『側近高橋 〜抹茶と血反吐とギャル〜』
【登場人物】
•千利休(本名:リキュオ)
侘び寂びの完成者。だがギャル娘には完敗。頭を下げるよりお茶を点てる派。
•利休の娘・いちご
茶室でストロー刺してタピる、侘び寂びナメ斬り系ギャル。「茶室って映えねぇ」と平気で言う。
•側近・高橋
表千家にも裏千家にも属さぬ、血吐き系戦国サポーター。利休とギャルに挟まれて常に瀕死。
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【本編】
戦国末期、天下人・豊臣秀吉の側近として栄華を極める男、千利休。
その日の茶室。畳にしずくの音。香を焚き、湯が沸く。
しかしその静寂を破るように、扉がバァン!と開かれた。
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「おとーさーん! この茶室さ、マジ地味じゃね? 映えなくね? Tik茶でバズらせよーよ!」
「いちごよ……わび、とは心を削ぐことじゃ……」
「じゃあ、心に金箔貼ってライトアップしよ? てか、“床の間にネオン書”とかめっちゃ良くない?」
「高橋!!」
「フゴォォォォォ!!」
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【無理難題:秀吉編】
翌朝——
高橋が血を拭く間もなく、利休は豊臣秀吉に呼ばれる。
「利休! ワシの作った**聚楽第(超バブリー御殿)**で、貴様の茶室を披露せい!」
「それは……静寂の美を、金ピカ空間でやれと……?」
「あとついでに、いちごちゃんの**“ギャル茶道☆トークショー”**もやってくれ。バズるから!」
「フゴァアアアアア!!!!」
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【高橋、動く】
高橋は吐血しながら考える。
(侘び寂びを殺さず、ギャルと秀吉を満足させる……
ならば……逆に“バブリーの中の虚無”を演出するしかない!!)
・黄金の聚楽第に、真っ黒な茶室を設置
・ギャルのトークを無音スライドで演出
・客には甘味ゼロの抹茶と塩のみを振る舞い、「己の味覚で世界を知れ」とメモを渡す
結果——
「……これぞ、究極の侘び寂びじゃな……」
秀吉、号泣。
いちご姫「え、これマジ逆に映え〜〜!」
高橋「フゴ……フゴォォ……(血を流しながらピース)」
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【クライマックス:切腹命令】
だが栄光は長く続かない。
「利休、ワシの命より高いところに飾ったその肖像画……ムカつくねん。切腹な」
「……なんという……」
いちご姫、泣き叫ぶ。
「やだ! おとーさん死なないでよッ! うち、もう“侘び”も“寂び”も覚えるから!
TikTokの“#茶室の女”も消すからァァァァ!」
高橋が、最後の最後に利休へ土下座する。
「利休様……ギャルが、ギャルが……泣いております……」
利休は微笑み、最後の茶を点てる。
「……茶とは、命を削る一服。いちごよ、高橋よ……見ておれ」
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【ラスト】
その日、千利休は静かにこの世を去った。
遺されたのは、畳にこぼれた一滴の茶、
そして、血とギャルと侘び寂びの魂をつなぐ——
“側近高橋、初の茶道指南書”『ギャル式わびさび入門』であった。
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〜完〜