第4話 墨子、自己紹介をする
「「ぼくし?すみだぼく?」」
大魔導師マドと女騎士シエンの声がハモる。そんな二人にスミダボクは自己紹介。
「うむ!どうやら異世界召喚とやらによってこの場に召喚された様だが、君達が求めている英雄とやらは間違い無く我が輩、墨子スミダボクであろう!それと先程から乞食乞食と連呼しているが、見た目がこの様な姿であっても、断じて乞食なんぞでは無いぞ、念の為!」
「あ、すみません。勝手に召喚しておきながら、失礼な態度を…」
マドがペコリと頭を下げ、詫びを入れる。その横でシエンがスミダボクに質問をする。
「あの…こちらが勝手に召喚しておいてなんですが…本当に英雄様なのでしょうか?」
「うむ!モチのロン!このスミダボク、墨子の力を異世界にて遺憾無く発揮し、君たちを救うべき英雄として無双する事を、この場を借りて宣言しよう!」
力強いスミダボクの宣言に、先程まで項垂れていたマドの顔がパッと明るくなる。
「ほ、本当ですか!?本当に…本当に英雄様なのですか!?」
「この様な格好をしていても説得力は無いかも知れないが、この出で立ちは墨子の正装なのである。小汚い格好をしていても、ちゃんと洗濯をして小綺麗にはしているし、毎日お風呂にも入っている。むしろこの姿こそ、墨子である証!すなわち、英雄である証!」
「その…申し訳ないのですが、ボクシとは何の事でしょうが?」
「ふむ?どうやら異世界に墨子は存在しないようだな。ならばこの様な格好をしているのを見て、乞食と見間違うのも仕方ない」
「召喚する時の魔法陣には、翻訳を可能にする魔法陣『ツゴウヨクナール』が施されてます。それでも意味が理解出来ない単語という事は、我々にとって未知の単語だと言う事になりますね、ボクシとやらは」
そこでスミダボクは墨子について、説明を始めるのであった。