバズらせよーよ!」




「いちごよ……わび、とは心を削ぐことじゃ……」




「じゃあ、心に金箔貼ってライトアップしよ? てか、“床の間にネオン書”とかめっちゃ良くない?」




「高橋!!」




「フゴォォォォォ!!」







【無理難題:秀吉編】




翌朝——


高橋が血を拭く間もなく、利休は豊臣秀吉に呼ばれる。




「利休! ワシの作った**聚楽第(超バブリー御殿)**で、貴様の茶室を披露せい!」




「それは……静寂の美を、金ピカ空間でやれと……?」


「あとついでに、いちごちゃんの**“ギャル茶道☆トークショー”**もやってくれ。バズるから!」




「フゴァアアアアア!!!!」







【高橋、動く】




高橋は吐血しながら考える。




(侘び寂びを殺さず、ギャルと秀吉を満足させる……


 ならば……逆に“バブリーの中の虚無”を演出するしかない!!)




・黄金の聚楽第に、真っ黒な茶室を設置


・ギャルのトークを無音スライドで演出


・客には甘味ゼロの抹茶と塩のみを振る舞い、「己の味覚で世界を知れ」とメモを渡す




結果——




「……これぞ、究極の侘び寂びじゃな……」




秀吉、号泣。


いちご姫「え、これマジ逆に映え〜〜!」


高橋「フゴ……フゴォォ……(血を流しながらピース)」







【クライマックス:切腹命令】




だが栄光は長く続かない。




「利休、ワシの命より高いところに飾ったその肖像画……ムカつくねん。切腹な」




「……なんという……」




いちご姫、泣き叫ぶ。




「やだ! おとーさん死なないでよッ! うち、もう“侘び”も“寂び”も覚えるから!


TikTokの“#茶室の女”も消すからァァァァ!」




高橋が、最後の最後に利休へ土下座する。




「利休様……ギャルが、ギャルが……泣いております……」




利休は微笑み、最後の茶を点てる。




「……茶とは、命を削る一服。いちごよ、高橋よ……見ておれ」







【ラスト】




その日、千利休は静かにこの世を去った。




遺されたのは、畳にこぼれた一滴の茶、


そして、血とギャルと侘び寂びの魂をつなぐ——




“側近高橋、初の茶道指南書”『ギャル式わびさび入門』であった。







〜完〜

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ