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外れスキル【無限再生】が覚醒して世界最強になった ~最強の力を手にした俺は、敵対するその全てを蹂躙する~  作者: 八又ナガト
第一部 外れスキル【無限再生】の覚醒

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021 我慢比べ

「くそっ……!」


 自身の渾身の一撃を止められたガレンは、悪態と共に後方へ飛び退く。

 シンはそんなガレンを眺めながら、彼との記憶を思い出していた。



 戦士ガレン。

 【黎明の守護者】に所属するタンク兼アタッカー。

 シンにとっては、アルトに次いで関わりのある相手だった。


 ガレンはモンスターとの戦いを誰よりも楽しみ、強敵に打ち勝つための鍛錬を(おこた)ることはなかった。

 モンスターを倒すことによるレベルアップだけなく、常日頃から肉体を鍛え、痛みに耐えるだけの修行をしていたのだ。


 その成果もあり、彼はどんな時でもパーティーの最前線に立ち敵の攻撃を食い止めてくれた。

 そんなガレンの姿は、かつてのシンにとって憧れだった。

 ガレンはそんなシンに対して親密に接し、常日頃から『意思の強さの重要性』を説いてくれていた。


 しかし、二年前のあの日。

 敵の攻撃を喰らい、右腕を失った痛みで叫ぶシンを見て彼は言った。

『たかだか片腕が飛ばされた程度の痛みで、気を狂わせるほど悶え苦しむとは……なんとも情けないな』――と。

 あの痛みと絶望を知らぬ身で、そう嘲笑ったのだ。


 だからこそ、シンは決意した。

 本当に()()が耐えられる程度の痛みだったのか。

 それをガレン自身に証明してもらおうと。


 そのための手段は、とうの昔に持ち合わせていた。



「――なあ、ガレン」

「っ!?」


 警戒するガレンに向かって、シンは静かに告げる。

 99%の憎しみと――ほんのわずかな期待を込めて。


「あまり俺を、がっかりさせないでくれよ」

「は? 急に、何を言って――ッ!?」


 その言葉と共に、シンは骸の剣(ネクロ・ディザイア)()()()()()()()()()()()()()

 あまりにも突拍子のない行動を見たガレンの頭が真っ白になる。


「いきなり自傷だと!? 何のつもりだ、頭でも狂いやが――ぐぁぁぁああああああああ!」


 瞬間、突如として()()()()()()()()()()()()()()()()

 シンから攻撃を受けたわけではない。

 ただその場に立っていただけだというのに、いきなり耐えられない程の痛みが襲ってきたのだ。


 ガレンは咄嗟に左腕を押さえながら、血走った目でシンを睨む。


「テメェ! いったい、何をしやが――くうっ!」


 続けて、シンは自分の左ももに刃を入れた。

 ガレンは先ほどと同様、全く同じ部位に焼けるような痛みを感じた。


 そんなガレンを見つめながら、シンは凍えるような冷たい声で問う。



「そろそろ気付いたか?」

「かはっ! な、なにが、だ……」

「お前が感じている痛みの正体だよ。それは決してダメージによるものじゃない――()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「なん、だと!?」



 驚愕に目を見開くガレンを視界の隅に収めながら、シンはステータスに刻まれた一つのスキルを確認する。



 ――――――――――――――


 【痛縛の強制(フォースド・ペイン)

 ・自傷を行い、受けた痛みを対象と共有する。

  対象の抵抗力が高い場合、打ち消されることがある。


 ――――――――――――――



 それは自傷を行った際に受けた痛みを対象と共有するという、ただそれだけのスキル。

 相手にダメージを与えることはできないため、発動者のデメリットの方が遥かに大きい能力といえるだろう。


 しかしこの状況において、これ以上に最適なスキルはなかった。

 ガレンの信条がどれほど強いのか、この身をもって確認することができる。



「我慢比べといこう、ガレン」



 この程度の痛みは些細だと。

 そう主張するかのように普段通りの表情を浮かべたまま、シンは告げる。


「ここから無事に生きて帰りたいのであれば――俺が命尽きるその瞬間まで、全ての痛みに耐え切ってみせろ」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] これ攻撃力と防御力の関係どうなってんだろ この際、関係ないとしてもHPの少ない主人公のほうが先に死ぬと思うけど
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