(2)
「はぁ? あんた、何言ってんの?」
「いや、だからさ……」
我ながら、無茶苦茶な頼みなのは判っている。
けど……。
「フリでいいから、中島と付き合ってくれ」
「あのさ、あんたみたいなタイプは、『付き合ってるフリ』の筈が、いつの間にか『本当に付き合ってる』と思い込んじゃうでしょ」
土屋から……冷い一言。
ええっと……そんな事は……。
「特に、中島は、あんたみたいなタイプの中でも、一番、タチが悪そうな奴でしょ」
あ……たしかに……。
「あんたも十分にキモいけど、あいつは、もっとキモい。あんたは妥協可能なレベルのキモさだけど、あいつは妥協不可能なレベルのキモさ。判った?」
そ……そこまで……言うか……。
「でも、あいつ何か、感付いてるみたいだから……」
「口を封じればいいの?」
「何で、そうなる?」
「じゃ、プランBは何?」
「仲間にする」
「問題外」
「何で?」
「あんたは情報の授業の成績はそこそこだけど、あいつはテストの度に赤点で追試」
「いや、あいつ、ネットなんかは……」
「情報の成績がクソ悪いクセに、ネットの事を良く知ってて、SNSなんかを使い熟せてるって言うの? それ、本当? それとも自分でそう言ってるだけ? それってさ、自分を善人だと思い込んでる犯罪者か、自分を現実主義者だと思い込んでるマヌケみたいなモノじゃん。フツ〜の犯罪者や単純なマヌケより、タチ悪いよ、そんなヤツ」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?」
「あのさ、私達、マズい事に巻き込まれてんだよ。いや、あんたを巻き込んだのは私だけど、あんたも一〇〇%潔白じゃないでしょ」
「そりゃそうだけど……」
「そんな事態に、何の覚悟も出来てないマヌケを更に巻き込むの? キモいマヌケでも、私のせいで知ってる奴が死んだら嫌だよ」
「じゃ、どうするの?」
「あいつの記憶を消す」




