始りを告げる鐘
私立桐雅丘学園。そこは1000以上の生徒が通う、県内でもで1位を独占している超進学校。この学校に今年から通うことになったひとりの少年、幹篠 楓はどんなことに巻き込まれるのでしょうか……。
君との明日。
第一話 始りをを告げる鐘
4月9日、桐雅丘学園入学式
電線の上で雀が心地よい鳴き声が響く。15年間聞いてきた音だがこの声は毎日のよう鳴り続ける。
僕はこれがなんとなく好きだ。理由は…ほとんどないけど。出迎えてくれている気がするから。
暗いとか言われるかもしれないけどそんなことはもう慣れた事。小中で散々言われてきたこと。
いまさら言われたって気にしない……。
気にしないんだ……。
全身が映る大きな鏡の前に立つ。
目の前にいたのは前髪を完全に隠した金色の髪が背中の下の方まで結構伸びている。影口だとかを言われた僕は我慢できなくなって不登校に。それ以来とこやにも行った記憶が無い。しかも身長が低い。160センチもない。
親はお父さんのほうがイギリスの人だから結構強く遺伝したみたい。
お母さんは純血の日本人だけどね。
つまりハーフって訳。ちなみに瞳は蒼ね。金髪の僕は相当目立つわけで、不良の目にもよく止まる。今までどのくらい殴られて来たかもう分からないくらいに。原因の一つにはこれも含まれるかもしれない。中学時代の半分は引きこもっていたかもしれないので前髪が完全に見えなくなって余計に暗いイメージになるかも。髪……切ったほうがいいかな…。
気がつくとすでに30分が経とうとしていた。
うん。時間が経つのってとっても早いんだね。毎日うずくまってたから気がつかなかった。
制服を着ることにした。壁にハンガーで吊るしてある制服をとる。青いブレザーに青と黒のチェックのズボン。ネクタイは学年ごとに変わるみたい。詳しいことは分からないけど。
制服を着てネクタイをきっちり締める。
髪が少し邪魔だから親から貰った青いゴムで結ぶ。
これ…先生に校則違反!とか言われて拘束されたりしないよね……。
されそうになったことが中学時代にあったからとても不安だ。しかも体育教師だったらどうしよう~。
どんどん暗い方向へ走っていく自分。
しばらくそこでうずくまっているとなにやら階段を駆け上がる音がした。
毎日のことなのでうずくまるのを止めて何処かに隠れようとしたが生憎パニック状態で隠れる場所を見つけることが出来なかった。
そして扉が物音を大きく立てて開かれる。
「かえでちゅわーん!」
僕の名前を何故かちゅわーんを付けて抱きしめてくるこの女の人がお母さん。幹篠 晴香。
彼女はとっても美人だ。なんせいまだ人気トップの女優さんらしい。テレビを見ない自分にはそんなこと知ったこっちゃなんだけど…。
一番気になるのはこのテンション!
毎日のように抱きしめてくる。どうやら彼女の習慣になっているらしい。ある日同じように抱きしめられたときに理由を聞いたら、かえでちゅわんは高校生になっても女の子みたいに可愛いから抱きしめるの!とかいった。
抱きしめられながら鏡の方を向いて無理矢理腕を頭のほうに持っていって前髪を上げてみる。
……確かに僕は女顔だ…。
でも男女とかほとんど今の段階では興味が薄れてしまった。
もしかしたらお母さんはこんな僕に元気になってほしいから学校に通うようにしてくれたのかな。
思いつめているとお母さんがさらに抱きしめてきた。
「楓ちゃん……怖いだろうけど楽しんできてね…。それが私たちに出来るせめてものの償いだから。」
なんか心があったかくなったような気がした。いつもはふざけている僕のお母さんだけど、いざというときには必ず味方になってくれる。
お母さんの子供でよかったよ。
ありがとう…
お母さん。
一階におりて純和風の食事をした。お母さんは料理が凄くうまい。僕もよく付き合わされるけどかなわない。まだまだ分からない事だらけだ。
この学校生活で何かが変わるといいな!
玄関で靴をはき、扉をあけ、
「いってきます!」
久しぶりの挨拶だった。
こんなこと再びするつもりなんかなかったんだけどね…。
東京で社長として働いているお父さんが忙しいなか帰ってくるなり上手になった日本語で一生懸命お願いしてくるもんだから断りきれなくて了解しちゃったんだよね。まあいざとなれば吹っ切れている自分がいたけど…高校でやっていけるのかな。
高校生になって新しくしてもらった自転車にのって20分くらいかかる道を走っていく。
久しぶりにこいで前からやってくる風はとても気持ちよかった。
学校を通る途中には草原と川、橋がありなんとも田舎って感じがする。この辺にはほとんど家が無いし。
よーしっ。
せっかくここまでやってくれたんだ。最後まで頑張るぞ!!
そのころ。
高校の入学式をするために初初しい制服を着て自転車で通学するものや歩いてくる生徒が次々にやってくる。
そんな中でひときわ目立つ一人の男子生徒がそこにいた。
滅茶苦茶イケメンで女性に憧れの視線をあまるほどに受けているのだが全く動じない。
(ここが県内でトップ校の桐雅丘学園なのかあ。
俺にも高校生で恋愛できるかな。
今までにも付き合おうとしたけど相手がすぐに紅くなって倒れるからどうしようもなかったんだよなぁ~。
今も真っ赤になってるひとが物凄くいるし…。大丈夫かな)
鈍感少年登場。
そんなことを思っていると目の前にきれいな金髪の長い髪をゆらゆらと揺らしながら駐輪場へと向かっていく生徒を見かけた。
着ていたのは男子用の制服だったけど外見はもろ女の子だった。
顔が前髪で見えなかったのがとても残念だったのだが。
でも、今までと何かが違うような気がした。
そして…
入学式を告げる鐘が鳴る。
どうやら今年の学園生活はハチャメチャな展開になりそうです。
つづく。
初めましてです。孤高の闇といいます。
テスト四日前に投稿という無茶な選択をした自分。
勉強しなくちゃなぁ…
え?いやちょっと…そこやめて~~っ!