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気合
決断するべきなのだろうか。
「・・・」
ふと、彼の言葉がよぎった。
『・・・外したら、もう二度と会うことはない』
・・・あの不思議な謎かけは、入社試験のようなもの?
静子は思った。
そもそも、この自分が合格できるのか。
「・・・よし、今はいったん忘れよう」
今から出勤するこの今、考えることじゃない。
とりあえず、今日を、なんとか乗り切りたい。
・・・とりあえず。
無理やりだけど奮い立たせる気持ちで静子は、
うん、と自分なりに気合を入れると自宅を出た。
「・・・睦月さん!」
いつも通りオフィスに入ると、
いつもだったら火の粉が被らぬよう、完全スルーするはずの、
後輩が必死の形相で呼び止めてきた。
「これ、上司に今日の午前中までって先日仕事振られたんだけど、
失敗してしまって、一人だと仕上がりそうにないです。
・・・手伝ってほしいです!」
続く




