1話:ファインダー越しの邂逅
八月、早朝四時。薄闇の中鳴り響く携帯のアラームを止めて、枕元のメガネに手を伸ばす。朦朧とした意識の中でも四年間を通して繰り返され、体に刻み込まれた動きは自然と滞りなくこなすことができるもので、ようやく意識がはっきりしてきた頃にはコーヒーを淹れ、コートを着込むところまで済んでいた。淹れたコーヒーをワンタッチボトルに注ぎ、立ち上る豊かな香りをしばし楽しんだ後、防湿庫に入れた一眼レフを取り出すとベランダに出た。山の近くに建てられたこの家のべランダで感じる、夏場であっても適度に冷えた、この涼やかな風が好きだ。
ド田舎と行っても差し支えないような土地に建てた小さな一軒家に住む俺、住田30代独身サラリーマン)の一番好きな時間帯は早朝だ。暮らし始めて四年、思えばここに住むのを決心したのもこの心地の良い微風がきっかけだったなと回想しながら、地面と平行になっている真っ平らな屋根の上へ登る。屋根の上から見える自然に満ちた景色を写真に収めるのが俺の日課だ。部屋から持ってきたシートを敷いて、その上に胡座をかくと、コーヒーを啜りつつ、どこから撮ろうが思案する。空模様は刻一刻と変わる上、湿度や気温などに伴って見通せる距離や景色の見え方まで変わってくるため、飽きることはないのだ。
慎重に思案した後、まずは東に見える山から撮ることに決めた。起きてからおよそ三十分。ちょうど空も明るんでくる時間だ。じりじりとコートを突き抜けて伝わってくる寒さに身を震わせながらファインダーを覗き込む。目分量で感光感度を調整し、呼吸を整える。深く吸い込んだ冷えた空気を吐き出して、今だけ、この瞬間だけは体のかすかな震えさえも抑え込む。ピントの合う音。指先でシャッターを切ると、構えたカメラは小気味良い音と柔らかな振動を伴って、ファインダー内の景色と、しかしそこに映る筈のない─世間一般には人影と呼ばれる─ものまでも確かに同封して切り取ったのだった。
どうも、カフェオーレと申します。
まずは皆様に謝らなければいけません。
今回幽霊ちゃん出ませんでした!!ごめんなさい!!次回を座して待っていただけると泣いて喜ぶので、今回はご勘弁を!!
改めまして、どうも、カフェオーレと申します。
別段初投稿というわけではありませんが、それでも自分で仕立てたストーリーを世に送り出す...というと些か壮大すぎるような気もしますが、とりあえず人様の目に触れる可能性のあるところへ送り出すのは緊張しますね。
さて、わたくしカフェオーレ自身、たくさんの小説やラノベを読んできたと思っているんですが、個人的には異世界ものよりも舞台は私たちの暮らしている現代社会に近しい設定になっている方が好みだったりするんですよね。でも異世界ものにありがちなスローライフ的なほんわかした雰囲気の作品はとても好みだよと。
そういった私好みの和やかな雰囲気で、かつ舞台は現代社会に近い設定の作品に出会う機会がなかなか少なくって「なら自分で書けばいいじゃん!!」ってなったのでこの作品を書くことにしました。完全に思いつきです。
ラブコメになるかもしれないし、メインキャラクターが増えるかもしれません。この先がどうなるかは神と私の深層意識のみぞ知る、って感じです。ふんわりしてるけど許して。
次回はメインキャラクターの幽霊ちゃん(仮称)が出てきます。本当は一話で出した方がいいんでしょうけど。
公開は一週間から二週間後を予定しています。お楽しみに!!




