始まりの街スタット編28 ほぼ初めてのクエスト
ぼく達は依頼書を受付のお姉さんに渡した。
「はい、Aランクの討伐依頼ですね。くれぐれも無茶はせずに危なくなったら帰ってきてくださいね」
「大丈夫だ。今回のクエストはオレがついて行くからな」
「イカッツさんがいるなら安心ですね。知ってますか?この人は見た目とは裏腹に人に優しく初心者冒険者を陰ながら見守っているんですよ」
「お、おい!ミツキさん、やめてくれねぇか。恥ずかしいから///」
「はいはい、ソラさん達の事頼みましたよ〜♪」
ぼく達は冒険者ギルドを出てクエストに向かう。
「所でイカッツさん、あの受付のミツキさんとは普通に喋れてましたね」
「まぁ、長年同じギルドにいるからなぁ」
「ずはり、ミツキさんの事が好きなのか?」
「なっ///何言ってんだユメハの嬢ちゃん。アイツとオレはただの受付と冒険者でしかないって」
そんな話をしながら、今回のクエストの討伐対象の生息地へとやってきた。
「ここからは慎重に行くぞ、魔獣ってのは耳がいいから、ちょっとの音にも反応して襲ってくるぞ」
イカッツさんがそう小声で言うのでぼく達も静かに行動する。
今回の討伐クエストの魔獣はとても凶暴で女子供でさえ容赦しないらしい。……というか、魔獣だから普通じゃないのかな。そんな事を考えながら魔獣の棲家に近づくとそこには巨大なウサギの様な生き物がいた。
「アイツはジャビットキング。魔獣の中でも特に跳躍力に長けていてアイツのジャンプから繰り出されるキックは一発で上級冒険者さえをダウンさせるんだ。それに今回はそんな魔獣のキングだ、気をつけた方がいいぞ」
イカッツさんがそうぼく達に注意する。ぼくはというと……
「わぁ、ふわふわでかわいい。ねぇ、ユメハちゃん。あれが討伐対象なのかなぁ?」
「多分そうだと思う。今、明らかに木を叩き折って他の動物や魔物を襲ってたし……」
そのジャビットキングの前で会話していた。
「おい!ソラの嬢ちゃん達!!アイツは危険だ!!早く離れた方がいい!!」
「やっぱり、あのもふもふは敵なのか……」
「ソラ、そう落ち込むな。私がいるだろう」
「ボク達もいるモフ!」
「ロウカ……」
ぼくはイカッツさんが隠れている所に無事に逃げて戦況を判断する。もう少し様子を見ないと相手が何をするかわからないからだ。ぼくと巨大なもふもふとの闘いが始まる。




