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「よし、もう、こうなったら性犯罪に走るしか無い」
翌日の学校の帰りに……中島がいきなり意味不明な事を言い出した。
「何を言ってるんだ?」
「日本はエロ・コンテンツが豊富なんで、性犯罪が少ないって言われてるだろ?」
「ちょっと待って……あれ?」
俺は携帯電話で調べてみると……。
「なんか、ここ一〇年ぐらいで、激増してる」
「そりゃ、『関東難民』のせいだろ。あいつらのせいで治安が悪くなってるんだ」
一〇年前に、富士山の噴火で旧首都圏が壊滅して、「関東難民」と呼ばれる大量の国内難民が発生した。もっとも、静岡とか山梨・長野・愛知・岐阜なんかの厳密には「関東」じゃない場所も、かなりの被害を受けたんで、その辺りに住んでた連中も「関東難民」化してしまったが。
「あ……あれ? 検索サイトのAI要約だと『法改正により基準が厳しくなった事による見掛け上の増加』って言ってるぞ」
「あのな、RAMPOはリベサヨの巣窟だぞ。あそこのAI要約は偏ってると思え。SNSのインフルエンサーもそう言ってた」
「ああ、そうか。で、何で、性犯罪なんだ? 俺、流石に犯罪者の友達は嫌だぞ」
「だから、性犯罪を防ぐ為には、エロ・コンテンツが必要なんだ。お前の姉貴のせいで、エロゲー禁止になった……」
「いや、姉貴のアカウントで、エロゲーをやってた事がゲーム配信の運営にバレたら、姉貴のアカウント停止されるぞ」
「そうだ。その社会の不条理のせいで、俺達は性犯罪を……」
「その『俺達』には俺も入ってるのか?」
「今更、怖けづいたのか?」
「今更って、何が今更だよ?」
「そうだな……じゃあ、計画を説明する。カラオケ屋の代金は割り勘でいいか?」
「えっ?……カラオケ屋?」
「外に漏れない状態で計画を説明出来そうな場所なんでな。ちゃんとプレゼン資料も作ってきた」
「ま……待て……」
……た……助けてくれ……。俺、このままじゃ……。
……あ、そうだ……一つだけ、いい手を思い付いた。
「あ……ちょっと待て……」
「何だ?」
「やるのはいいけど、俺、SEXのやり方知らない」
「はぁ? 散々、エロゲをやってるのに、知らない訳ないだろ」




