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3、国外追放が確定してしまいました

続きです!

「あ、あの、わたくしの実家のリギンズ男爵家では、食事は1日1回でしたし、お粥も麦ではなくて雑穀で、ふすまと半々でしたの。日中はお屋敷のお掃除やお洗濯、繕い物で、朝4時半に起きて夜は0時に就寝しておりました。でもこちらの正神殿の仮眠室は、掛け布団とシーツもありますし、実家のすきま風がひどい屋根裏部屋に毛布1枚よりはずっと」


「はい、わかりましたリギンズ男爵令嬢。……いえ、シンシア様と呼ばせていただきますね。わたくしのことは、どうぞオリエとお呼びください」


話を途中で遮られてしまいました。


許可をいただきましたけど、わたくしごときが公爵令嬢と名前で呼び合うなど、不敬ではないのでしょうか。


「ゴーラン様。今の話をお聞きになりまして?」


「ああ。すぐさまリギンズ男爵家に調査員を飛ばす。対処を急ごう」


……なんでしょう、先ほどから大気に怒りが満ちていますわ。耳が痛いですわ。


あと、お二方からの圧力プレッシャーがすごいですわ。


「早速ですがシンシア様、貴女にはこれから、神殿からも王国からも出て行っていただきます。期間は3ヶ月。この間、ご自身を聖女と名乗ることは許されません。癒しの奇跡を使ってもいけません。神に祈ることも許しません」


「そっ……そんなあああ!」


わたくしは泣きそうになってしまいました。


お兄様がおっしゃる通り、わたくしには、聖女しか適職がなかったのです。


天空の神々に祈って恵みの雨を降らせたり、国に侵入する魔物の群れを追い払う結界を張ったり、ポーションを作ったり、死にそうな病人や手足がもげた怪我人の治療をすることくらいしか、グズでノロマなわたくしにはできないのです。


神殿を追放されてしまえば、1日2杯の麦粥とウメボシ1個、シーツと掛け布団のある、すきま風の吹かない寝床がパアになってしまいます。


それも、最初は1ヶ月という話でしたのに、期間が長くなってませんか……?1ヶ月ならまだ、食べられる草や木の根っこをかじって、雨風凌げる場所に落ち葉詰めて眠れば、イケそうでしたのに!


「あああ、申し訳ございません!どうかお慈悲を!お慈悲をくださいませええ」


ひたすら頭を下げて赦しを乞うしか、わたくしにはできませんでした。正直に申しますと、何故わたくしがこのような罪に問われるのか、さっぱりわからないのですけども、高貴な方々の言われることが間違っているはずがないのです。


「ふふ、シンシア様。ご安心ください、わたくしたちは寛容で慈悲深いのですよ。貴女はしかるべき施設に軟禁させていただきます。お食事と寝床の心配はありません。そこで3ヶ月間、ゆっくりお過ごしになって、ご自分が為されたことをよくよく考えてくださいましね?」


オリエ様が覇道の闘気を放ちながら仰いました。


ゴーラン王子殿下も、オリエ様の隣で頷いておられます。


ああ……わたくしの裁きは、決まってしまったのですね……。


これがお兄様に知れたら、鞭打ち30回程度では済まないでしょうが、全ては王命です、仕方ありません……でも、温情を賜った結果、飢えや不眠に悩むことはなさそうです……そこだけは助かりました……。


「では、シンシア・リギンズ男爵令嬢。速やかに王命に従うように。馬車は用意してある。護衛と女官を付けるゆえ、今日中に出国せよ」


「……はい、第一王子殿下、ご下命に従います……」


こうしてわたくしは、ゴーラン第一王子の御下知により、17年間暮らしたバルシリウム王国から追放されてしまったのでした……3ヶ月の期限付きで。


これから先、わたくしはいったいどうなってしまうのでしょうか……?


連続投稿します!

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